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香港国際競走2023回顧

先週末の香港国際競走について回顧していきたいと思いますが、昨年はデータと直感の融合シリーズの番外編として香港国際競走をお送りしました。しかし、今年はこれと言った馬がいなかったためスルー。いつも通りデータを基にした予想を楽しみました。

ただ、日曜は師走Sから香港ヴァーズ、カペラS、阪神JF、香港スプリント、香港マイル、香港カップと大忙しで、特に師走Sから香港スプリントまで70分で5Rをこなさなければいけなかったため、非常にタイトなスケジュールで軽く泣きそうでした。


香港ヴァーズ

そんなタイムアタックの一発目は香港ヴァーズです。データは2000年にGⅠ昇格した以降のもので、この23年間で欧州馬の勝利数は16勝で、勝率は69.5%と圧倒的であり、出現率も68.1%とほぼ一緒。日本馬の勝率21.7%、出現率17.3%と比べてトリプルスコアを記録しています。そのため基本は欧州馬からです。

そして過去一年間における出現レースの傾向を見ていくと、勝利数と出現数は香港ヴァーズ組が6勝8回、英国のコロネーションCが4勝9回、仏国のサンクルー大賞が3勝10回、BC組が2勝7回などでした。

また、今年は関係ありませんでしたが、香港ヴァーズはリターンレースでもあり、4頭が2年、3頭が3年も出現している上、1年置いて出現する馬もいれば、ジャガーメイルのように4年後にソロッと入ってくる馬もいます。

それらを見ていくと、ジュンコはサンクルー大賞3着でバイエルン大賞の勝ち馬、ウォームハートはBCフィリー&メアターフ2着でヴェルメイユ賞、ヨークシャーオークスの勝ち馬です。日本馬ではエリザベス女王杯勝ち馬のジェラルディーナがいますが、過去一年間という条件だと外れますし、アルゼンチン共和国杯組は前述のジャガーメイルのみで、レーベンスティールは買う要素がありませんでした。

となると、馬券はオッズ的にジュンコが本命、相手はウォームハート、ゼッフィーロ、ジェラルディーナとなりました。そしたら本命ジュンコが最後方からブッコ抜いて勝利、4頭が1~4着を独占するという驚きの白・・じゃなくて結果に。馬連と3連複がともに的中するなんて国内じゃまずありませんねぇ。

レース自体は少頭数らしくゆったりと一団で進みましたが、4角で2列目にいたレーベンスティールとジェラルディーナが動き、その後ろにいたゼッフィーロとジュンコも内外から呼応して動きます。直前入口でウォームハートが先頭に立って粘り込みを図るものの、勢いを付けたジュンコが外から一気の脚で襲い掛かり勝利。レーベンスティールは距離が合わなかったのか早々に沈み、ジェラルディーナは地力の差が出た感じで、ゼッフィーロは進路が空くのがワンテンポ遅れ、ウォームハートとジュンコに挟まれスムーズじゃなかった点が苦しかった印象を受けました。


香港スプリント

日本の重賞を終えてやっとこさ辿り着いた香港スプリントは、どこをどう見ても香港馬の独擅場です。GⅠ昇格後の22年間で香港馬は18勝で勝率は81.8%、出現率は77.3%にもなり、これに逆らう方がおかしい。

香港馬が強いということで、過去一年間における出現レースの傾向は香港のレースが多いです。主なレースの勝利数と出現数はこんな感じ↓↓↓

香港スプリント                  8勝14回
GⅡジョッキークラブスプリント(JCスプリント) 5勝18回
チェアマンズスプリントプライズ(チェアマンズSP)2勝9回
センテナリースプリントカップ(センテナリーSC) 3勝7回
クイーンズシルヴァージュビリーカップ(クイーンズSJC)2勝6回
GⅡスプリントカップ(スプリントC)       4勝6回
スプリンターズS                 2勝6回

また香港ヴァーズ同様、かなりのリターンレースでもあります。香港馬が強いから当然ですね。連覇した馬が3頭、2勝した馬が5頭いますし、3回出現した馬が3頭、2回出現した馬が13頭もいます。ここテストに出るほど重要です。

ではそれらに該当するか人気馬順に見ていくと、ラッキースワイネスは今年のセンテナリーSC、クイーンズSJC、スプリントC、チェアマンズSPと4連勝し、前哨戦のJCスプリントも勝利している確勝級です。

ウェリントンは前年の香港スプリントでセンテナリーSC、クイーンズSJC、スプリントC、チェアマンズSP、前哨戦のJCスプリントで2・3着と一歩足りない競馬を続けており、こちらも有力馬ですね。

それに続くのが前哨戦JCスプリント2着のビクターザウィナー、前年の香港スプリント2着でセンテナリーSC3着、GⅡプレミアボウルを勝って復調してきたサイトサクセスで、残る2頭の香港馬はGⅢで13着以外はハンデ戦でも勝負になるか微妙なラッキーウィズユーと、GⅡプレミアボウル3着のデュークワイです。

となれば買うのはラッキースワイネスウェリントンサイトサクセスビクターザウィナーの4頭です。日本馬を買うならGⅠ馬か、GⅠで好走している馬でないと難しいですが、今年は該当馬がいませんでした。んで結果は香港馬のラッキースワイネスが勝利し、香港馬が1~3着を独占したまでは良かったのでが、まさか2着にブービー人気のラッキーウィズユーが飛んでくるとはねぇ・・・そりゃないよ。データ通りだけど、データ通りじゃない感がスゴい。


香港マイル

ゴールデンシックスティの牙城がどうなるかの一点が勝負の分かれ目の香港マイルも、香港スプリントと同じく香港馬が強い一戦です。こちらはGⅠ昇格後の24年間で香港馬は18勝で勝率は75.0%、出現率は68.1%ですから、逆らうのは難しいですね。

こちらも香港スプリント同様に、過去一年間における出現レースの傾向は香港のレースが多くなっています。勝利数と出現数はこんな感じ↓↓↓

香港マイル                    10勝19回
チャンピオンズマイル               10勝17回
スチュワーズカップ(スチュワーズC)        4勝 5回
GⅡジョッキークラブマイル(ジョッキーCM)    7勝 8回
GⅡシャティントロフィー(シャティンT)      3勝 5回
GⅢセレブレイションカップ(セレブレイションC)  5勝 5回
マイルCS                     4勝 6回

香港マイルの数字が良いのはそれだけ強い馬が出ているからでしょう。3連覇のグッドババや、2連覇のビューティージェネレーション、3年連続馬券圏内のザデューク、ゴールデンシックスティなどの他、2年連続で馬券圏内の馬が6頭もいます。

これだけ香港マイル組が強いと、秋の香港マイルの双璧となるチャンピオンズマイル組も多いのも頷けます。グッドババが連覇した辺りから毎年のように同レースの好走馬が馬券圏内に入りますから、この2つレースは注視しなければいけません。また前哨戦のジョッキーCM組も、2013年に初めて絡んでから今年まで毎年来ていますし、その他、近年ではシャティンTやセレブレイションC、マイルCS組などが要注意組です。

今年の該当馬は有無を言わさないゴールデンシックスティ、昨年の勝ち馬でスチュワーズC&チャンピオンズM3着、シャティンTの勝ち馬カリフォルニアスパングル、前哨戦のジョッキーCMの勝ち馬ビューティーエターナルと同レース2着でチャンピオンズM2着のビューティージョイ、日本からマイルCSの1・2着でナミュールソウルラッシュでした。

今年はゴールデンシックスティが最後を飾るのかどうかですが、個人的には復調が期待されるカリフォルニアスパングルの方がオッズ的に気になりました。ビューティーエターナル、ビューティージョイ、ヴォイッジバブルの前哨戦1~3着馬はどれもパンチが足りず、辛うじてビューティージョイが選べるかなぁというぐらいでしたが、それを買うなら日本馬でいいだろうということでナミュールをチョイスしました。馬券はゴールデンシックスティとカリフォルニアスパングル、ナミュールの馬連で仕留めにかかります。

ところが、カリフォルニアスパングルがなんともちぐはぐな競馬をして直線では進路が無くあっさり沈み、その間、大外から一気に突き放したゴールデンシックスティが1着だったのは良かったものの、2着にダノンザキッド北村友が空けた内を通ったヴォイッジバブルが入り、外を回ったナミュールは3着まで、と日本人騎手の下手クソさが分かる一戦でした。そこ空けてくれるなよ北村ぁ・・・ワイドで500円も付くならそっちにしときゃ良かったな。


香港C

メインの香港Cはちょうど良い距離というところもあって香港、欧州、日本のどこを取ってもバランスが良い一戦です。勝利数は香港が10勝、欧州が8勝、日本が6勝となっていますが、2000~2010年までは欧州馬が8勝と圧倒的な数字を残しており、逆に言えばそれ以降の欧州馬の成績が全く良くありません。

香港 2000~2011年 勝率25.0% 出現率30.6%
   2012~2022年 勝率58.3% 出現率41.7%
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欧州 2000~2011年 勝率66.7% 出現率63.9%
   2012~2023年 勝率 0.0% 出現率13.9%
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日本 2000~2011年 勝率 8.3% 出現率 5.6%
   2012~2023年 勝率41.7% 出現率38.9%

こうして数字を見るといかに欧州馬が弱くなったか分かります。たぶん、時期的にそこまでメイチで来ないし、そもそも来れるレベルの馬が高くないので、この10~20年でレベルが上がった香港と日本の馬に太刀打ちできないという印象を受けます。

逆に日本馬は2013年のトウケイヘイローが7年振りに馬券圏内に入ると、その後エイシンヒカリ、モーリス、ウインブライト、ノームコア、ラウズオンリーユーなどが次々と勝利を挙げ、さらにヌーヴォレコルトやディアドラ、ステファノス、ヒシイグアス、ダノンザキッドなどが馬券圏内に入るなど力を見せています。

一方、過去一年間における出現レースの傾向を見ると、勝利数と出現数はこんな感じになります。

香港クイーンエリザベス2世カップ    13勝18回
香港カップ                6勝8回
GⅡジョッキークラブカップ        4勝8回
英チャンピオンS             2勝7回
愛チャンピオンS             1勝4回
BC                   1勝4回
天皇賞・秋                2勝4回
GⅡ中山記念               5勝5回

春のQE2世Cの勝者が高い確率で出現しています。また前年の香港Cや、前哨戦のジョッキーCCもしっかり確認しなければいけません。さらに愛英のチャンピオンSやBCからの転戦してきた欧州馬には要注意ですし、日本馬なら中山記念や天皇賞・秋などの似たコースや同距離のレース組は押さえておきたいところ。

今年の該当馬は、前年の覇者で春のQE2世Cや豪州のコックスプレートを勝ったロマンチックウォリアー、愛チャンピオンSとプリンスオブウェールズで2着のルクセンブルク、英チャンピオンS3着のオリゾンドレ、QE2世C2着で天皇賞・秋3着のプログノーシス、中山記念の覇者ヒシイグアスでした。前哨戦のジョッキーCCの1~3着馬であるストレートアロン、ソードポイント、マネーキャッチャーは、そこ以外の成績が残念すぎるのでスパッと切ります。

馬券的にはロマンチックウォリアーは切るに切れないので軸、相手は欧州馬はどちらか一頭、日本馬は点数的に2頭が限度、という感じでした。そこで欧州馬は英チャン3着しかないオリゾンドレより愛チャンとプリンスオブウェールズ2着、キングジョージ4着でA・オブライエンとムーアのコンビのルクセンブルクを選び、日本馬は香港実績があるプログノーシスと、香港実績+配当的に美味しいヒシイグアスの2頭を選び、馬連で勝負・・・したかったのですが、どうしても負け分を取り返したくて欧州馬と日本馬のどちらか一本で勝負するというギャンブル中毒を発症してしまいます。

そこで馬柱を見ていると先手を取るルクセンブルクと、後方から脚を伸ばすプログノーシスなら前者だろ、とロマンチックウォリアーとルクセンブルクの一点勝負。残金全額行きましたよ。ええ。

したら、ルクセンブルクの行き脚がそうでもなく、中団外を回される展開に椅子から転げ落ちます。ロマンチックウォリアーは中団前目の良いポジションでいかにも勝って下さいという流れに、もやし生活を覚悟しました。すると残り800mからムーアの手が動き、4角までまくり気味にポジションを上げて行くのを見てテンション爆上がりでクッションを放り投げます。

直線入口でロマンチックウォリアーに並びかけたルクセンブルクですが、楽な競馬をしていたロマンチックウォリアーが一気のスパートで差を広げ、万事休すかと思ったものの、そこは天下のムーア様。ヒシイグアスをガードしながら追いに追って残り100mからジリジリと追い上げます。最後の最後で届いたかと思ったところがゴールでしたが、そもそも両者の間に入ったヒシイグアスは頭からクビほど遅れたのでどちらが勝とうが的中。

いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・さすがムーア様です。見事な騎乗でしたね。交わしていたら狂喜乱舞でしたが、馬券当たっていただけで良しとしましょう。

ヒシイグアスはやはり怖かったですね。中山記念2勝、香港C2着の実績があり、その時に騎乗したのもモレイラだったので、ぽっと出のローシャムパークよりは信用できましたし、モレイラ自身も期待に応えて馬群に突っ込み腕でもたせた印象を受けました。やはり騎手は戦線を左右します。

一方のプログノーシス川田は、タイトなコースでみんなが外に向かうのを後方から見ていたのに外に突っ込むという不可解な騎乗をし、前が壁になってスムーズな競馬ができず、馬群が開けた後に突っ込んできて4着。同じ壁を相手にするなら4角から内を突いて、ヒシイグアスと進路を争っていたストレートアローンのポジションを狙った方が可能性は高かったでしょう。それくらい4角の外には頭数が居ましたからね。また、川田は馬群が凝縮した直線も苦手かもしれません。悪くはないけど、コースが良く空く日本的な直線じゃないとうまく誘導できないように見えました。


まとめ

今年は日本馬の勝利はありませんでしたが、そもそも戦前の予想通り、そんなに可能性が高いわけではなかったので、結果も想像の範囲内でしょうか。もともと香港国際競走で活躍した日本馬を見ると、日本で大活躍した馬は多くなく、せいぜいロードカナロアやモーリスぐらい。その他は大活躍とまではいかないものの、GⅠ勝っていたり、中山巧者だったり、一枚劣るか適性のある馬が多いので、そこら辺も予想に入れた方が良いかもしれませんね。

まぁ香港スプリントと香港マイルは香港馬の独擅場ですので、そこでガッツリ稼がせてもらい、その軍資金で香港Cで勝負という流れが理想かもしれません。

また、日本人騎手がなかなか海外遠征で選ばれない理由も良く分かります。特に香港のような日本に比べて小回りのコースでは、日本の、特に中央四場の広いコースに慣れた日本人騎手では難しいものがあるのでしょう。今年はルメールでも外されるくらいですから、モレイラやCデムーロ、ビュイックやレーンが確保できるのであればJRA騎手いらないよねって判断でも不思議に思いません。

自分たちの庭なら素晴らしい騎乗ができるのに、外に出た途端アレレという騎乗になってしまう。こういうところが日本馬や日本人騎手の内弁慶さを物語っているのではないでしょうか。坂井瑠星のようにもっと海外に出ていくべきですし、それを後押しできる馬主や調教師がもっと増えてくれば日本競馬の未来は少しは明るいと思います。

というか、中山巧者が向くようなコースなら川田より横山武を連れてきた方が向いているのでは・・・一応、中山年間リーディングですし。来年は横山武が香港で騎乗しているのを期待しながら待ちましょう。


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