見出し画像

JRA理事長の功罪は?⑦

長くなり過ぎて色々と支障をきたしてきたし、これで最後にしたい。終わるかどうか微妙だけど・・とにかく何としてでもここで終わらせないとただ連載になるなぁ。そんなつもりでnoteやってるわけじゃないんだけどね。

2019年(平成31年)
11月 ジャパンCの外国馬出走0頭を達成
12月 レーン特別免許交付

2020年(令和2年)
2月 ジャパンCに参戦した外国馬の褒賞金を一部変更
3月 弥生賞の名称をディープインパクト記念に変更
8月 暑さ対策で小倉競馬を休止に
9月 馬場情報の追加【芝馬場のクッション値】

2019年11月には、ついにと言うか、やっぱりと言うか、ジャパンCに参戦する外国馬が居なくなりました。0頭ですよ0頭。これはねぇ・・国際招待競走としては恥ずかしいと思いますよ。招待しているのに来てくれない招待されたが行く気がないって事ですからね。その要因はいくつも挙げられますが、その一番の理由がファン、関係者、そしてJRAとの間で全く異なるというのが問題の根底にあるのではないでしょうか。

多くの方がたくさんの記事を書いたり、SNS等で叫んでいるように、ファンが考える理由は馬場問題です。これはもう言わなくても分かるでしょう。東京競馬場の馬場がアンフェア過ぎるのです。確かに世界各国の馬場が同じであるハズがないし、その国その国の気候、風土、考え方によって馬場は変わりますが、日本の馬場は上のクラスに行けば行くほどまるで別競技なんですよね。

最後にジャパンCを勝った外国馬は2005年のアルカセットです。アメリカ生まれですが、父がキングマンボという血統を見込まれて欧州で走る事になった同馬は、古馬になってから大成し、5歳時にコロネーションCで2着、サンクルー大賞で優勝する活躍を見せます。その後、BCターフ参戦のためアメリカに渡るも体調不良で回避し、そこから急遽参戦したジャパンCでレコードを更新する2.22.1で駆け抜けました。この辺りまでは、まだ外国馬にも可能性はありました。

しかし、ディープ産駒が古馬戦線に登場する2011年以降は可能性は限りなく低くなり、優勝や馬券圏内どころか掲示板に載ったのも2013年のドゥーナデン(5着)、2017年のアイダホ(5着)のみであり、いずれも後方から競馬を進めて勝負に参加できずに脚だけ伸ばして得た着順です。つまり、外国馬はノーチャンスなんですね。

2018年のジャパンCは地方馬ハッピーグリンが2.22.2で走っており、その後は重賞どころかOP競走も勝てていません。アーモンドアイも驚異的なレコードを出した実力を他のレースで見せられたかと言えば決してそんな事はなく、ドバイTFだって2,4着馬は日本馬のヴィブロスとディアドラで、外国馬のGⅠ馬は5頭ですが複数GⅠ勝ち馬はおらず13頭中5頭がこのレースで引退しているように、レースレベルはそこまで高くないのです。つまり、東京競馬場は【実力以上のタイムが出る馬場】である事は間違いありません。

この馬場について、JRAの主張は以下のようなものです。
クッション性が高く、走りやすくなっている
故障が少なくなった
水捌けが良く、連続開催でも馬場が痛まない

しかし、逆に以下のようにも考えられます。
陸上トラックのような硬さで、特定の馬にしか合わない
故障は少ないがダメージが大きく、連続出走に耐えられない
連続開催でも痛まない馬場になり、ローカル開催が削られた

下記の記事でも述べましたが、JRAの主張が仮に正しかったとしても、それが日本競馬にとって正しいかは別問題です。今の日本競馬は、自分達のホーム(得意なコース)に引きこもり、俺達はスゴいと自画自賛しているだけで、井の中の蛙のように見えてしまうのですよ私には。こういった馬場ではレースの格はもちろん、ファンが期待する、納得するレースを見せる事は難しく、逆に呆れるレースが多くなるのではないでしょうか。

【ジャパンC問題で浮き彫りになった日本の馬場問題】
https://note.com/boost_quinty/n/ncbf71ddf836d

こうしたジャパンCと東京競馬場の馬場問題に対して、理事長はJRAの代表としてキチンと説明をするべきなのです。現状の問題点と改善案をね。ところが、理事長が言うには『馬場は世界各国で同じではないのだから、それを主な理由にするのは違う。』と馬場については問題無しを強調し、『検疫を改善したいが、国とのやり取りだから・・2020年秋に間に合うものではない』と事実上、放り投げる姿勢を見せます。

各国主催者間の競争の激化』や『日本馬の資質の向上』という主張もしたそうですが、前者は昨日今日に始まった事では無いし、招致合戦の綱引きのエサに金しか出さないのでは勝てるわけがありません。後者だって日本馬は世界トップレベルだと言われますが、日本(特に東京競馬場)に限定した話ですよね。というか出走するだけで10万ドルという優遇した褒賞金を用意しているのに、それでも出走しないというのは拒否られてると気付かないもんですかね。これじゃ解決はしませんわ。

確かに日本の馬場の評判は良いのです。特にジョッキーからは高評価を受けているようですが、でもそれって騎手の立場からしたら【危険性のある馬場よりかは走りやすい馬場の方が良い】という当然の意見ですよね。だから馬場は問題ないというのは木を見て森を見ずになってませんか。欧州の馬場が良くて、日本の馬場が悪い、またはその逆という問題じゃなく、世界と戦う上でそういう姿勢で良いのかを問うてるのです。

これらの問題は、結局、JRAが決めないといけないのですよ。SNS等でコロナ給付金寄越せって騒いで給付金が支給されるようになりましたが、同じような事をJRAにやってどうにかなります?なりませんよね?JRAがキチンと日本競馬の道筋を決めて、それに沿う形で整備、管理、運営していく必要があるのに、肝心のJRAの姿勢が及び腰というか、先送りする形になっては、ますます日本競馬が敬遠され、鎖国状態になって行くと思います。

そのため、まずはJRAがどうしたいかを明確にするべきです。二兎追う者は一兎も得ずですから、まず最初に一番の目標を決めるのです。それが売上を挙げることなのか、日本馬を海外にたくさん売りたいのか、日本競馬の発展や普及をしたいのか、今後100年経って安定した経営基盤を築きたいのか、それによって取るべき施策は異なります。

現状では悪循環にもがいているように見えますよ。東京競馬場の馬場を改善したから、そこでたくさん開催するぞ⇒ただでさえ少ないローカル開催が潰され、同じ条件のレースばかりで多様な競馬が楽しめない、とか。

あるいは、高品質な馬場ならGⅠに有力馬が集まるだろう⇒負担の大きい馬場だからトライアルであっても連続して使えないし、勝算があるところを優先するため有力馬同士がぶつからず売上も注目度も伸びない⇒GⅠでもそうしたレースが多くなり、レースの格が疑われるケースもある⇒慌ててレーティングを操作し、ありえないレートを付けて救済、とか。

海外に馬を売りたいが、鎖国状態の国の馬場にアジャストした種牡馬の子供を買うにはリスキーだし、じゃあ海外でも通用した種牡馬の馬を⇒日本競馬によりアジャストした馬の方から生産数が伸びるから、そもそも海外分まで用意できないわ、とかね。

やはり意識するのは世界だと思いますよ。世界に通用する馬づくり世界から賞賛される日本競馬世界に期待される日本生産界、それを第一に考えれば、間違いなくジャパンC問題も馬場問題も解決できます。だって馬場を変えればいいのだから。いくら自国で評価しても、海外から評価されない馬場なら目的は達成できませんしね。

理事長はもっと考えて下さい。
できないから後任に任せて下さい。
これ以上、恥をかかせるな。


2019年12月にはレーンに臨時試験による短期免許が交付されました。いわゆるミルコ特例というやつですね。これは正直どうかなぁと思いましたよ。と言ってもそこまで絶対にダメだというわけじゃなく、基準を明確にしてほしいという意味でどうかなぁと思ったわけです。そもそもこのミルコ特例は、クラシック三冠が掛かったのに主戦騎手が乗れないのはどうなんだって意見から認められたものですよ?今の時代、主戦騎手って絶滅危惧種ですよね?そういう風にJRAも馬主もしてきたんだから。だったら、それに伴うリスクも損失も受け入れなきゃフェアじゃないですよね。

日本に慣れて抜群の成績を残した外国人騎手なら勝つ可能性は高いし、売上も上がり、ファンの期待するレースになるかもしれませんが、度が過ぎると贔屓というか優遇に見えるのですよ。もし、短期免許の条件を満たさない騎手(発給停止を含む)が日本馬で海外GⅠに2勝したらどうですか?オルフェ池添のように国内専門主戦が居るのに、外国人騎手で海外GⅠ勝てたから残りの国内もソイツで行くってなったら?その場その場でJRAの判断が変わりませんか?

こういう身勝手な判断をしてしまうのは好ましくないですよね。繰り返しになりますが、ミルコのケースはクラシック三冠が掛かった特殊な事例ですし、認めない事で三冠を取っても取らなくても批判されたわけですが、今回は別にたまたま短期免許中に強い馬に乗ってGⅠを勝てただけなんで、シュタルケでもマーフィーでも武さんでも引っ張ってくれば良かっただけじゃないですか。それをJRAが認める理由は乏しいのです。今回はルールにはないけど相談すれば何とかなるって前例を作った事になりますから、やはり好ましくないです。

いずれにしても、こうしたルールは明確にしておく必要はあると思います。JRAの恣意的な介入があれば、それは公正競馬ではなくなりますからね。『短期免許の条件を満たし、かつ1年間に国内GⅠおよび指定外国競走において2勝以上を挙げ、年内に当該GⅠ勝利馬でGⅠに出走する場合同レースに限り騎乗が可能』『ただし、JRAの審査において不適格と認めた場合はこの限りではない』とかにすれば十分でしょう。

⑧に続く
終わりませんでした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?