オーバーロードの現実世界を考察してみる

アニメで流行ったオーバーロード、見た人もかなり多いと思う。
異世界転生物として人気の作品だが、小説の描写では所々に前世(鈴木悟)の世界観が描写されている。
その描写から転生した世界は何なのか、元メンバーはどうなっているのか、今後オーバーロードに登場する可能性があるのかといった点を考察していこうと思う。

鈴木悟の生きていた世界はどんな世界なのか

鈴木悟の生きている世界はどんな世界なのか、今よりも未来のお話で、環境汚染が進んでおり、国家よりも企業の力が大きくなっている世界と描写されている。
他作品で例えるとアーマード・コアの世界が同じ世界観だろうか。
アーマード・コアの世界観も荒廃した世界で企業間の戦争が起こっているという設定なので、ある程度考察をする上で参考になるのではないかと考える。
アーマード・コアの世界では大規模な戦争の後、各企業がコロニーを製造し自治を行った結果、国家の支配構造が崩壊し各企業の持つコロニーの統治へと移行されていった。
オーバーロードの世界では、星が見えなくなるほどの大気汚染、汚染されて見る影もなくなった河川、直接浴びると人体に重大な障害が出るほど汚染された大気と雨と中々にハードな世界になっている。
鈴木悟が住んでいるコロニーは2つに分けられており、安全が確保されたコクーンとその外にある汚染を完全に防げていない地域である。
たっち・みーは前者のコクーンに住んでいるようで、ここに住んでいる人は巨大複合企業など重要な企業や資本家だろう。
鈴木悟を含めたコクーンの外、下層の住人は中学にすら進学できず小卒で働いている一方でたっち・みーは大卒で奥さんと子供に恵まれた生活をしているようだ。
また鈴木悟の母親が過労死でなくなっていることからも下層の世界の住人は肉体労働が主な仕事になっていることは想像に難くないだろう。
知識の制限による支配と言えば転生した後のアインズがやっていた政策である。
このことから作者は意図して現代の社会状況を描写しているのだろう。
その一方で完全な隔離や情報統制しているわけではないことがユグドラシルのゲームから見て取れる。
上層に住むたっち・みーと下層に住む鈴木悟が同じゲームをプレイで来ているのであるからだ。
wikiなどを用いて交流が出来ていることからも生活自体は現代と同じ自由度があるのかもしれない。
この事から巨大複合企業がコロニーとその中の秩序運営を行っているが、企業だけで回っているわけではなく、下請けのような企業もまた多く存在しているのだろう。
そしてそういった下請け企業に勤めているのが鈴木悟を含めた下層の住人なのだ。

鈴木悟はなぜ転生したのか

転生物の定番と言えばトラックに轢かれる、である。
これはつまり現世で死亡した人間が異世界に転生するということである。
では鈴木悟が転移したタイミングとは何か。
ゲームのサービス終了である。
そんなことが死因になるだろうか?
確かにユグドラシルの接続方法か首に埋め込んだコネクタを利用して電子ダイブするもので、攻殻機動隊などに見られるものだ。
しかしサーバーとの切断で死ぬほど安全が確保されていないものであるか?
前述した通りユグドラシルは上層の人間も遊べるゲームとなっている。そんな危険な運営は出来ないであろう。
つまりここから推測されることは現世の鈴木悟は死亡しておらず転生もしていないということだ。
ではなぜ転移のようなことが起きたのか。この謎を推測できる記述として11巻、13巻の巻末に書かれている至高の四十一人のキャラクター紹介だ。
まずは13巻に書かれているベルリバーの紹介から。
このキャラの最後にこう書かれている。
【現実世界では世界を牛耳るとある巨大複合企業のマズイ情報を手に入れたことにより口封じのため事故死として処分されている。彼が手に入れた情報はある人物に渡っている】
そして11巻の巻末に書かれているウルベルトの紹介ではこう書かれている。
【余談であり、決して語られることのない話ではあるが、ユグドラシルというゲームが終わる瞬間、現実世界で彼はある人物と対峙している。両者ともに悪として】
さて、この記述でわかることは
・ユグドラシルのサービスが終わる瞬間に何かがあり、ウルベルトと誰かが両者ともに悪として対峙していた。
・ベルリバーはユグドラシルを運営している巨大複合企業の情報を入手、その情報を誰かに渡していた。
である。
ではベルリバーは誰に情報を渡していたのか。ウルベルトは誰と対峙していたのか。この謎を考察してみよう。
ユグドラシルとは全く関係のないことなのでは?といった考えもあるだろう。だがここではわざわざ小説の巻末に書かれていることを踏まえ、全て鈴木悟やユグドラシルに関連していると考え考察していく。
ユグドラシルからの鈴木悟の転移が巨大複合企業の手によるもの、と考えた場合多くの人間が想像するのはSAOのアインクラッド編ではないだろうか?
あちらもプレイヤーがゲームの世界に転移したと考えることが出来る。
SAOと同じように鈴木悟もゲームに監禁されているのか?ログアウト時に別ゲームに閉じ込められているのか?
答えは否だろう。巨大複合企業からしてみれば全く利益のない行動であり、もしベルリバーがログアウト時の監禁計画を考えていたならば鈴木悟を含めたギルドメンバーにそのことを伝えないはずがないからだ。
この事から人命にかかわる程ではないが法に触れる案件であり、巨大複合企業に始末されるほどの秘密だということだ。
この事から考えられるのはプレイヤーのコピーではないだろうか?
SAOアリスゼーション編でも人間の人格をコピーし、異世界で生活させ人工AIとして活用しようと言った計画があった。
作られた人格は将来的には軍用ロボットの制御AIとして転用される予定だった。
またグレッグ・イーガン著書の順列都市という作品でも人間の記憶全てをデータ化し電子空間で第二の生を送るといった話がある。
こちらは大企業の社長や資産家向けに自己を電子化することにより永遠の命を提供できるといったメリットを提示していた。
企業としては永久的にサーバー代をサーバー内に住む資産家の利益から得れる既存利益の塊のようなサービスだ。
軍の新兵器と富豪向けの永遠の命のサービス、巨大複合企業であればどちらに手を出してもおかしくないだろう。
サービスの終了後のユグドラシルを下地にして作られた世界に電子化した鈴木悟を配置した。これが異世界転移の真実ではないだろうか?
ただ人間を電子化させてしまっても自身がデータという事実に耐えられなくなり廃人化してしまう。
ならばユグドラシルと言うゲームを作り、その世界で10年以上遊ばせ、ゲームと現実の境界が曖昧になっている廃人のデータをコピーし異世界に転移したかのように見せかける。
これが巨大複合企業が考えた計画でありベルリバーの入手した情報であろう。
いくら企業が自治しているとはいえ、勝手に自身のコピーを作成し実験台にするなんてことが許されるほどのディストピアではないことは作品の娯楽などの自由度(エロゲや声優と言った職業が存在している)からわかる。
ではこの情報をベルリバーが誰に渡したのか、そしてなぜ始末されてしまったのか。
普通に考えればサービスが終了する瞬間に何かをしていたウルベルトではないかと考えられるが、ゲーム時代に散々悪としてのロールプレイをギルド一していた男にそんな情報を渡すだろうか?
私はベルリバーが情報を渡した人物、それはたっち・みーではないかと予想する。
彼は正義と言ったものに固執していた描写がとても多く、異業種狩りを手助けしていった結果アインズ・ウール・ゴウンが出来上がっていった経緯がある。
仮にベルリバーがたっち・みーに助けられた過去があるとするならば秘密を話す人物はたっち・みーしかいないのではないだろうか?
しかしMMOでのロールプレイは現実では出来ない自身への憧れの反映だ。
あれだけ正義に固執していたたっち・みーは、現実では正義の味方とは相反する人物ではなかったのではないだろうか?
PKや悪行を主としていたギルドにおいて、もし本心まで正義に殉ずる人物であったならば止めるか抜けるかしておかしくない。そのことから彼も根本では悪人であったと考えられる。
以上から整理すると。
・ベルリバー、ゲーム中に情報を偶然入手したっち・みーに相談。
・たっち・みー、巨大複合企業にベルリバーなる人物が情報を入手したと密告。
・ベルリバー、事故死として処分される
・ウルベルト、企業スパイとしてベルリバーからの情報を元に手に入れた情報を他企業に流す直前たっち・みーと対峙
この流れが現在開示されている情報から読み取れる考察である。
両者ともに悪として対峙していたという描写から仮にどちらが勝っていても事実は闇に葬られていたはずなので、鈴木悟のデータを利用して行われている箱庭実験は継続されるはずだ。その世界こそオーバーロード本編の世界なのである。

なぜ鈴木悟は八欲王が現れた500年後に転移したのか

企業が運営している世界での出来事を前提とした場合、転移した順番にも意味があるはずだ。
人間を電子化するうえで一番の難題とはなにか、それは感情の数値化である。
電子化した人間は当然感情もデータによって変化するので、兵士として運用するにしても富豪用のサービスとして運用するにしても感情を制御するのは必須である。
何よりもまず企業は感情の制御を目指すはずだ。
八欲王は最後にはお互いに滅ぼし合ったと作中で語られているが、自身が死ぬ危険性を抱えてまで殺し合い続けるだろうか?
でやは欲望の発露の次に行う実験はなんだろうか?
それは全ての欲を抑圧したデータである。
感情を全て抑圧された人間のデータを収集する対象として都合のいいアンデットアバターの人間、それが鈴木悟だったのだ。
作中でもアインズの精神状態がどんどん変化している描写がある。これは企業側からアインズへの感情実験の介入があるからではないだろうか?
アインズは自身がアンデットであるから大きな感情は抑制されると考えているが、アインズ以外のアンデットには感情抑制をされている描写はあまり見当たらない。
シャルティアやイビルアイ(キーノ)もそうであるし、六腕の不死王もそうだ。
そもそもアンデットは生者に対して恨みの感情思っていると描写されている。
だがアインズはアンデットの感情に火木津られテイル描写がない。
この事からアインズ(鈴木悟)は特別強い感情抑制を受けていると考察できる。

それぞれの召喚されたプレイヤーの役割

アインズを含めプレイヤーが召喚されたと思われる回数は三回
一度目が八欲王
二度目が十三英雄
三度目がアインズ・ウール・ゴウンである
一度目が欲望の発露
三度目が欲望の抑制といった目的があるとすれば、二度目の目的は何か。
そのヒントはオーバーロード外伝、亡国の吸血鬼に書いてある。
この外伝はオーバーロード本編の200年前、イビルアイが吸血姫になってすぐの時代だ。
本来であればこの後に魔人の復活とそれに伴う戦争が起こるがこの外伝では起こっておらず、鈴木悟自身も200年間世界中を旅して回っていたがそういった人物に遭遇していないようであった。
その一方で200年後にナザリックは転移してきたため、運営の予定にあったのは一度目の八欲王と三度目のアインズ・ウール・ゴウンの転移であり、十三英雄は魔人の侵攻というイレギュラーに対処するため急遽召喚されたのではないだろうか。
ではその中身とは誰なのか?
本編の記述からレベルが著しく低く、だが段々と成長し強くなっていったと書かれている。
そして最後にはツアーによって殺されたような描写も。
この事から考えられるのはイレギュラーに対応するためにこの世界にログインした企業の人間なのではないだろうか?
であれば新規アカウントでログインした結果レベルが1であるのも想像できるし、最後に女神を降臨させる(企業のシステム管理者?)といった流れも理解できる。
本来であれば時期を置いてアインズを利用した感情抑制実験を行うつもりだったがイレギュラーが生じたために世界の安定のため現れたプレイヤー、それが十三英雄の役割ではないだろうか?

元ギルドメンバーは登場するのか?

絶対とは言えないが登場する可能性は低いだろう。
なぜならばギルドメンバーを登場させることはアインズに対する感情抑制の実験に相反することになるからだ。
最終負荷実験として最後にアインズを元ギルドメンバーのデータと戦わせることはあるかもしれない。
だがその頃にはアインズはなんの感情も動かない人間になっているだろう。
ではギルドメンバーのデータはどうなっているのか?
守護者の感情や思考ルーチンを作る基礎にされたのではないだろうか?
守護者から創造主の面影を感じるのは10年間の間に蓄積させていたギルドメンバーのデータを利用してキャラのAIを作ったからだろう。
鈴木悟だけが選ばれた理由はたっち・みーと親しく
彼が友人もいない感情が乏しい感情を容易に抑制できる人間だったと知っていたからかもしれない。


最後に

オーバーロードの現実世界側の設定は細かく散りばめられているが如せん確定情報が少なく、妄想が多分に含まれた考察になってしまったこと謝罪する。
備忘録代わりに書いた内容なので後日加筆修正するかも知れない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?