豪州のレベルは?

天皇賞・秋の前日、豪州のメルボルンにあるムーニーヴァレー競馬場ではコックスプレートが行われました。豪州競馬の最強馬決定戦とも言われる同レースを制したのは、矢作厩舎所属のリスグラシューでした。

同馬は昨年のエリザベス女王杯、今年の宝塚記念を制して本格化の一途をたどっており、コックスプレートの勝利でGⅠ3勝目、今年の年度代表馬の可能性も出てきました。

成績を見てみると、若い頃から活躍が目立つものの2.3着が多く、決め手がしっかりしているのにもうワンパンチ足りない印象を受けます。さらに2000を超えるレースで成績が振るわず、条件付で走る馬だと思ってました。ところが、昨年モレイラマジックでエリ女を制すると次走の香港ヴァースで0.03秒差の2着に食い込みます。ちなみに、この時の5着馬は今年の凱旋門賞を制するヴァルトガイストでした。今年になってからは金鯱賞、クイーンエリザベス2世C、宝塚記念と2000以上のレースを選択しますが、それぞれで馬券に絡む好走を見せ、父ハーツクライの特長である成長力には驚かされますね。

ただね、競馬ファンなら誰しも思うのが、豪州の競馬レベルはどうなの?という点です。日本馬が豪州のG1を制覇したのは以下の6頭です。

2006年 メルボルンC    デルタブルース
2014年 オールエイジS   ハナズゴール
    コーフィールC   アドマイヤラクティ
2015年 ジョージライダーS リアルインパクト
2019年 コーフィールドC  メールドグラース
    コックスプレート  リスグラシュー

これらとは別に日本で頭打ちになって豪州に移籍した馬がいますが、それらも以下のGⅠを勝利しています。

2017年 トゥーラックHC   トーセンスターダム
    エミレーツS     トーセンスターダム
2018年 フューチュリティS ブレイブスマッシュ
    マニカトS      ブレイブスマッシュ

これを見るとですね、豪州の競馬レベルは決して高いとは言えないと思うんですよ。上記の馬はいずれも重賞馬ですし、GⅠ馬もいますので二流馬を連れてったわけじゃないんですが、かといってバンバン活躍する一線級(リスグラシューは違いますが)というわけでもなく、出走数も多くありません。それでもこの結果ですから、正直レベルに疑問符が付くのは仕方ないかと。

また、豪州歴代最強馬でGⅠを25勝した名牝ウィンクスの最終戦で1馬身半差の2着に食い込んだのが、同レースの3年前のマイラーズCから勝ち星から遠ざかっているクルーガーというのも疑問に追い討ちをかける結果に。

同じく日本馬のメールドグラースが勝った先週のコーフィールドCや今回のコックスプレートを振り返ると、直線が200m少々というトリッキーな競馬場にもかかわらず、4角でまくり気味に上がって行った点や直線の伸び方を見ると圧勝と言えるでしょう。

そのため海外GⅠ勝利は素晴らしい結果であるものの、価値という点ではどこまで評価してよいのか悩ましいところです。おそらく日本競馬関係者も悩んでいると思いますよ。現状では海外主要GⅠの一つではあるものの、日本のGⅠの方が価値があると判断しているのではないでしょうか。

まぁ豪州と香港は手を結んでいる関係もあって似たようなレベルと判断すればいいのかな。短距離は強いけど長距離は何とかなる。しっかりとした質の馬を連れて行けば十分勝てるってトコですかね。

それはそうとリスグラシューは応援し続けてた馬なので、私個人は素直に嬉しいです。今後は香港に行くだろうし、クラブ馬なので来年の春で引退だと思うが、できれば日本で走って欲しかった。

また、矢作先生は若かりし頃に修行をした豪州の地でのG1制覇となりました。感慨深いでしょうね。「豪州よ、私は帰ってきた!」なんて言ったら年齢が分かっちゃうのかな。あとこの勝利で矢作先生はGⅠ9勝目で地方JPNⅠを含めると10勝目です。わずか9勝でダービー、オークス、春のグランプリ、ドバイ、豪州を制するって結構すごい事では。弟子もしっかり育ててるし、こういう調教師が増えると日本競馬も良くなると思いますので、これかも期待します!


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