NaiveWARの紹介

要約

NaiveWAR(WARの最もSimple version)を作った。
2008年のオリオールズ(68-93)を使ってstep-by-stepでやってみよう。
ちなみに、この方法はあらゆるスポーツに適用できる。

まずは投手
「チーム防御率」という指標。2008年オリオールズは1422IPで869失点、1IPあたり0.611失点。もしガスリーが190.2IPでこれだけの失点を許したなら、116.5失点。82失点で、チームより34.5失点少ない。失点を10で割って勝利数に換算すると、ガスリーは+3.5WAT(Wins Above Team)。これを全投手。ジョンソンは+2.4、ギャレット・オルソンは-1.9。総和は当然0。

次に「試合」。オリオールズは161試合の内投手には7分の3(*)の69試合を割り当てる。1422IPなので、20.6IPごとに1試合を割り振る。
ガスリーの190.667IPは9.3試合。オリオールズの勝率は68/161、1試合あたり0.422勝なので、ガスリーの基準値は0.422×9.3=3.9勝。ガスリーは+3.5 Wins Above Teamなので、7.4勝。全投手に当てはめると、29勝。

(*) この数字はあまり重要ではない。お望みなら1/3を使って。

LossesはGamesとWinsの差。代替レベルを.300とすると、WARは勝利から0.3倍を引く。

野手は39勝。29+39=68、オリオールズは何を得たか。
野手naiveな指標は、R+RBI-HRのRuns Participated In。マーケイキスは173RPI(414打席OUT)。オリオールズは4121outで1360RPI=0.330RPI/out。つまり、オリオールズの平均選手RPIは、マーケイキスのoutを考慮すると.330x414=137。つまり、マーケイキスは+36 Runs Above Team +3.6 Wins Above Team(WAT)。161試合の7分の4つまり92試合を野手に与える。6211PAなので、67.5PAごとに1試合。マーケイキスは10.3試合。平均的オリオールズは1試合あたり0.422勝なので、マーケイキスは4.4勝からstart。3.6WATなので、彼は8勝2.3敗。8勝は、.300x10.3の代替レベルを4.9勝上回る。つまり4.9WARだ。

それがWARの始まりだ。穴にすぐに気づく。

fieldingはどこだ?
同じ打撃成績なら、SSの方が1Bより勝利数が多いじゃないか。
救援投手のLeverageはどうなんだ?
reliefより先発の方が大変じゃないか?
1勝につき、常に10失点なのか?
ねえ、RPIよりいい成績は残せないの?
おい、Runs/IPより良くできないのか?
これがNaiveWARから@fangraphsや@baseball_refで見るWARへの変換方法だ。NaiveWARもfWARもrWARも嫌いなら、行き過ぎたか、道を間違えたかどちらかだ。

NaiveWARから始めて、あとは好きな道を選んで、どこにたどり着くか見よう。
この定式化でTeam levelの勝利を維持する事を好む人もいる。
まずは分かっている事から始めて、必要ならば「timing」を含めたlayerを追加。

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