「オメラスを去る人々」

オメラスから歩み去る人々
ゲド戦記の原作者でもある
アーシュラ・K・ル=グウィンの短編小説集「風の十二方位」に収録される一編

正直、著作権は切れていないが大筋はネットに書かれてはいるが個人としてはこの一冊を通して読むことを強く勧めたい

多くのクリエイターが影響を受けているのではないかと思う
この衝撃的な短編に影響を受けて様々な人がアンサーを出そうとするような重いテーマである
「オメラスを歩み去る人々」も含めてアーシュラの作品はSFなので現実から乖離した世界観ではあるが、自分が生きている現実の様な生々しさと読後の心地の悪さがある

この作品を読んだ作家たちは、この愛されぬ罪悪感を拭うためにアンサーを出さなければならない衝動に駆られるに違いない
多くの物語の根底にオメラス市の構造が潜んでいる。
まもなく完結を迎える「宝石の国」もオメラス市の構造になって間違いなく読者は自分がオメラスの住人であったらどうするかを考えざる得ない
何故なら我々が生きる社会も半分オメラス市なのだから、世界のどこかに不幸な子供達がいる
それを分かっていながら生活を投げ打って休載することもできず見て見ぬ振りをしているのは地下室の子供を見捨てるのと同じだろう
だが、どうしたって我々には可哀想な子供たちも地下室の子供も救う力はないのだ

オメラスの地下室の子供を救い出したいという気持ちはエゴであるだろう
きっとオメラスの住民はたった1人の子供を救うために100人の幸福を犠牲にするのかと、必ず抗議の声を上げるだろう
事実歩み去った人々は社会の矛盾に苦しみ貧しい生活を送っているのだから、幸福を望む人間を不幸な境遇に送ることも罪深いだろう



こんなクズの街とっとと滅ぼせよ


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