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短期免許制度の一部が判明

2/5付の日刊スポーツの記事によると、ミカエル・ミシェル騎手の短期免許取得が不可能になったそうです。昨年末に短期免許の審査を通過していた事が本人のSNSで報告されていたにも関わらず、です。

なぜそうなったのかというと、日刊スポーツではこう述べています。
『JRAは短期免許申請可能期間を、申請日にかかわらず騎乗開始日からさかのぼって最大60日としている。期限から逆算すると、騎乗開始日のリミットは2月28日の開催日となり、同日の出馬投票日である同25日までに短期免許取得の手続きを全て終える必要があった。』

簡単に言えば、短期免許は騎乗開始日の60日前から申請する事ができる、逆に考えれば申請をしてから60日以内に騎乗を開始しなければならないわけで、昨年末に申請をしたミシェル騎手は2月末までに騎乗を開始しなければいけないというわけです。

また『ミシェル騎手は遅くても今月10日までに来日していなければならないが、6日にカーニュシュルメール競馬場でレースを予定するなど、現在も母国フランスで騎乗を続けざるを得ない状況だ。JRAは申請可能期間の延長措置をとる考えはないとしており、今回の中央競馬参戦は立ち消えとなる。』と報じています。

現在は、騎乗を開始するには免許が必要で、免許の交付にはJRAとの面接が必要で、面接をするには来日後2週間の自主隔離を求められています。今年は2/28が日曜日なので、申請後60日以内に騎乗を開始するには2/25(木)の出馬登録までに免許の交付を受ける必要がありますが、それには2/10(水)までに来日しなければ間に合いません。

ところが、日本政府が緊急事態宣言を延長したことで海外からの新規入国は停止されたままであり、入国の目処は立っていません。そのため短期免許は取得できないというロジックになるみたいですね。


いやぁ驚きました。『短期免許申請可能期間は、申請日にかかわらず騎乗開始日からさかのぼって最大60日』とか知らなかったですね。今まで短期免許に関する報道でこの条件を報じたところは無かったのではないでしょうか。このルールがあると、他の短期免許の記事で疑惑疑惑と述べていたミナリクやブロンデルの短期免許取得もセーフとなります。

例えば、ミナリクは2020年の1/5から免許を取得していますが、2018年および2019年は短期免許の取得条件(過去2年以内におけるリーディングやGⅠ勝利数)を満たしていません。ただ、申請日が騎乗開始日の60日前の期間、すなわち2019年11~12月であれば2年前の2017年に条件を満たしています

ブロンデルも2019年の1/5からの免許なので申請は2018年、申請日の2年前である2016年にリーディング4位で条件を満たしていますし、今回のミシェルも2021年1月からの免許取得を希望、2020年末に申請なので、2年前である2018年の成績で取得条件を満たしている事になります。

昨年末に書いた下記の記事の中で『「過去2年」という条件は、「申請時の過去2年」ではなかろうか』と書きましたが、それが的中した事になりますね。ただ、ホントにJRA何やってんだという気分です。
『ミシェル 短期免許を取得する』
https://note.com/boost_quinty/n/nd85b05f29308

この記事内にもありますが、『JRAのリリースはとんでもない錯誤を生む』わけですよ。競馬記者ですら事実誤認の報道をしてしまうくらいですからね。懇切丁寧な情報公開が求められる昨今、公営ギャンブルの胴元という立場である以上、最初から短期免許の取得条件をしっかりと発表しておけば、いらぬ誤解を生む事もないでしょう。その誤解は競馬そのものに対する不信感に繋がるのですよ?そこを理解できないのでしょうか。

もちろん、そうした疑問点を突っ込んで聞かない、聞いたとしても報じない競馬記者にも問題があります。ただでさえ傭兵扱いとされる外国人騎手のおかげで日本人騎手が育っていない現状があるわけですから、短期免許を安易に認めるのではなく、制限をかけるべきだという論調があって然るべきだと思いますが、そうした部分は見向きもしないのはジャーナリストとして失格と言えるでしょう。少なくとも「藤田は今日何鞍乗る」「日本のGⅠについてミシェルの感想」などより、よっぽどファンに有益な情報になると思います。

何にせよ、また一つの疑問が解けました。日本競馬界は、大塚騎手の訴訟などで色々とパラダイムシフトを迎えていると思いますので、JRAも意識改革を心掛けた方がよろしいのではないでしょうか。



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