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旅からの学び

まず今回旅をし、最初に感じたのは
自分の「無力さ」だった。

「宿泊先の予約の仕方」

「移動手段の選択」

「日程の組み方」

前回のnoteにも書いたように環境を用意され続けてきた僕はこのように自分で環境を選択していくことが苦手だ。

「何とかなるだろう」と思い自分の意見を伝えず共に旅をしたピーダーセンくんと中途半端に連絡をとっていたら、いつの間にか旅をする2日前になっていた。

「まだ何も決まってない」僕は焦り始め自分の意見をはっきりとピーダーセンくんに伝えてお互い連絡を取り合った。

ピーダーセンくんの助けがあり、何とか前日に全ての日程が組めた。

たった1泊2日の旅をする日程も1人で組めない自分の無力さを痛感した。

普段僕が当たり前のように乗っているクラブのバス、アウェー遠征時の新幹線、飛行機、ホテルの手配などをこなしているマネージャーの方々は、本当に偉大な方だなと感じた。

「感謝」というのは、自分が実際に体験して初めて心の底から感じることなのだなとこの旅をするにあたって強く思った。

岡山駅に到着し、荷物を預けるため、コインロッカーを探していたが、なかなか見つからず困っていた僕らに、通りすがった方が声をかけてくれた。

「コインロッカーならあそこにあるよ」と親切に教えていただき本当に助かった。

まずは予定していた岡山城に向かった。

岡山城につき城の中に行こうと歩いていたら、案内人の方が話しかけてくれて、岡山城の歴史や仕組みなどを説明してもらった。

さらにその近くにいた、何度も岡山城に来ているという5人組の方達も、気さくに話しかけてくれて仲良くなり、岡山城の入場料を割引きしてくれるなど、岡山に着いてから立て続けにすごく人の温かみを感じた。

そんな時にふと、
宮台真司の「14歳からの社会学」で語っていた、 

「みんな仲良し」がホンネだった時代

というテーマの話を思い出した。

昔は、となり近所であれば、どの家にどんな人が住んでいるかをおたがいに知っていて、同じ年ごろの子供達はいっしょに外で遊んでいた。

けれど、いまはどうだろうか。
同じ町内どころか、同じマンションに住んでる人すら知らないことがよくある。

昔は「みんな」という言葉が誰から誰までを指しているのかイメージしやすかった、「みんな」の顔が見えていたから、「みんな仲良し」もタテマエではなかった。

現代は、情報化が進み、インターネットが出来たことで「他者」と関わることをしなくても満足して日々を過ごせる時代になっている。

「自分さえ良ければ他人はどうでもいい」という気持ちが自分自身もどこかにあったのではないかなと考えさせられたテーマだった。

そんな中、岡山で出会った方は、

「となりの人のことを自分のことのように思える」 

現代に必要な気持ちを持っている方々だなと感銘を受けた。

夜はFCガレオ玉島U -15の練習に参加した。

エコロジカル•アプローチを主軸として活動しているチームで、以前1度zoomで選手達と話したこともあり、今回は練習参加という形で招待していただいた。

練習では、非常に高度で質の高い練習の数々で、それを理解して吸収し、実践している選手達のレベルの高さにも驚かされた。

選手とともに練習をしていくなかで、僕らが選手達をコーチングする場面も多く作っていただいた。

指導者側の目線に立つと、どのように選手達に言葉を伝えたらいいのか、上から目線になっていないか、自分の積んできたプレー経験の感覚だけでコーチングしてしまっていないか。

など様々なことを考え、選手を目の前にして言葉を伝えることの難しさに直面した。

「このようにボールを蹴りなさい」

「このような場面ではこうしなさい」

「こういうボールタッチをしなさい」

指導者としての知識や経験がない分、プレーの幅を狭めてしまうようなコーチングだけはしないようにと心がけた。

選手と意見をすり合わせながらコミニュケーションを取っていくことで自分の言葉がうまく伝わってるなと感じる場面もあり、コーチングの面白さも感じることができ、貴重な経験となった。

練習が終わったあとには選手に、

「これまでのサッカー人生で意識してきたこと」を話す機会があった。

僕はヴェルディジュニア時代のJリーグ下部組織ならではの厳しい世界のことや、世代別代表での過酷な経験などをメインに伝えたが、

この年代の子供達に現実的な話をしてもいいのかという思いがよぎり、話している途中に何度も言葉がつまり、うまく言葉を伝えられなかった。

一方、僕の前に話したピーダーセンくんは伝えたい内容をしっかり選手に話すことが出来ていた。

そこでピーダーセンくんに「子供にうまく言葉を伝えるにはどうすればいいか」と相談した。

するとピーダーセンくんはこう答えてくれた。

「自分が選手と同じ年代の頃に大人の指導者が手加減して分かりやすく言葉を伝えようとしてきたときに、子供扱いされてるなって感じなかった?」

僕は核心を突かれた。

確かに自分が中学生時代、子供だと思われ、気を遣われて大人に話された時に、嫌悪感を抱いたことは何度もあった。

「選手は僕が思っているほど子供ではない」

僕が思ったことを本気で伝えることで、もっと選手が心を開いてくれるのではないかとピーダーセンくんの言葉から気づかされた。

ガレオの練習を通して、宮台真司の言う「みんな」の感覚が僕の中でタテマエではなく本音に変わった。

「楽しい旅の中に大きな学び」があり、純粋に旅を楽しみながらも色々な場面で自分の未熟さも感じることができ、非常に充実した岡山旅行となった。

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