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シンボリクリスエス逝く

JRAは12/9、シンボリクリスエスが蹄葉炎のため安楽死処分となった事を発表しました。ぶっちゃけショックですね。成績的には天皇賞・秋と有馬記念を連覇しただけですが、強さという点では歴代でも上位に入る馬だったと思います。

今年は死亡馬が目に付きますね。1月にはダンスインザダーク(27歳)とサクラローレル(29歳)が、4月にはナリタタイシン(30歳)、スエヒロジョウオー(30歳)、7月にビワハヤヒデ(30歳)とマチカネフクキタル(26歳)、先週はスイープトウショウ(19歳)、そして今週はシンボリクリスエスと、面白かった時代の馬ばかりが亡くなっているのが残念です。



同馬の父クリスエスは競走成績はパッとしませんでしたが、種牡馬としては1993年に北米リーディングサイアーに輝くなど素晴らしい成績を残しており、シンボリクリスエスは米国で同国GⅢの勝ち馬の母から生まれました。その後、シンボリ牧場の和田孝弘氏に約30万ドルで購入され、日本にマル外としてやってきます。

2歳秋にデビュー戦を飾ると500万条件で2,3着が続きますが、4戦目の山吹賞で2勝目を挙げ、さらに続く青葉賞も快勝し、ダービーに駒を進めます。管理する藤沢先生にしては珍しい牡馬クラシックに参戦でしたが、安定した成績から3番人気に支持され、期待に応えるかのようにゴール前の混戦を抜け出しますが、外から飛んできたタニノギムレットに屈し、JRA史上初の外国産馬のダービー制覇は叶いませんでした。

秋には皐月賞馬ノーリーズンを退け神戸新聞杯を快勝すると、距離適性を考慮して天皇賞・秋に出走します。この年は東京競馬場の改修工事の影響で中山開催でしたが、二冠馬エアシャカールやダービー馬アグネスフライト、菊花賞馬ナリタトップロード、宝塚記念馬のダンツフレーム、牝馬GⅠ3勝のテイエムオーシャン、香港GⅠ2勝のエイシンプレストンなどを相手に見事勝利を収めました。なお、鞍上の岡部さんは、中央四場で行われた天皇賞全てに勝利するという珍記録を達成しています。

その後、ジャパンCに参戦するもデットーリ騎乗のファルブラヴの3着に敗れますが、秋4戦目となる有馬記念では3歳牝馬のファインモーションに1番人気を譲りますが、同年の菊花賞馬ヒシミラクル、前年のダービー馬ジャングルポケット以下を退け、有馬記念を制しました。そして春はダービー2着、秋は天皇賞・秋と有馬記念、ジャパンC 3着などが評価され、年度代表馬に選出されます。

しかし、翌年春は適鞍が無い上、前年10戦した疲労を考慮して、宝塚記念から始動しますが、半年ぶりの休み明けが響いて5着に敗れてしまいます。秋はGⅠ3戦を挑戦する事になり、天皇賞・秋では当時、絶好調で手が付けられないペリエを鞍上に迎え、新生東京競馬場のレコードとなる1.58.0で史上初の連覇を達成しました。

続くジャパンCでは不良馬場で大逃げをしたタップダンスシチーをつかまえられず3着に敗れますが、引退レースとなった有馬記念ではダイユウサクのレコードを塗り替える2.30.5で優勝します。この勝利は、2着にレース史上最大着差となる9馬身差を付ける圧勝で、騎乗したペリエは『(仏ダービーや凱旋門賞を勝ち、139ポンドのレートを獲得した)パントレセレブルに匹敵する』という最大級の賛辞を送りました。なお、2年連続で年度代表馬に選出されています。


力強さという印象は強いですが、決して渋った馬場が得意なわけでもなく、スピードとスタミナ、瞬発力を兼ね備えているものの起用ではないという不思議な馬だったように思います。もし、大阪杯や春の香港、ドバイに参戦できたらどんな結果だったのか夢に見ますねぇ。

種牡馬としてはサンデー系の勢いに押され、なかなか活躍馬が出せませんでしたが、サクセスブロッケン、ストロングリターン、アルフレード、エピファネイア、ルヴァンスレーヴなどを輩出しました。特にエピファネイアは福永に初の牡馬クラシックをプレゼントするだけでなく、史上最強とも評されたメンバーだったジャパンCを圧勝し、種牡馬として今年の三冠牝馬デアリングタクトを輩出しているので、今後もサイアーラインは伸びていくと思います。


にしても、この世代はもう21歳ですか・・・師走だからそう思うのかもしれませんが、時が流れるのは早いですね。少しでも長い人生を歩みたいものです。



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