ユング心理学コミュニティ

ユングとわたし

自分がユングと出会ったのは小学生の頃。図書館で河合隼雄の「こころの処方箋」を読んだときだった。マセガキだったかもしれないけど、ユングという3文字に、そして臨床心理学という言葉に惹かれ、気がつけば心理学徒として思春期を過ごし、今はそれを糧に学校現場で(ユングという言葉は一切使わず)臨床の現場だと思って仕事をしている。

ただ、ユングについて腰をついてじっくり取り組んだことがなかった。カウンセリング分野ではロジャーズを中心にしたパーソンセンタードアプローチ(これももう死語に近いけど)を学び、大学院以降はユングの系譜にあるアーノルド・ミンデルのプロセスワークを学んできた。それ以降は、学校現場にいたからソーシャルワークに近い内容ばかりである。

このままユングに触れないままと思っていたら、性格分類のアルファベット4文字が流行ってしまい、意外なところでユングがいろいろな人の目に触れる。また、成人発達理論に関する本が書店に並び、実は発達心理学を愚直に突き詰めたはずのユングが、いろいろな理由でその仲間に入っていない。成熟とはなにか、そのために取り組む課題は何か。それらについて、自分をモチーフに戦ったユングの姿が、そこにはなかった。

「分析心理学セミナー」が発表されてから100年以上たった今、なくなってから60年が経過した今、ユングについて学ぶ必要はないかもしれない。それでも、自分の周囲をチラチラするユングという人、そして言葉に、今一度、戦いと言わないでも、向き合って行けたらと思って、ここにはじめの言葉としたいと思う。

具体的に何をしたいのか

最初はユングに関する書籍のレビューから始めたいと思う。そこからできること、例えば他のコミュニティとつながることだったり、自分でコミュニティを作り出すことだったり、いろいろな世界とアクセスしていきたいと思う。

そう思う理由の1つに、ユングの本を読んだという人があまりにも少ないことが挙げられる。いや、それは正しいことで、ユングは難解過ぎて、教え子たちがまとめた本のほうが非常にわかりやすい。それでも、そうした教え子の人たちの本すら読んでいないのに、MBITについて語りだす人(主にビジネスパーソンやコンサルと呼ばれる人たち)があまりにも多い。原理主義になるべきではないけれど、愚直にユングと向き合って、そこから考えていくことがしたい。そこから、人と繋がっていきたい。ただそれだけだ。

あともう1つは、アートの世界とのつながり。ある映画の評論で「ユング的」という言葉が書かれていた。グレートマザー、ペルソナといった魅力的な言葉がそこにはあって、たしかに解説するのに非常に便利だったりする。むしろ、無意識の世界、形而下の世界のことでは、ユングが最も得意とする領域だったりする。今一度、そこの領域を言葉にしていく術をユングに求めたいという思いがある。

他にもいろいろあるけれど、とりあえず、最初のうちはユングに関する書籍のレビューから始めたいと思う。日本には幸いにして翻訳や解説が他国と比べて非常に充実しているので、それらをここでメモしていけたらと思う。

初回は、悩んだけれど、河合隼雄「ユング心理学入門」から。1960年代にユングを日本で紹介した名著の1つだけれど、実はこれのためにユングが原型心理学の人、という捉えられ方をしたというのもある。その辺も含めて考えていけたらと思う。

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