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厩務員が馬券購入?それって八百長?犯罪?

先々週、笠松競馬の尾島徹調教師佐藤友則騎手島崎和也騎手山下雅之騎手の計4人が調教師・騎手免許が更新されずに引退したとの発表がありました。これは6月に調教師が馬券購入の疑いで自宅や厩舎の家宅捜索を受けている事、一部報道では『この4人が馬券購入に関わった容疑で捜査中の調教師と騎手』と伝えている事、そして笠松競馬を主催する岐阜県地方競馬組合が6月に『警察の捜査に全面的に協力するとともに、必要に応じて関係者に対し厳正な処分をする』と発表している事などから、これらの4人が馬券購入に係わり、そう遠くない日に逮捕・起訴される可能性がある事を示しており、先手を打ったという事でしょう。

また、先週には岩手県競馬組合が、瀬戸幸一調教師および千葉博次調教師に対して戒告および賞典停止20日とする処分を行ったことを発表しました。これは昨年7月に同組合に所属する厩務員が地方競馬の馬券を購入し、競馬法違反として逮捕・起訴され罰金刑を受けた事件の前後に、所属する全厩務員の地方競馬の勝ち馬投票権の購入履歴を調査したところ、別の厩務員2人に購入履歴があることが判明した事が理由です。

調査内容は直ちに警察署に提供され、それらの2人の厩務員が競馬法違反として刑事上の取り扱いが確定したために、当該厩務員を雇用していた上記2名の調教師を指導監督不十分として8/7付けで処分したそうです。岩手競馬では、昨年10月にも馬券購入で有罪が確定した水沢競馬場の菅原右吉厩舎の男性厩務員に対し、2年間の競馬への関与停止という処分があり、指導監督が不十分として菅原調教師にも戒告の処分が下されました。


さらに本日、高知競馬に所属する厩務員が馬券購入の疑いで逮捕されました。逮捕された舘沢貞治容疑者は5/21~7/16までの間、インターネットを通じて兵庫県の園田競馬など12団体が発売する馬券を約65万円購入した疑いについて、その事実を認めており、『厩務員の給料では生活が苦しく、ゆとりのある生活をしたかった』などと供述しているそうです。


そもそも馬券購入に関してはハッキリと競馬法で禁止されており、地方競馬の関係者は地方競馬の、中央競馬の関係者は中央競馬の馬券を購入する事はできません。全国にある各地方競馬の主催者は、組織としては別であるものの、地方競馬全国協会(NAR)を親分とする一つのグループでもあります。平たく言えば子会社・グループ会社といったところでしょうか。つまり、事実上の同一組織である以上、他所が開催するレースの馬券を購入する事は、自分の組織の馬券を買う事になるので、競馬法では禁止されているのです。

逆に考えれば、組織が別なら馬券の購入をしても構わないという事ですね。そのため、中央の関係者が地方競馬の馬券を購入するのはセーフですし、地方競馬の関係者が中央競馬の馬券を買うのもセーフです。ただし、相手の開催時に参戦している場合はアウトになります。例えば、中央の騎手が地方競馬の主催者エリアに入った段階で地方競馬を構成する関係者になるので、自らの所属する組織の馬券は買えなくなるという事ですね。


しかし、ここまで立て続けに馬券購入で逮捕となると、八百長の疑いもありますね。高知競馬の舘沢容疑者のように、自分の所属とは関係ない地方競馬の馬券を生活その他の理由で購入する事は八百長とは離れているようにも見えますが、どこで情報が繋がるか分かりませんから、全く関係ない場所、それこそ佐賀競馬とばんえいの帯広競馬くらい離れていたとしても、八百長と疑われても仕方ありません。

もちろん、有名な金沢競馬のように頻繁に八百長が疑われるような競馬場もありますが、それを認めると開催そのものの存続にも影響する話になるので、主催者は絶対に認めませんよね。ただ昨今は、ネットが普及し、誰でもヤオを発見しやすい環境が整っていますので、公然の秘密という扱いでネット上では毎回大騒ぎで、第三者なら楽しいです。

私個人は、地方競馬の売上は年々増加していますし、賞金も回復傾向にありますので、一昔前のように生活するのが著しく困難であるような環境ではないと思うのです。もちろん弱肉強食の世界ですから、成績を上げられない厩舎は苦しいですし、そこで働く厩務員は辛いでしょう。しかし、それを理由に馬券を買うのは言い訳にもなりません。

こうした人たちでも最低限の生活ができるようにサポートするのは、調教師や主催者団体、あるいはNARの責任だと思いますよ。貸付金でも良いし、賞与・寸志でも良いし、物資の支給でも良いし、少しでも足しにして下さいという何かがあれば違いますよ。それで八百長や馬券購入が防げるなら費用対効果の面から見ても決して悪くないと思いますけどね。

まぁそれでも、そうしたモノから見て桁違いの金額を提示されればヤオる輩はいるでしょうし、脅迫・強要されてヤオる関係者もいると思います。JRA史上最大の不正事件とも言われる山岡事件だって、八百長を拒否した中沢一男騎手を監禁し、暴行を加えたという話もありましたからね。

なお、山岡事件は、あの大川慶次郎先生をして『どこが八百長か分からない』と言わしめるレースだったという点も見逃してはいけません。司法では有罪となりましたが、あの時代の捜査・裁判であり、その内容が正しいとは限らず、真実は闇の中です。永久追放された山岡忞(つとむ)騎手は、19年間にわたり西山牧場白井の場長をしていたと最近西山オーナーがツイートしていましたね。本当にヤオるような人なら、そこまで庇いますかね。

まぁ何にせよ地方競馬は闇が深いです。JRAの降級制度廃止に伴い、転出した競走馬をそこそこ受け入れていれば、明日の飯が食べれないなんて状況にはならないと思いますが・・・その辺も難しいのでしょう。だから私は地方競馬は見るだけなのです。中央でも当たらないのに、ヤオ有りの地方で勝てるかって話ですからね。



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