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初デートは高杉晋作

 妻との初めてのデートは長府であった。功山寺にいった。
 八・一八クーデターにより、長州派の七卿のうち五卿が落ちていった(注;わからない人は八・一八クーデターで検索)場所である。藩内の俗論派と戦うために高杉晋作が挙兵した(注;わからない人は回天義挙で検索)場所でもある。その時の様子の銅像が建っている。。高杉晋作が主役のドラマでは、欠かせないシチュエーションである。
 功山寺の五卿が実際に暮らしていた部屋の中までみることができた。薄暗く5人が暮らすには狭いかな、と思うスペースだった。
 外に出ると、幕末の志士たちを供養するため、全国から寄せられた石で組まれた万骨塔 と呼ばれる石の山がある。一つ一つの石に幕末維新の英傑の名が刻まれている。坂本龍馬や中岡慎太郎、平野國臣、三吉慎蔵、西郷隆盛等々。
 妻はバスガイドであったので、大まかな歴史に詳しかった。僕もこの時代の人たちには、それ以上に詳しかったので、何故かそれぞれの名前に懐かしさを感じ一人一人確認しては石を触って回った。僕は初めて来たので少なからず興奮した。
 その日、妻は熱が少しあったようだったが、無理をしてキュロットスカートをはいていた。1月21日。冬の寒い日。妻の誕生日の前の日だった。
 そういわれるまでしらなかった僕は、ポケットをまさぐり、丁度いい具合にビー玉が一個出てきたので、それを最初の誕生日プレゼントにあげた。前もって知っていれば、もうちょっと気の利いたものを買っておくんだったけれど、まあ洒落のつもりだった。相手はどう思ったかしらないけれど。
 後日改めて、司馬遼太郎の小説を何冊か買ってプレゼントした。結婚したら同じ本がいくつか2冊になってしまったので、僕の分は捨てた。
 東行庵にもいった。高杉晋作他奇兵隊の墓があるところだ。小さなこんもりとした山に墓がいくつもあった。その一角に高杉の資料館があった。そこを一通り見学したあと、車に戻った。まだ寒い時季ではあったが、梅がもうじき咲きそうなそんな雰囲気だった。
 断捨離で司馬遼太郎の本は全部捨てた。ビー玉も行方知れずである。

 


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