WARの改善:FIPの再構築

要約版

FIPは完璧な不完全性を持っている。その欠点は、実は維持するための属性なのだ。

本来はPlate appearance(PA)を使うべきだが、IPはどこでもあるので、IP統一。
係数は整数であってはならないが、13,3,-2の方が覚えやすいし、実際の数値はわからない。
係数は走者環境によって変えるべきだが、そんな事したら誰も係数を覚えられない。
チームや投手レベルでの失点は、FIPが提案する線形approachには従わないが、方程式の中で指数を見たがる人はいないでしょう?
とはいえ、古典的FIPを示しながら、より具体的な選手評価に用いるため強化版も用意する事は、何も悪くない。この強化版では、TTO baseのwOBAつまりwOBAttoを使用。TTOは3つの真の結果HR、SO、WALK(WALKは実際には意図しない四球やHit by pitch)。そして、wOBAttoをwOBAfipに変換できる。

まずは「standard wOBA」から:

0.7四球
0.9Single
1.25double
1.6 トリプル
2.0本塁打
本塁打1本につき2点、不用意な四球や安打1本につき0.7点を合計し、PA(打席、IBBは除く)で割ってwOBA。アウトや三振の係数は0であるため、明示的に考慮しないことに注意されたい。

でも、明文化してみましょう:

0.0奪三振
0.0 打球OUT
0.7四球
0.9single
1.25double
1.6 triple
2.0本塁打
さて、上記を少し整理してみます:

0.0奪三振
0.0 打球OUT
0.9single
1.25double
1.6 triple
0.7四球
2.0本塁打

打球のOUT、single、double、tripleがひとまとめになっている事にお気づきでしょうか。これらは全てBall in Park(BIP)event、野手が関与するevent。FIP(Fielding Independent Pitching)では、野手が関与するperformanceとそうでないperformanceを分けて考えるので、ball in parkの結果については、投手に評価を与えない。20本の単打を打たれようが、0本だろうが、気にしない。
なぜなら、hitやoutを与えるのは投手ではなく、投手と野手のSynchronicityによって、そのような結果がもたらされるから。
投手が打球結果に与える影響は、後のSTEPで別の指標で扱う。FIPをできる限り純粋にしたいと考えている。OBPが安打と本塁打を区別しない(全て同じcount)ように、FIPもまた、Ball in Parkの結果については不可知論である。

Ball in Parkの平均wOBAは0.300。なので、その旨のwOBAfip式を作成できる:

0.0奪三振
0.3 BIP
0.7四球
2.0本塁打

2021年のジェイコブ・デグロムを例。彼は被本塁打が6本だったので、12点。彼は不用意な四球と安打が12個あったから、8.4点。146三振はもちろん0point。残り160BIPは48点。全て足すと48+12+8.4で68.4点となり、324PAで割るとwOBAfipは.211。この数値は、2021年、2 IP以上全投手の中でMLBをリードした。

wOBAfipをERAの尺度に換算するにはどうすればいいのだろうか。wOBAの2乗はRun scoreとほぼ近似。OBP×SLGが得点にほぼ直線関係を持つ事は、original Runs Created fanならよくご存じでしょう。wOBA自体がOBPとSLGのそれぞれとほぼ直線的な関係を持つので、wOBAの2乗はRuns Scoredと直線的な関係を持つ。

2021年、リーグwOBAfipは.324でした。デグロムは.211なので、リーグ平均の65%。二乗すると42%となり、デグロムの失点はリーグ平均4.27の42%、1.81。これがデグロムのwOBAfip。これを実際のFIPである1.28と比較すると、かなりの乖離。そして、2021年の彼のERAは1.08でした。つまり、wOBAfipを使ってClassic FIPの不完全性を全て修正しようとした結果、より悪い結果になってしまった。なぜか?主に、デグロムのBABIPがリーグ平均を遥かに下回っていた事に起因。もしwOBAfipの式で彼のBIPを.3ではなく.23としていたら、彼のClassic FIPに非常に近くなっていたでしょう。

言い換えれば、Classic FIPの全ての間違いが、正しい答えを出すために共謀した。そして、これはデグロムだけの問題ではありません。その season ERAと照らし合わせると、実はwOBAfipよりもClassic FIPの方が相関が少し強くなっていく。Classic FIPのsimpleさが通用しないのと同様に、全ての不完全さを修正し、複雑さと共に明確さを加えるFIPの再構築は、結局、私たちを助けてはくれない。オッカムの剃刀が、Classic FIPが生き残る理由なのだ。

一つ良いNewsは、Classic FIPを壊した極端なFIPの結果がwOBAfipで処理される事。

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