WAIS4を受けた所見と感想

精神科に通い始めて3ヶ月、やっとWAISを受けることができた。本稿はその記録である。長くなるので、必要な情報をかいつまんで読んでほしい。

https://note.com/kagakuma/n/nff87f2fcdd9b

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受けるまでの経緯


ADHDの疑いは中高の頃からあった。遅刻・忘れ物が多く、提出物は失くし、先延ばし癖が酷い。しかし親は発達障害に理解がなかった。精神科に連れて行ってほしいと言えば笑われて終わりだった。大学進学とともに実家を出て、京都に来たが、精神科に行くのが面倒くさくて1年先延ばした。下記の症状が出てきて、このままでは卒業できないと判断し、受診した。

・朝起きて辛くなり、そこから2週間大学に行かず部屋に引き篭もるやつを毎学期やる。
・大学に行くと何も無いのに泣き出す。みんなは当たり前にやれているのにすごく辛い。体力の消費が激しいと感じる。
・お風呂に二日以上入れないことがよくある
・お風呂に入れないからパジャマにも着替えられず床で寝る
・鞄ごと失くす
・新幹線のチケットを改札通って5分で失くした
・テストに起きられないのが原因で5単位落とした
・1年で15単位落とした

初診では症状や普段の生活、最近の気分、家庭環境などについて話し、いくつかの検査を行った。私の目的は2つ、WAISを受けて得意不得意を知ることと、本当にADHDなのかハッキリさせることだった。しかし、初診の段階では抑うつ状態が酷かった。脳の機能が落ちており正しい数値を出せないと判断され、まずは投薬治療を始めた。抑うつ状態はマシになり、症状も安定してきた為、WAIS受験に至る。



各指標について


私はかがくまさんの説明を基本全面的に信頼しているので、冒頭に貼った記事の無料範囲から引用させていただきます。

WAIS4の検査そのものでわかるのは、言語理解、抽象的推理、知覚統合、量的推理、記憶、処理速度に代表されるものです。

要するに頭の良さと呼ばれるものですが、
・言語理解:言語的な知能
 見られるところ「物識りか」
・知覚推理:非言語的な知能
見られるところ「論理的発想力があるか」「数学・図形・空間認知能力」
・ワーキングメモリ:即応力
見られるところ「短期記憶を使って上手に操作できるか」「言われたことを頭の中で状況に合わせて即座に実行できるか」
・処理速度:注意力・処理能力など
見られるところ「一定の負荷がかかる処理を継続的に素早くできるか」

という検査項目に相当すると理解しています。

特に勘違いが多いのがワーキングメモリで、これは記憶力の良さではありません。みんな一定の短期記憶力は有していて、認知症でもない限り差がつくことはないでしょう。しかし短期記憶を用いて頭の中で複雑な操作ができる能力となると大きく個人差がでます。私はこれを即応力と表現しました。

https://note.com/kagakuma/n/nff87f2fcdd9b


この4つをさらに細かく分類した基本下位検査項目、補助下位検査項目の結果を踏まえた報告書を作ってくれる病院もあるようだ。私が受けた病院では上記の4指標と全検査IQの結果、その総括しか知らされなかった。

出典:WAIS-IV知能検査|日本文化科学社



結果

全検査IQ
=103(平均)
言語理解
=115(平均〜平均の上)
知覚推理
=97(平均)
ワーキングメモリー
=89(平均の下〜平均)
処理速度
=99(平均)

平均は90~109、つまりド平均。項目に差はあれど大体ド平均。しかしWAISでは、その「項目の差」が問題なのだ。以下は、心理士さんが作成してくれた報告書のコピペである。



報告書


・全検査IQ
全体的な知的能力は年代平均に位置しています。しかし、4指標得点の間の差が大きいため、全検査IQは参考程度に考えてください。
・言語理解
語彙力や一般教養、社会的な常識などについて、年代平均以上の知識を持っています。自分の考えを説明したり、意見を伝える力もあります。言葉を使って考えを整理し、推論、判断、問題解決も行えます。
・知覚推理
視覚情報を素早く理解する力があります。例えば、間違いを見つけたり、直感的に違和感に気づいたり、見本通りに再現することに長けています。一方で、取り入れた情報を基に推論することが苦手なようです。急な状況に適切に対応することや、先の見通しを持って行動すること、そして「自分で考えて行動してね」といった指示を苦手に感じやすい可能性があります。

例えば、みんなでBBQの準備をしているとして、その場で誰が何をしているのかまでは理解できるけど、自分が何をしたらいいかは分からない……といった感じ。と説明されました。

・ワーキングメモリー
比較的単純な情報や作業なら処理できるようですが、作業の複雑さが増すと処理が難しくなることがわかります。一度に処理できる情報の量が少ないと考えられます。
・処理速度
手を動かして作業をしているときは問題ありませんが、視線だけを動かして作業するときは速度が落ちることがあります。雑多な情報の中から何かを見つけたり、見るべき場所に注視し続けることは、やや苦手かもしれません。


総括


また、医師の勧めでついでにWMS(記憶力と注意・集中力を見る試験)とロールシャッハテスト(現在の心理状態や性格の傾向を見る試験)も受けたので、その結果も踏まえての総括とする。私は一度に取り込める情報や処理できる情報が少なく、記憶の仕方が上書き保存らしい。層をイメージしてもらえると分かりやすいと思う。記憶が積み重なって、下に埋まっている記憶が自分で取り出せない。記憶がどんどん積み重なってしまうので、過去の記憶が薄れていき、目の前のことにしか対応できなくなってしまう。正直なところ、自分は自分の脳みそしか持たないから、みんなこうじゃないの?と思っていたのだけど、どうも人よりできないらしい。恐る恐る主治医に「私ってADHDなんですか……?」と聞くと、「ADHDとASDの混合だね」と返ってきた。私って、ADHDとASDの混合らしい!ASDの自覚はない。
また、「目の前のことにしか対応できない」という点に関することとして、以下のようなことも苦手に感じやすいらしい。

・自分で考えて計画を立て、事前に動く。
・複数のタスクを同時に処理する。
・予期せぬ状況に対処したり、臨機応変な行動や対応をする。
・知識を応用して新しい状況に対処する。

なまじ言語の値が高いだけに、弁が立って頭良さそうに見えるんだけど、いざ働かせてみると「自分で考えて行動してね」ができず、複雑な作業が苦手だから、第一印象が良い分余計能無しに見える……というなかなかの現実がWAISを通して明らかになりました。さらにWMSで記憶力と注意力と集中力も常人より低いことが分かったので、仕事は慎重に選ぶべきでしょうと主治医に言われました。(実際はもっとオブラートに包まれています!)全部心当たりがあるんだけど、本当にそうですよ!と言われると、くるものがある。
しかし、こうした苦手さに対して、「見通しを持てる」「具体的に想像できる」「手順や目標が明確である」環境では、苦手な感覚が軽減される可能性があるそうで、もう少し掘り下げてしっかり自己分析したら自分に合った職業も見つかりそうな気がしている。

さて、本当にそうかな?(就活に続く_______)


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