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いよいよジャパンC・・だが、忘れてないか?

今週末はいよいよジャパンCです。今年は三冠馬コントレイル、三冠牝馬デアリングタクト、なんちゃってGⅠ8勝馬アーモンドアイが参戦するという事で歴史に残る一戦となる事でしょう。

ただですね、忘れていませんか?このレースは国際招待競走です。にも関わらず、昨年はただの一頭も外国馬が参戦しませんでした。もう一回言います。国際招待競走に外国馬が参戦しませんでした。これ忘れている人多くないですか?

問題の先送りか?

今年は国内の大物がこぞって参戦するので、注目はそちらだという点は理解できます。しかし、今年のジャパンCで本来注目しなければいけないのは、ジャパンCそのものの存在意義でしょう。昨年、外国馬が一頭も参戦しないという事態に、国際招待競走である必要がないという意見がたくさん出ました。今年も参戦しなければ相当マズイ状況だと。それが一年経ったら二頭の三冠馬とGⅠ8勝馬が参戦するから、それは置いておくって論点のすり替え問題の先送りですよね。

今年の外国馬は辛うじて一頭フランスのウェイトゥパリスが参戦してくれましたが、遅咲きの7歳馬でこれが引退レースとなるそうです。サンクルー大賞の勝ち馬で、ガネー賞2着という成績には目を引きますが、凱旋門賞ではディアドラにハナ差遅れる9着に大敗しています。正直、JRAが金を握らせて連れて来たとしか思えず、これで面目を保ったとは言えないでしょう。

にも関わらず、今年はそういった話は全く聞かれませんでした。一頭参戦しているからいいだろう、もしくは3強対決が見れるのだからそもそもそんな事はどうでもいいだろう、という雰囲気になっているような気がして、由々しき事態だと思います。

ジャパンCの凋落

そもそも今年でジャパンCは40回目です。創設当初は世界中の名馬が参戦したもんですが、21世紀になると途端にレベルが落ちてしまいます。以下は、JRAが発表している海外の主要レースの勝ち馬がジャパンC参戦した時の成績です。

ジャパンC 外国馬勝ち鞍


続いて出走頭数と最高着順の一覧です。

ジャパンC 外国馬出走頭数

これを見る限り、出走馬のレベルはガンガン落ちています。昨年までの全19回で優勝したのは、中山開催時のファルブラヴと世界レコードのアルカセットのみで、馬券圏内も2006年のヴィジャボードの3着を含む3頭しかありません。ちなみに、2002年に2着だったサラファンはアメリカのマイナーGⅠエディーリードHCの勝ち馬でした。

2006年を最後に馬券圏内は無く、掲示板を確保したのも3度のみと、苦戦をしているというレベルではありませんね。2001年~2010年までは10年間で56頭が参戦し2勝、2011年から2019年までは28頭が参戦し0勝です。今年もおそらく勝てませんので29頭で未勝利ですね。

ここまで外国馬の出走レベルが低下したのに、未だに国際招待競走であり続ける必要はあるのでしょうか。世界に通用する馬づくりという目的を既に終えたと判断して然るべきでしょうし、いつまでもそれに拘っていたら世界のホースマンからどう見られますかね?非常に滑稽に写るんじゃないですか?

ジャパンCの対策

11/20、JRAは東京競馬場の馬場内に国際厩舎を新設することを発表しました。外国馬が来ない大きな原因とされた検疫の問題を解消するための方策ですね。今までは白井の競馬学校に入って5日間(通常は10日間)の輸入検疫が実施されていましたが、これが東京競馬場で行われる事で移動の負担を軽減する事ができます。矢作先生いわく、ジャパンCを敬遠する理由として日本の馬場が合わない事と同じくらい『検疫施設の移動を強いられる事』への抵抗が挙げられるそうですし、白井の施設規模での調整が難しいという点もありますし、空港から直接東京競馬場に入れるのは大きな改善点となるでしょう。

この国際厩舎に関しては、来年の完成は間に合わないということで、運用開始は再来年の2022年(令和4年)になるという事です。コロナ下ですし、府中は建物の建設時に埋蔵文化調査が行われますので、時間が掛かるのは仕方ないですね。

まぁ国際厩舎が完成し、運用を開始してから5~10年経っても出走馬もレベルも改善しないのであれば、それはもうジャパンCの役割が完全に終了したと見て良いと思います。その場合は、ただの2400mの古馬GⅠとして存在すれば良いでしょう。


というか、世界中を見渡しても国際招待競走をするならカーニバルデーにするのが世界標準なんですよね。香港、ドバイ、BCもそうですし、ロイヤルアスコットは国際招待競走ではなかったと思いますが、GⅠ競走を集中して開催しています。日本は売上至上主義なので難しいと思いますが、やり様はあると思うのですよ。

例えば、凱旋門賞や英チャンピオンS、コックスプレートなどと日程の近い天皇賞・秋とジャパンCの日程を入れ替えば、世界のトレンドである2000mの天皇賞・秋から香港という選択肢が出てきますし、ジャパンCをその呼び水とするなら国際招待競走を維持できます。ジャパンCに招待します、滞在費持つので天皇賞・秋も一緒にどうですか?という形ですね。マイルCSやエリザベス女王杯の日程を繰り上げて、同じように扱っても良いです。

なんならジャパンCとマイルCS、エリザベス女王杯を土日に分けて11月上旬に行うとか、二週に分けて間にJBCを入れるとかして出走馬をまとめて確保できるようにしても良いんじゃないでしょうか。まぁそのためには京都や地方にも国際厩舎を用意する必要があるのですが。

いずれにせよ、ジャパンCがこのままで良いと考える関係者は居ないのは確かだと思います。しかし、ジャパンCを現状のまま維持させるのか、変革させて行くのかは賛否両論あるでしょう。JRAには自分勝手に話を進めるのではなく、多くの関係者に相談しながら最良の道を探してほしいですね。



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