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いまと同じぐらい稼げるか

 公務員から転職するうえで、特に年齢が上がってから外に出るにあたり躊躇するのは、表題のとおり、現在もらっている収入を維持できるのかという点にあると思います。

 ふつうに転職しようにも、同業者の役所で中途採用しているのは、即戦力である中堅の、しかも技術系職員や、児童相談所の専門職員のような分野が多く、あとは役所とは別な世界から人を招く、たとえばシティプロモーションを担ってもらうマネージャーのような特異なポジションであり、内部の管理職に外部の行政経験者を呼ぶというのは、行政の潜在的な垂直関係の上部にある組織ー市町村であれば県や国といったところーしかないように思います。

 だいたい、役所間で転職するというのは、家庭の事情とかでない限り、あまりないように思います。
 役所の場合、よほど狭い組織でない限り、人間関係で嫌になったとしても、その仕事が向かないと思っても、人事異動希望の要望で、かなり強く訴えれば、組織の上長は配慮して要望し、人事も、本人の希望どおりの異動先に行かせることはないにせよ、異動させる、できない場合も、組織の上長の配慮で、内部異動にはなることが多いからです。
 特に事務職の場合、異動先は幅広いので、特定の業務が向かないことが、辞める原因にはならないように思います。

 民間への転職も、技術系職員については、役所と関連がある企業であれば、利害関係の要件などをクリアする必要がありますが、ニーズはそれなりにあるように思います。
 一方で、事務職の場合は、経営でも経理でも、役所の経験で上積みされる要素はあまりなくて、少なくともその人のスキルにアピールできるような要素はなく、もし民間に同等以上の条件で転じている人がいれば、それは属人的な要素で、相手方の経営幹部が引っ張ってきた、そんなケースしか考えられないです。

 おそらく、何も考えずに今の役所を辞めてしまうと、すぐに仕事に就けたとしても、雇用条件は悪くなりますし、初動は相当厳しい展開になることが予想されます。

 現実に向き合うため、自分の持っているものをざっくりと棚卸しすると、
・比較的大きな役所で、財政を中心とした部門に在籍し、行政内部の意思決定プロセスに関与してきたことで、作用点を熟知している
・財政部門で一通りの行政分野の予算を統括してきたことで、行政全般の業務についてある程度の知見を有している
・多くの自治体が喫緊の課題として直面している、いくつかの特定の分野については、フロントランナーとして合意形成のプロセスをゼロベースから作り上げ、その分野の専門的な知見のみならず、役所の内外において、ファシリテーターとしての役割を果たしてきた実績がある
・40代前半で管理職に昇進し、マネジメント経験がある
といったところでしょうか。

 おそらく、こうしたニーズはあちこちに散らばっているはずであり、それをうまくくみあわせ、そこで役割に応じた報酬をいただくことで、いま、役所において得られている収入と同程度の水準は、確保できるのではないかと思います。

 とはいえ、コアとなる収入がないと、自分の生活を維持できなくなってしまうので、組織の閉塞感をぶち破るために、今の自分を脱皮したいと思ってはいるのですが、それができずにここまできた、というところでしょうか。

 壁をよじ登ることをやめても、そこには当面、自分の活躍の舞台は用意されているのですが、できれば、そうした舞台は与えられるのではなく、自分でつかんでいきたい、これは宮仕えを長くしてきたことの反動なのかもしれません。

 さらには、先々、国際関係や災害のリスクに直面したとき、自分に相応なダメージを与えるとわかっても、今のままで動きが取れずにダメージをもろに受けてしまうので、できれば動ける体にしておきたいというのもあります。

 書いてみて、少し、自分の心の中を整理できました。まだまだ霧は晴れませんが、引き続き、もがいてみます。

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