自分で登記をした方にインタビューしました!

インタビューに快く応じていただいたのは,夫と子を持つ大変ステキな30代の女性(美紀さん@仮名)です。管理人二名の地元で暮らしています。
ご自分で登記をしたと聞き,「ヤッテミレバ」という相続登記を自分でする人を応援するコミュニティを立ち上げるので是非お話を聞かせてくださいと,管理人が頼み込みまして,インタビューが実現しました。

美紀さんが,まず苦労したのは,土地を探すことでした。はじめは地番と番地の違いもわかりません。亡くなった祖父から何も聞いていなかったので,土地の地番や場所がまったくわかりませんでした。都会の人からすると,土地がわからない?って意外なことかもしれませんが,農地や山林などが多数あり,家族もよく知らないということは農村ではよくあることです。法務局からは権利証を探すよう言われたので権利証を探してみましたが,権利証をみてもあっちこっちに土地が散らばっていて,さらに換地とかもあり,結局よくわからなかった。なので,土地が漏れ落ちてるんじゃないかということがとても心配でした,とのことでした。

ネット検索について尋ねると,たくさん出てはくるけど,難しい言葉を使っていてよくわからない。次のサイト,次のサイトって行くんだけど,またわかんないの繰り返しで,とても嫌になった。ネットは聞きたいことの答えが全然出てこない。私の場合は遺贈登記(遺言による贈与で,相続登記とはちょっと違う)だったんですが,最初はずーっと相続登記を検索してて,それじゃないんだということがわかるまで,とても時間がかかりました。仕事をしてるから夜しか調べものはできないので,夜はずーっとネットに張り付いて探してました。

美紀さんは,自分で登記しようか司法書士に頼もうか迷い,一度,司法書士事務所に相談にも行ったそうです。当初,ネット上でとても感じのよさそうな事務所を見つけ,絶対ココがいい!と予約の電話をしたのですが,明日は予約でいっぱいとのこと。明日がダメだと仕事の都合でさらに一週間待たなければならない。でも,疑問点がわからず頭がモヤモヤしたこの状況があと一週間も続くと思うと待っていられず,別の司法書士事務所に飛び込んだんだそうです。それを聞いて,管理人は,自分でネットで調べるってすごいストレスなんだなあと感じました。
司法書士ってどういう印象がありますかと尋ねると,相談した司法書士は男性だったんですが,正直言って,とっても感じが悪かったとのこと。初対面で最初のコンタクトがいきなりお金の話で,有料相談ってわかっているのに,お金がかかるよ(ちゃんと払えるの?)っていう嫌な感じを受けたそうです。さらに,司法書士の忙しくて時間がないアピールがすごくて,美紀さんは固まってしまい,聞きたいことも聞けずに相談が終わてしまったとのこと。とにかく,言葉の端々に,自分でするのなんて無理だからこちらにさっさとまかせろっていう感じがバシバシ出ていて,「落ち込んで帰ってきました」とおっしゃってました。
「いっしょにお茶とか絶対に飲みたくない!」と感じる人だったそうです。

法務局の登記相談はどうでしたかと尋ねました。最初に出てきたやや年配の男性は,言葉はきつめでスパルタだったんですが,わかるまで何度も説明してくれる方でした。年が明けて行ったら,前回の人は担当部署が変わったようで,別の若い人がでてきました。その若い人は,早口でバーっとまくしたてる人で,メモも取り切れず,家に帰ってメモを見返しても全然理解できなかったとのこと。前回の方はたまたまとても親切な方だっただけで,出てくる人によって全然ちがうんだなあという感想を持ったそうです。
最初のやや年配の職員がいてくれなかったら,自分で登記はできませんでした。登記ができあがって取りに行ったときには,その年配の職員も一緒に喜んでくれて嬉しかった,と話してくれました。

結局,美紀さんは,法務局には10回前後,市役所にも4~5回は通い,1か月半くらいの間,休日をほぼ全部費やしたそうです。

その他苦労した点を聞くと,土地を漏らしたくなくて,ネット情報で法務局で地図をとるとよいとあったのでとったんだけど,地番しか出てなくて全く役に立たなかった。市役所に行き地番図というものがあり,こちらは地番と所有者等があって,最初からこれをとっておけばよかったと後悔したとのこと。
また,登記記録の調査も,はじめ法務局の窓口で要約書と登記事項証明書と二種類あると聞き,経費削減のため料金の安い要約書をとったんだけど,仮登記とかがついていたりしたせいで,結局,登記事項証明書をとるはめになり,これも最初から登記事項証明書をとっておけばよかったと後悔したそうです。

ネット情報の良い点と悪い点を尋ねたところ,良い点はほとんどなかったとのこと。(遺贈登記だったためか)とにかく自分にあてはまる情報がなくて困った。登録免許税も,計算方法はたくさん出てくるけど,実際に数字をあてはめて計算してみせている事例がなくて,とても困ったとのことでした。

なぜ自分で登記をしようと思ったんですかとの問いには,ズバリ,お金をかけたくなかったからとの回答でした。

逆に,美紀さんから,管理人二人に,率直に聞いてみたいことがあります。「ヤッテミレバみたいなサービスを無料でして登記ができる人が増えて困らないんですか?」との質問を受けました。
確かに,世の中の同業者の中には,本人でもできることなのに,いかに本人にできないと思わせて仕事をとろうかみたいな人がいます。実際,同業者の会合で,「法務局の登記相談に今日も〇人待ちって表示があったよ。仕事がどんどん減っていく・・・」なんて声を聞くこともあります。
しかし,私たちは,本当は自分でしたいのに,ちょっとしたコツがわからないためにできない方からまで,お仕事をいただこうとは考えていません。「これは自分でもできますよ」と本当のことをいう人の方が信頼され,そういう人の方が,結果的にお仕事もいただけると考えています
とお答えしたところ,モヤモヤしていたところがスッキリしましたと笑顔でおっしゃってくれました。

以上,いかがでしたでしょうか?ご自分で登記をしようと悪戦苦闘していらっしゃる方には,そうそう,あるある,と共感したところも多かったんじゃないでしょうか?
美紀さんからいろいろお話を聞くことができて,意外とこういうところがつまずきやすいんだなということがよくわかりました。この辺をヤッテミレバの運営にもいかしていきたいです。
美紀さん,長時間のインタビューありがとうございました!
(文責:和久井善之)

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