オッペンハイマーと日本人

成程、オッペンハイマーという人間の伝記映画を見るにあたり彼はただ"原爆を開発して、使って後悔した天才科学者"ではない事を日本人は知っておく必要がある

オッペンハイマー自身と取り巻く環境をレイヤーを分けて考える必要がある
アメリカとソ連の冷戦
冷戦に伴い両国が核兵器開発で争っていた
冷戦の頃には原爆よりも水爆に注視が向けられた
マンハッタン計画の一員でエドワードテラーというマッドサイエンティストな部下がより威力の高い水爆を作りたがっていた
テラーは科学者としての絶対的自信と自己顕示欲が強く己を認めない人間を許さなかった
アメリカの共産主義者迫害期
オッペンハイマーの弟や妻、恋人が共産主義の徒党に入っていた背景
ソ連は共産主義である
オッペンハイマーも自己顕示欲が異常に強く、科学者としてだけではなく政治や軍事的な名誉も欲した
科学者は政治家の戦争の道具でしかない、思い通りに動かなくなったら捨てられるし、社会にとっても人民によって都合のいいように使われ捨てられる哀れさ
ストローズはオッペンハイマーに私怨でソ連のスパイ容疑を要職から追放した
テラーは水爆開発を認めなくなったオッペンハイマーに私怨があり科学者で唯一詰問で彼が黒であると証言した(その後テラーは科学者界隈から総スカンされる)
後にオッペンハイマーはスパイ疑惑含め名誉は回復する

この作品を見て思うのが、アメリカは日本を軽んじていると怒る日本人とバーベンハイマーhappyな外人たちの自己中心さ
視聴者の母国や知識量によって受け止め方が変わる内容ではあるがアメリカでオッペンハイマーの罪や原爆の被害を想起させる演出をやること自体が挑戦である
白人やアメリカ人達がアジア人の命なんて蟻より軽いと思っているのは事実だが、ノーランがその差別意識で映画を作っているようには思えない

オッペンハイマーを正義のヒーローや悲劇のヒーローとして描かないようによくよく注意をはらって脚本は書かれている

ここまで思想が強く今もなお世界が核で壊れるかもしれない危険に侵され、科学者エゴと罪について言及される作品を見て楽しかったーきゃっほーというリアクションができる外国人は心臓に毛が生えている

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