ある廃屋と子供達

◆月▽日
「今日の仕事はなんだろなぁ」
ラボをてくてくと芋を食べながら歩き回り仕事の確認をしに行く
ボードには【全休】と記入されており
久々の休暇に何をするか悩みつつ
下層の子供たちと遊べてなかったしちょうどいいと考え向かうことにした。


~下層にて~
「おーいみんなぁ」と叫ぶと空き家の中から数人の子供たちが出てきた
今日は何して遊んでくれるの?何食べる?芋あるよ!と様々な話題で押し悶着

「待って待ってとりあえず中にはいろ?!」
わちゃわちゃとした子供達に手を引っ張られ家の中に入っていった
この中には色ツキの子などもいるが仲睦まじく過ごしているようでひと安心
「遊ぼ 遊ぼ」と言われちまちま始まる遊びはいつも通り おいかけっこや本の読み聞かせなどをして過ごし
「皆ぁ~芋の煮物作ったよー!」とおひるご飯に子供のいる親御さんたちが合成肉と共に持ってきてくれた

「ここにきてまだそんなに月日も経ってないのによくこんなにも馴染めたね」と昼食を取っていると声をかけられた
確かに大鳥居から投げ出されて数か月が経った
「まだ何にも思い出せていないんですけどねぇ」と芋を口の中に頬張り答えまた一口もう一口と頬張っていた
あの日は何も思い出せずただひたすらに走り回り
夜の寒さに震えこの空き家にたどり着いた

朝になり
この空き家は子供たちのたまり場ということに気が付いた
物珍しそうに見つめてくる子供たちを見ては
怯えずに話せる人たちがいると感じ緊迫していた糸が途切れ泣き叫ぶ
そんなボロボロの女の子に優しく声をかけてくれたこの子達には今でもとても感謝している

「あの鳥居もよくわからないので思い出したら戻ってしまうかもしれませんね」と冗談半分でぽろっと口に出した一言に
Leiという男の子が「だめ!!!まだ緑ちゃんの本当の名前も聞いてないのに帰っちゃダメ!!」と叫ばれた
まぁまぁと手を振り笑い合っていたらあっという間に一日が過ぎていった

帰り際色ツキの少年に「そういえばこの間こんなもの見つけたのよ」と声を掛けられ
ガサゴソとカバンから取り出したのはオーパーツだった
「これどうしたの?」
「はずれの道に落ちてたから渡しておこうかと思って。
取引にも使えたけどやっぱり自分のお金は自分で稼ぎたいよね!!」
どこかの企業が落としたのかなと考えつつこれ誰に渡せばいいんだろうと頭を抱えつつ受け取り

「またくるね」と一人一人の頭を撫でた後皆の元を後にした

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