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JRA理事長の功罪は?③

やっぱり終わりませんね。長々と書くのは悪い癖ですが、どうにも治らないのですよ。それだけJRAの変革に問題ありって事なのかもしれませんがね。まぁ少しは良い点もあるので探してみましょう。

2017年(平成29年)
1月 短期免許制度の改正
   全レースのパトロールビデオをHPで配信
4月 大坂杯がGⅠに昇格
10月 ジャパンCの褒賞金を倍増
12月 ホープフルSがGⅠに昇格

2018年(平成30年)
1月 騎乗依頼仲介者(エージェント)制度の見直し
4月 スマッピー投票を開始
9月 UMACA投票を開始
11月 JBC3競走を京都競馬場で実施
   ジャパンCでの世界レコードに東京競馬場の馬場問題が顕著に

2019年(平成31年)
1月 一部オープン競走をリステッド競走に格付け
   若手騎手競走の騎乗資格を見直し、勝利度数を撤廃
3月 女性騎手の減量制度を導入
6月 降級制度を廃止
   降級制度の廃止に伴い、クラス呼称の変更
   飼料添加物への禁止薬物混入が発覚し、156頭が競走除外に
   それに伴い、給与の10%を3ヶ月返上
11月 ジャパンCの外国馬出走0頭を達成

2020年(令和2年)
3月 弥生賞の名称をディープインパクト記念に変更
9月 馬場情報の追加【芝馬場のクッション値】


②の最後で触れた短期免許制度の改正ですが、良い面と悪い面があります。紹介した他の記事に書いてある事と重複しますが、良い面は日本人騎手、特に若手に騎乗馬が流れるようになった事が挙げられます。そりゃそうです。バルジューのようにローカル開催で週20鞍も騎乗されたら若手は困窮しますし、バルジュークラスなら短期免許制度の目的でもある日本人騎手の技術向上に寄与という面でプラスになる事はほとんどありませんからね。

それを裏付けるように2017年以降のにデビューした新人を見ると、横山武、武藤雅、西村、山田、菅原明、岩田Jr、亀田、斎藤新、団野大成など粒揃いです。これは2016年に短期免許で来日した外国人騎手18名が、2017年以降は10人まで半減している効果と言っても差し支えないのではないでしょうか。

ただ、短期免許で来日した外国人騎手の過去5年の勝率と3着内率は以下のとおりです。

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ここから勝率と3着内率の最高値、平均値、中央値をそれぞれ比較してみると下記のようになります。

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2016年以前の勝率は20%に届くのは稀であり、2位は20%以下でしたが、2017年以降は2位でも20%を超えるのが当たり前になっています。また、中央値も5%近く上昇しており、特定の騎手に騎乗馬を集めているのが分かります。

3着内率も、2016年以前は40%ちょっとでトップになれましたが、2017年以降のトップは軒並み50%を超えています。勝率同様、こちらの中央値も大きく上昇しています。

このように契約馬主は身元引受調教師は、来日する騎手が少ない分、そこに騎乗馬を集中させるという方針を取った。つまり騎乗馬の一極集中が顕著になったと言えます。これを見た日本人騎手のエージェントは、自分たちも同様にファーストジョッキーに有力馬を集中させるようになり、ますます上位と中位、下位との差が広がる事になりました。

そういう意味では短期免許制度の改正は良い面もありますが、悪い面もありますね。今年のレーンを見ていると一極集中はリスクがあるなぁと思いますし、外国人騎手もそうですが、日本人騎手も有力馬をうまくバラけさせるとリスクヘッジになります。ただ、それを某大手馬主グループが是とするかは微妙です。少しは考えを改めてくれたら違うのですが・・・


続いて、2017年4月には大坂杯がGⅠに昇格しました。ホントにコレは成功でもあり、失敗でもあります。個人的には失敗だと思うのですよ。まず春競馬に2000mという世界のトレンドとも言える距離の古馬GⅠを用意したことはアッパレです。これにより低迷気味だった春の古馬の中長距離路線が大いに活気付く事になりますから。

しかし、宝塚記念と競馬場と距離が丸被りですよね。これはヴィクトリアマイル新設時の東京マイルGⅠ3連戦と同じ空気です。1ハロンしか違わない同一競馬場の、同じ内回りのGⅠを、2ヶ月半の間隔で施行するって頭おかしくないですか?しかも施行時期がドバイと被るので、世界を目指すトップクラスは出走できません。これでは春の一流古馬の選択肢を増やす目的が霞んでしまいます。さらに、一度始めたら滅多な事では施行条件をイジれません。つまり、最低でも10年はこのレース形態で続けなきゃイカンわけです。であれば、もっと古馬路線を考慮する必要があったと思います。

例えば、桜花賞と皐月賞を繰り上げて大坂杯を阪神の最終週に持ってきて、天皇賞・春をヴィクトリアMと交換し、宝塚記念を2400mに変更するとかはどうでしょう。ドバイから参戦組を目論むなら、阪神ではなく新潟開催の外回り2000mにすれば春の福島と新潟を入れ替えるだけでできます。せっかく外回りがあるのだから阪神2400m新潟2000mにすりゃいいんですよ。阪神2400mにするなら宝塚記念の距離変えたっていいんだから。

まぁ大坂杯⇒天皇賞・春⇒宝塚記念の間隔は同程度を確保したいので、最低でもヴィクトリアMの週に天皇賞・春を持って来たいですよね。古馬の中長距離路線が中弛みするのは問題だと思いますし。身近な香港の同距離GⅠにぶつけるか、そこを配慮するかはJRA次第ですが、いずれにしろヴィクトリアMを動かしてそこに古馬の中長距離路線のGⅠを持ってくるのはマストだと思いますよ。それなのにアホな時期に見切り発車したもんだから、ドバイ組も取り込めないばかりか、施行条件の変更も難しく、中長距離路線の整備をできないまま今に至るわけです。残念でしかない。

なんならJRAがパブリックコメントを募集したっていいのにね。昇格前に『大阪杯をこの時期にこの距離でGⅠにしますが何か意見があります?』
って聞いてたら、半分くらいは反対したと思いますよ。だって2000mの春古馬GⅠには賛成できるけど、トップクラスが参戦するかどうかは分からないんだから。コントレイルが3冠取ったら、来年の大阪杯に出ると思います?これだけの馬なら普通はドバイに行くでしょ?じゃあ大阪杯は残り物でやるGⅠなの?まともに考えたらこうなりますよ。

売上的にも今年はたまたま牝馬が強くて、勝ち馬が宝塚記念でも圧勝してくれたからレーティングは高くなると思いますが、それ以前はハナから海外路線を諦めていたキタサンを除けば1.5軍だらけというか、トップレベルの陣営からすれば消極的な選択肢としてしか見られないのではないかなぁ。辛うじて海外からの参戦が期待できる阪神競馬場のGⅠを世界最高峰のドバイミーティングにぶつけるなんて国内競馬は国内だけで完結すれば良いとでも?とも思いますしね。これは失策と言えるでしょう。


それから12月のホープフルSがGⅠに昇格したのもこの年でした。今でこそレイデオロ、サートゥルナーリア、コントレイルの3頭を輩出したお陰でGⅠとして認められた感がありますが、昇格時にはレーティングが怪しいところを力技で昇格ギリギリまで上げたってんですから、さすがJRAですね。

詳しい内容はコチラにあります。
『ヴィクトリアマイルからGⅠを考える①』
https://note.com/boost_quinty/n/n029f7e163bea

まぁ簡単に言えば、レーティングを決める際に持ちレートがあったのが2頭しかおらず、一番多い106ポンドを持っていて5着だったサングレーザーを基準に上位4頭のレートを出してみたらレースレーティングが109.5となり、3年間の平均110ポンドというGⅠ昇格基準をホンの少し満たせないので、それぞれ1ポンドを加算して辛うじて基準を満たして昇格したって話ですね。

別に多少の誤差ってのはどんなもんでもあるので、この程度ならまぁまぁで済む話なんですが、同年には重賞2勝馬のブレスジャーニーが居て、この馬のレートがホープフルSの2着馬と同じレートになってしまうのが問題なのです。なぜなら、その2着馬マイネルスフェーンは未勝利を勝ったばかりで参戦した7戦1勝馬だったから。

デビューから数ヶ月で4戦3勝(重賞2勝)の重賞馬と、7戦1勝の500万条件の馬が同じレートってどうなの?ってなりますよね。1ポンドでも低ければマイネル頑張ったな、で済むかもしれませんが、同じってのはねぇ・・外聞が悪いじゃないですか。

わざわざラジオNIKKEI杯(ラジオたんぱ杯2歳S)を潰してまでホープフルSを昇格させ、そこまで差がない距離で、かつ4ヵ月後の皐月賞と同じ舞台の2歳GⅠをやる必要があるのか、疑問しかありません。阪神JFも桜花賞と同じ舞台って言われ続けているのに、なぜ同じ事をするのでしょうか。

だったら朝日杯は中山1600のままラジオNIKKEI杯をホープフルSに改称して阪神2000で昇格させれば変化があって面白味が増すでしょうに。阪神JFだって1400mでやれば牝馬らしいスピード感と紛れが混在する面白いレースが見られると思いますよ。特にウオッカ、ブエナビスタ、アパパネのように牝馬GⅠでかさ増ししている馬も、2歳とは言え1400mのGⅠを勝っているとなれば見方が違いますからね。要はクラシックをイジれないのだから、変化させるのは2歳戦でしょ、なんでやらないの?って話なんですよ。

この辺はクラシックに繋がる部分なので、もっと考えて欲しかったなぁと思います。理事長の鶴の一声で決まったとは思いませんが、理事長が『それはどうなの?』と疑問の声を挙げればファンや関係者の声を拾う事もできたでしょう。もちろん正面からではなくて遠回しにね。そういう部分が無く、いきなり提案してコレでやりますって形だから中途半端になるのですよ。後述する弥生賞なんてまさにそうでしょ。

④に続く。
おそらく来週になります。

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