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連載企画「私たちは同じ世界を見ている」第一回:三菱地所×AWL×ボーンレックス

ボーンレックスは、WakuWaku the Worldをミッションに掲げ、挑戦者が挑戦者であり続けられる世界を目指しています。そしてわたしたちは、この世界観の実現には、仲間の存在を欠くことはできないと確信をしています。ひとりでは叶えられないけど、仲間と一緒なら叶えられる。そう信じているのです。

―異なるミッションやビジョンを掲げていたとしても、違う業界にいたとしても、わたしたちは皆、豊かな社会の実現を目指している。
連載企画「私たちは同じ世界を見ている」では、当社代表の室岡と、共に佳き社会を目指す仲間との対談をまとめてまいります。

連載第一回は、三菱地所株式会社、AWL株式会社、そして当社の3社による対談です。
業界はバラバラ、企業規模も全く違うわたしたちが交わるポイントは一体何か。是非、お楽しみください。


今回の登場人物:
三菱地所株式会社 フレキシブル・ワークスペース事業部 デベロップメントユニット ユニットリーダー 岩本祐介様
AWL株式会社 代表取締役社長 兼 CEO(Founder) 北出宗治様
株式会社ボーンレックス 代表取締役 室岡拓也


2024年3月、当社はAWL株式会社へ出資をしました。自社エクイティを原資にスタートアップへの投資を行う「Bornrex Ventures」が遂に始動し、その第一弾として私たちはAWLさんへの出資を決めたのです。共に新しいビジネスの未来を築いていこう、という想いを込めて。

わたしたちの出会いは4年前に遡ります。それまで大手町にオフィスを構えていたわたしたちは、一心発起して現在の丸の内のオフィスに移ります。これまでの何倍もの広さ、もちろん賃料だってグレードアップ。私たちが掲げるWakuWaku the Worldに駒を進めるような、大きな一手を出すような、そんな挑戦心を持ってここにやってきました。そんな想いがいっぱい詰まったわたしたちの最愛のオフィスこそが、三菱地所が運営する「Shin Tokyo 4TH」に在るのです。そして、「Shin Tokyo 4TH」のオープンと同時に入居をしたのが当社と、AWLさんだったというわけです。それが出会いのキッカケ。特筆すべきは、室岡も、北出さんも、当時「Shin Tokyo 4TH」をご担当されていた岩本さんの想いに感銘を受けたということです。

出会いのはじまり

―「Shin Tokyo 4TH」のコンセプトとその設立背景について教えてください。この場所をイノベーションの拠点とした理由も教えてほしいです。

(岩本さん):三菱地所は有楽町のまちづくりを推進していますが、再開発には長い時間が掛かります。再開発が完了する前に、内側から街を変えるエネルギーを生み出そうと考えたんです。そこで、2015年ころから丸の内をビジネスが創出される街にすべく街全体のオープンイノベーションフィールド化を推進してきました。街の人々が会社内に籠って働くのではなく、もっと外に出て交流を深めてほしいという想いを持ちながら。
その具体的な取組みのひとつが、新東京ビル4階のリノベーションでした。「Shin Tokyo 4TH」は、多くの人が集まり、交流するマーケットのような場所としてデザインされています。
有楽町という街を考えたときに、丸の内や大手町とは異なる独自の雰囲気を持つ特性を活かしつつ、銀座や日比谷にも近い立地を最大限に活用することが重要だと考えました。そこで「Shin Tokyo 4TH」は、新事業創出を支援する企業やテクノロジー系の企業を誘致するためのスペースとして企画しました。
当時はこの街には少ないテック系のエンジニアの好みをかなり調査して(笑)、それを反映した空間づくりを心掛けました。例えば暖色系の照明やスケルトン天井、さらにはこだわりのコーヒーが楽しめるカフェを取り入れるなど、彼らのニーズに応えるための工夫を凝らしました。

(室岡):僕は今でも覚えているんですけど、ちょうどオフィスを変えようと思って色々探していたときはコロナの緊急事態宣言中の頃で。どうせ門前払いかなと思いながら問い合わせてみたら、岩本さんがすぐに連絡をくれたんです。
正直冷やかし半分で行ってみたら、めちゃくちゃ熱いプレゼンをしてくださってとても驚いたんです。ボーンレックスのこともあまり知らないだろうなと思っていたのに、しっかり調べてくださっていたりして。正に、スタートアップ同士が共創できるような場所をつくりたい、そしてそれが実現できるような企業を集めたいんだって話してくれましたね。

― Shin Tokyo 4THを介して出会ったAWLとボーンレックス。最初のお互いの印象はどのようなものでしたか?

(北出さん):ここがオープンしたての時に三菱地所さんがオープニングパーティーをひらかれて、それに参加したんです。そしたら何故か室岡さんがイベントを仕切っていて、「はいじゃあこちらへどうぞ。そちらの方もどうぞどうぞ。」って(笑)面白い人がいるなあというのが最初の印象でしたね。
その後、同じフロアにいるので、すれ違ったりエレベーターで「どうも」とか挨拶するようになりました。ちょうどその頃、東京都の事業の件で「こんなのあるけどどうですか?」って声をかけてもらったんです。それがトントン拍子に決まって、そこで打ち合わせするようになりました。
さらに打ち合わせを重ねる中で、「こういうのもあるよ」とか「こんな会社もありますよ」って情報交換するようになり、徐々に付き合いが深まっていきました。

(室岡):ボーンレックスはスタートアップを支援しているので、たくさんのスタートアップと会うのですが、スタートアップの人たちっていい意味でギラギラしていて、金目の話には目がありません!みたいな、そういう方が多いと思うんです。でも、北出さんとはじめて会った時、すごく真面目なコメントをする方だなって思ったんです。正直、何の話をしていたかはもう昔過ぎて忘れてしまったのですが、とにかく「真面目かよ!」って。
その後、AWLさんが大学発のベンチャーで、当時でいうとインド工科大学とかいろんな大学と関係が深いことを知りました。それで、「なるほど、そういう出自だから真面目なんだな」と納得しました。北出さんって、本物であり続けようとしているんですよね。僕はそれにすごく感銘を受けていて、「僕らが応援しなくてもどんどん成長するんだろうな」と思っているんですけど、でも、少しでも北出さんたちAWLさんの挑戦に良い影響を与えられるように、僕たちも横でサポートできたらいいなと、徐々に思うようになっていきました。

真面目にアポを取ったことがない

(北出さん):Shin Tokyo 4TH でよかったなと思うのが、ボーンレックスさんとは真面目にメールしてアポとったこと一度もないんですよね。通りがかりで出会って「あ、そういえば」とか「ちょっと明日空いてますか?」とか、そんな感じでどんどん進んできたから、きっと離れてたら起きなかったコラボレーションだなって思うんです。

(岩本さん):偶発的な出会いですね。

(室岡):そうそう!頻発するんですよ。

(北出さん):だからなんかその点はすごくありがたかったですね。そうじゃなかったら多分なかったことだから。

AWLとボーンレックス

― AWLとボーンレックスの協業の歴史の中で、印象的なシーンってなんでしょうか?

(北出さん):ボーンレックスの協業でいつも感じるのは、とにかくスピーディーだということです。本当に感謝しているんですけど、とにかく対応が速いんですよ。「今来れますか?」とか「明日までに出さなきゃいけません」とか無茶なお願いをしても、「わかりました、すぐ送ります」って対応してくれるんです。
何とか滑り込んでチャンスを掴めたっていう成功体験がたくさんあって、それがすごく良いんですよ。「今いいですか?」とか「今いますか?」っていう同じ感覚で動けるから掴めたチャンスが本当にたくさんあるんです。
逆に僕は申し訳ないなと思うこともあります。すごく忙しいときに重要な書類のやり取りをさせて頂いたりとか、今回の出資の件も本当にバタバタしてたんです。でも室岡さんたちはすごくフランクで、「今いますか?ちょっと今からそっち行くんで、ここにサインしてほしい」とか、「ここだけサインもらっていいですか?」って感じで。
「今大丈夫?いける?」みたいな、そういうフットワークの軽さが、さすが成長している企業だなって感じます。

(室岡):「AWL BOX」での協業がたしか初めてのプロジェクトだったと思います。新東京ビルでも実証実験しているのを見ると、いよいよ小売りや屋外での展開に挑んでいくんだなと。そして、次のステージに進む瞬間に立ち会わせてもらっているんだなと感じていました。それはもう何年も前の話なんですけどね。
そんな背景もあり、AWLのサービスを他社さんに紹介する打ち合わせに同席した時に、新しく入社されたメンバーが一生懸命に製品の説明をしているところを見ているとなんだかじれったい気持ちになっちゃって、「俺が話していいかな?」なんて思うこともありました。僕にも想い入れがすごくあって、「これは何ができるかっていうとね」って説明したくなっちゃう(笑)。

(北出さん):これって僕たちにとっても嬉しいことだし、反省点もあります。僕らは技術力とかアピールを一生懸命にするんですけど、お客さん目線での価値から室岡さんが説明すると、相手がすごく納得したような表情を見せてくれるんですよね。僕らは真面目にアピールしているけど、そういうことを気にしていないんです。説明の仕方やアピールの仕方が全然違う角度でとても勉強になります。「ああ、そう伝えればいいのか」ってね。

(室岡):僕たちはAWLさんみたいに技術一本でガーッっと攻めるような会社ではないんですよね。だから、実際にあるものをあるレベルではなく、その未来を見せることが大事だと思っています。ちょっと商社的なんですけど、そういうスキルを磨いている会社なので一緒にタッグを組むと全然違う展開ができるんです。

(北出さん):ストーリーで語ったり未来から語ったりすることは、僕自身にはなかったんで、そういう広がりがあるのは嬉しいです。

未来

― AWLとボーンレックスは今後どのような絵を描いてゆくのでしょうか?
(北出さん):今までリアルな空間をデータ化するのは難しかったんですよ。センサーくらいしか手段がなかった。でも、カメラの映像からデータを取って、それをスピーディーに低コストでやるというのが大きなイノベーションなんです。だけど、その取ったデータを何に使うかというのは、ビジネスアイデアやDXにどう組み込んでいくかに掛かっていて、この技術だけではよくわからないんです。
そこで、ボーンレックスさんと一緒にやることで、「こういう新規事業ができるんじゃないか」とか、「人手で100%やってたけど、これをAIにすれば90%削減できるんじゃないか」とか、そんな新しいイノベーションを、売り上げ貢献やコスト削減に繋げるために一緒にやっていきたいなと思っています。それがとても楽しみ。

(室岡):僕、ひとつ思っていることがあるんです。世の中に対して思っていることなんですけど、失われた30年ってよく言われますよね。その30年が日本の経済に与えた心理的な影響はとても大きいと思うんです。挑戦しても大した成果は出ないし、給料も変わらない。挑戦するだけ損だという文化が30年も続くと、みんな挑戦しなくなるんですよ。
ここでちょっと別の話になるのですが、僕は中学校の時の担任の先生とよく電話するんです。教育って大事だと思うんで、先生に「教育はこうあるべきだ」って話すと、「室岡くん、それは30年かかるよ」と言われるんです。教育は30年スパンで考えるんだよ、と。この二つの話が僕の中で合体して、日本の経済は挑戦しない文化を教え込んできたんだなと感じました。
だから、その文化を変えることから始めないと、挑戦する人たちは生まれないと思うんです。だからと言って、挑戦しようぜって言っても誰も挑戦しないので、うっかり挑戦しちゃった人たちのためにちゃんと足場を作ることが大事なんです。しっかり成功して、挑戦することが面白くて素敵だ!という文化を発信する必要があります。
スタートアップや起業家たちの仕事は、その成果を世の中にしっかり知らしめることです。僕たちに続く後輩たちが「北出さんみたいになりたい」「室岡さんみたいになりたい」と思えるように、日々の生活を含めて、まっすぐな成長と挑戦を続けていくべきです。
僕は、AWLさんは絶対に成功すべき会社のひとつだと思っています。僕たちにできることは何かを模索しながら、一緒に進んでいくことです。技術の会社だから僕たちができることは多くないかもしれませんが、僕たちが隣にいたからこそ、このワンジャンプが成功したんだよね、という瞬間をつくりたいと思います。それを世の中にしっかり発信できたらいいなと思います。

答え合わせは5年後

(岩本さん):まちづくりがしたくてこの会社に入ったんですけど、街は使ってくれる人たちがいて初めて輝くんですよね。人って、ビジネスマンの顔をしてる時もあれば、パパの顔をしてる時もあったり、楽しくふざけている時もあるじゃないですか。いろんな顔を持っていて、もちろんチャレンジしたい時もあれば、保守的に仕事している時もあるかもしれない。街の雰囲気や場の力で、人の心も何か変えられるきっかけがつくれるんじゃないかと。
本当にこの街を変えていきたくて、このフロアリノベーションにあたり、街を変えてくれそうな人たちを探しました。新しい事業を生み出す支援をしてくれるのがボーンレックスですし、テック系企業で日本から何かを変え、世の中を変えてくれそうなのがAWLさん。僕からしたらこの二人を繋げないなんてもったいない。この場にはそういう面白い人たちがいっぱいいるので、きっかけをつくれれば、あとは勝手に盛り上がって、協業して、事業がいつの間にか大きくなっていく。そういう連鎖が生まれて、新しいものや繋がりがどんどん生まれていく。考えるだけで鳥肌ものですよね。
わくわくしたり、チャレンジしている人たちがいると、周りの人も楽しい気持ちになって、自分もチャレンジしたくなる。だから、この場にはチャレンジする人たちが集まって、いろんなことをやっていく。その人たちが生み出したものが街に染み出して、街の雰囲気が変わっていく。
また5年後ぐらいに対談したいですね。5年後にこの協業がどうなったのか、街がどう変わったのか。そして、お互いがどう成長したのか、何を生み出したのか、そんな話ができるといいですし、自分たちの周りの人たち10人ぐらいに何かが起きているといいですね。そうすれば自分たち同士の盛り上がりだけじゃなく、その周りの人たちにも何かが起きている。これがオープンイノベーションということだと思うし、僕はそういう世界をつくりたいです。

セレンディップの三人の王子たち

「セレンディップの三人の王子たち」という物語をご存じでしょうか。
セイロンの美しい島セレンディップ、そこに生まれ育った三人の王子が父王の命を受けて旅を続ける途中、いくつもの困難に出会いながらも、偶然や賢明さによって予期せぬ素晴らしい発見をしていく・・。というペルシアのおとぎ話です。
そしてこの物語は、“思いもよらなかった偶然がもたらす幸運“を意味する「セレンディピティ」の語源にもなった物語です。
対談の中で岩本さんがAWLさんと当社とのパートナーシップ形成の過程を「偶発的な出会い」と表現してくださいました。それを聞いた時にこの物語を思い浮かべたのです。
岩本さん、北出さん、そして室岡は未だ見ぬ豊かな世界を実現させるために自ら進んで困難に立ち向かってきた。(もちろんこれからも)そしてその中で運命にも似たような偶然を巻き起こし、そこでオープンイノベーションの精神を体現し、街やビジネスの発展に貢献している。そしてなによりも私が思うのは、この運命のような偶然は、きっとみんなには訪れない。とっても頑張った人たちにだけ与えられる最高のご褒美のようなものだと思うのです。人並はずれた努力と才能と、偶然という名の幸運。

小説家の吉本ばななさんはこう言いました。
“人はみんな、道はたくさんあって、自分で選ぶことができると思っている。選ぶ瞬間を夢見ている、と言った方が近いのかもしれない。私も、そうだった。しかし今、知った。はっきりと言葉にして知ったのだ。決して運命論的な意味ではなくて、道はいつも決まっている。毎日の呼吸が、まなざしが、くりかえす日々が自然と決めてしまうのだ。”

3人の物語は未知の航海のようなものであり、彼らの勇気と決断が新たなる挑戦を待ち受ける豊かな未来をきっと切り拓いてゆく。そんなふうにわたしは思うのです。
これからも続いていくセレンディップの三人の王子たちの物語の続編は、また5年後に。
(文/古橋舞佳)

「Shin Tokyo 4TH」カフェラウンジスペースにて

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