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レントシーキングに陥らないようにするには

 農産物の輸入の仕事をしています荒川防火水槽研究会と申します。名前は趣味のブログからそのまま使っています。今回は、どうしたら「レントシーキング」に陥らないようにできるか。


1 レントシーキングとは

 私の嫌いなものの一つは「部分最適」です。全体を見ずに自分の周りの最適化を図る考え方はサラリーマン社会でも広く存在し、組織全体には悪影響なのに、自分や自部署の都合のいい様に振る舞う行動が見受けられます。

 こうした発想の背景には、「何事もレントシーキングが大事」という考え方が日本に浸透しているからではないかと考えます。

 ここで私が「レントシーキング」という言葉で表現しようとしているのは、"希少性のあるものを自分の都合の良いように確保して利益を独占しようとする行動"です(経済学的にはもっと正確な説明があるはずですが、ここは経済学のお話しではないのでご容赦下さい)。

 比喩で言うと、有名な観光名所の前にあるお土産さん。"その場所に店があること"で超過利潤を得られるので、お土産のクオリティを上げるより、その土地を確保してライバルの販売を邪魔するのを優先する行動です。結局割りを食うのはお客さん。


2 なぜレントシーキングに陥るか

 こうした「レントを確保して逃げ切る」ことが重視される理由には、我々が受けた教育の影響が小さくないと思います。我々は狭き門の大学に入り、資格を取ったり正社員になれば一生レントが確保できる、と刷り込まれて来たからです。

 また、レントシーキング以外では利益が確保できないような経済だから、という理由もあります。昔のような"マーケットに広大なフロンティアが広がる幸せな世界"と異なり、今は市場の隅々までサービスが行き渡っているので、お客を壁で囲い込んでライバルが来ない様にするしかない、という状況です。


3 レントシーキングのデメリットをどう回避できるか

 自分のレント=既得権益を囲い込んで籠城する仕事は、サラリーマンとしてはとにかく面白くありません。大きな組織で働く時に感じる"やり甲斐の無さ"はここに原因の一つがあると感じます。こうした時代、部分最適に陥らずに価値を出すにはどうしたら良いのでしょうか。

 不自然なレントを不自然な壁で囲うのではなく、自然なレントを自然な壁で囲うしかないと考えます。では"自然なレント"とは何か。私は、

「正しいことを地味に時間を掛けて続けてきたこと」

ではないかと考えます。

 発想がなんだか時代錯誤かも知れませんが、これはジェイ・バーニーという人が企業の強みを説明するのに使う「模倣困難性」という考え方をヒントにしています。ライバルに取って変わられない強みの源泉は、長い時間を掛けて独自の経過を辿り発達して来た特徴である、という考え方。企業にも個人にも同じことが言え、一貫性を持って続けてきたことこそ、自然なレントとなり自然な壁になるのではないか。

 近藤麻理恵さんや、最近見直される生協さんの活動などを見るにつけ、「スピードの速い今の時代こそ、一貫した取り組みを続ける事が大事」と自分に言い聞かせています。

#レントシーキング  

#部分最適  

#近藤麻理恵  


 

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