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中央競馬ストライキ再び ※追記あり

2023年3月、JRAの厩務員、調教助手らが加盟する4労組(関東労、全馬労、関西労、美駒労)と、雇用主である日本調教師会は賃金についての団体交渉に臨みました。17日までに全馬労は妥結したものの、ほかの3労組は合意に至らず、18日(土)の中央競馬は、厩務員組合がストライキを決行しました。

この時の労組は、JRAの売上が減少傾向にあった2011年に人件費カットを目的として日本調教師会と労組が合意してスタートした現在の賃金体系を廃止し、従来の賃金体系に戻すことを求めていました。JRAの売上が回復しており、さらにGⅠレースの賞金も増額され続けていることから、従来の賃金体系に戻すことを要求したものでした。

ところが、1999年4月3日以来となる開催中止となりそうな中、調教師会とJRAはストが避けられないながらも開催を決定し、妥結した全馬労の組合員や非加入者、定年や途中退職した経験者などを補充員として動員して開催を強行しました。調教師がパドックで馬を曳いたりしたのが話題になりましたね。

労組からすれば、競走馬の世話すらしないストだったのを競走馬の日常的な管理には影響が無い形に変えた『競馬開催に関わる業務を行わない』、つまり開催中止となるストを行ったわけですが、JRAは競馬開催に関わる業務のみができないならこっちでやればいいと調教師会に手を貸して強行開催を実施したため、結果的にJRAがスト破りを幇助した形になり、物議を醸しました。

JRAの佐野理事は「調教師会は競馬を開催していこうという意志が強く、JRAもそれに協力する形で行います」と、開催業務はJRA職員でも補助的な手伝いが可能という認識を示しており、中立な立場であろうJRAが調教師(雇用者側)に立ったことは、ストという労働者側の伝家の宝刀を抜かせない、抜いてもなまくらにしてしまうことを意味します。胴元怖ぇ。

この強行開催を受け、18日の昼12時15分に関東労からJRAにストを解除する連絡が入り、関東労、関西労、美駒労の3労組は、翌19日(日)のストを解除せざるを得ず、ストライキは無力化されてしまったわけです。

関東労の小倉書記長は「昨日交渉が決裂したが、4団体一丸となってやろうとしていたところで、全馬労の離脱が痛かった。仕切り直す必要があり、今回のストを解除する。今後は、今回の新賃金体系を含めて引き続き交渉していく。中身、スケジュール等は未定。今回のストライキは競馬の世界だけなく、労働問題として世間の注目を集めていたので頓挫して残念」とコメントしましたが、JRAが色々と手を回して労組の結束を瓦解させたように見えましたね。


そんなストライキから1年が経過し、再びストライキが決行されることが分かりました。春闘2回目の団体交渉で、労組側は3%の賃上げを要求していましたが、17日(金)の午後2時30分に交渉が決裂したため、ダービー前日の25日(土)の午前0時から24時間のストライキを通告しました。

ただ、全馬労が17時25分に交渉を妥結したことで、今回も関東労、関西労、美駒労の3つの労組がストライキを行うこととなり、ストライキが土曜の競馬開催にどれだけの影響を与えるかは不透明です。

昨年は、全労の離脱のみならず、自身の担当馬が出走するため装鞍や誘導を行っていた組合員もいたようで、組合側も一枚岩ではないことを露呈していますので、いくらダービー前日とはいえ、なかなか結果に結びつかないのでは・・と思いますね。

また、JRAも再び調教師会に与するような形を取るのであれば、それはスト破りとして大いに批判される可能性はあります。当事者でありそうで当事者ではないですが、彼らが居なければ開催はできないことも確かですから、両者の落しどころを見つけてあげてほしいところです。

昨年勝ち取ったのは「現在の賃金体系以降に採用されたスタッフはベア1万円」らしく、今年の全馬労は「現在の賃金体系以降に採用されたスタッフはベア9000円+一時金増額」とのことですので、それを超えられるでしょうか。注目です。


調教師会の尾関知人関東本部長のコメント
昨日(17日)の交渉が決裂し、3つの組合から来週の土曜日にストライキを行うという通告を受けました。まだ数日あるので、調教師会としては回避すべく尽力します


2024年5月24日 追記

日本調教師会の中竹和也調教師のコメント
今般の労働組合側の春闘要求に関しては、本会としましては誠意をもって交渉し、精一杯の努力をしてまいりましたが、残念ながらストライキに至る事態となり、競馬を楽しみにされているファンの皆様に対して、ご心配をおかけしております。本会といたしましては、JRAおよび関係団体の協力も得ながら、5月25日(土)の全レースにつきましては、管理馬を出走させる予定です。今後も魅力ある競馬をファンの皆様に提供するため、全力で強い馬づくりに邁進して参りますので、今後とも中央競馬の応援をよろしくお願いします。


JRA佐野健吉競走担当理事のコメント
調教師会と厩舎従業員組合(3共闘)との春闘交渉に関して、調教師会から“度重なる交渉の結果、本日までに妥結には至らず、3共闘の組合員は5月25日0時から同日24時まで24時間のストライキに入ることになった”との報告を受けました。JRAとしては、調教師会と3共闘との春闘交渉の影響を最小限に留め、公正かつ安全な競馬開催に向けて準備を進めてまいります


結局、JRAとしては春闘の影響を受けさせずに競馬開催をするってことで、日本調教師会は交渉決裂になろうともJRAや関係団体が協力してくれるから競馬開催に影響なしということでしょうね。

JRAからすれば、免許を受けている側の内輪揉めで商売の機会を減らしたくないため、競馬開催を止めるつもりはないってことですが、それは理解できます。ただ、それは交渉の片方だけに肩入れしており、スト破りと同じだろうという疑念は払拭できません。

一方、日本調教師会は多少重労働になりますが、ストの影響はほぼありません。競馬が開催され、管理馬を出走させ、賞金を咥えてくる、ノーダメージですよ。日の丸親方に助けてもらえると分かっているからこそ、2年連続でストなんて事態を引き起こせるのでしょうね。

また、労組も労組です。ダービーを狙ってやるのはいいですが、覚悟が足りません。昨年、JRAの助力によりストは空振りに終わりました。スト破りのような形ではありましたが、あれでイケると思ったJRAは同じように開催業務を盾にされてもビクともしないでしょう。そしたら日本調教師会もJRAが協力してくれるんだから、譲歩する理由がないとばかりに交渉できますよね。にも関わらず、同じ手法でストを行っても効果は見込めないと考えるのが自然な流れではないでしょうか。

やるならダービー週の火~金曜までの調教時を狙うとか、あるいは1週間以上の期間を使って行うとか、そもそも競馬を開催させないではなくて、競馬にならない方法を考えるべきでしょう。単純に、追い切りしなかったら競馬にならんと思いますが、調教師や騎手、アンチャンだけで毎週出走する約1000頭(2場開催なら約700頭)の競走馬の追い切りできますかね。それが2週も続けば、毎週重賞がある日本競馬では苦しくなるところは出てくると思いますよ。

まぁ何にせよ、ストが頻発する業界は要注意ですからね。JRAだって神様じゃないんですから、もっと上にいるガチのお上からやいのやいの言われる前に、業界の適正化を図った方が賢明だと思うけどなぁ。


2024年5月25日 14時追記

土曜の競馬は通常通り開催されました。まぁ当然でしょうね。ただ、昨年のストと異なる点があります。昨年は競馬場での開催業務に限定したストでしたが、今年は開催業務に加え、トレセン業務にも範囲が広げられたとのことです。

美浦トレセンの各入場門には各労組の関係者がスタンバイ。大きなトラブルはなく、トレセンに入場しようとする組合員に協力を求めていた。この影響で午前4時半の開門時間を過ぎても馬場入りする馬は通常より少なく、閑散とした雰囲気だった。」(東スポ)

美浦トレセンでは、労組関係者が出勤してきた厩舎従業員に対し、ストライキに協力を求めた。「『警告』ストライキ不参加は団体行動権を妨害する行為であり、組合規約に則り重い罰則の対象となります」と書かれた看板も掲出された。

普段は数多くの馬が調教に向かう馬場開場時刻の4時半を回っても馬場入りする馬はわずかで、栗東トレセンで坂路に861頭、CWに264頭が馬場入りしたのに対し、美浦は坂路が213頭、Wが37頭(全て延べ頭数)と極端に少なかった。」(デイリー)


関東労の小倉祥治書記長のコメント
前回は競馬開催を対象としたストライキでしたが、今回は全員を対象とさせてもらいました。ファンの皆様には申し訳ない気持ちでいっぱい。競馬界は外から見れば人気があるように見えるかも知れないが、実際は厩務員を目指す人が減少し、早い時期にやめてしまう人も増えている状況。働く環境もそうだし、物価高で実質賃金の問題もある。働く環境を変えていきたい

美駒労の磯部和人執行委員長のコメント
我々とて、本来はストなどしたくない。しかし、今回の賃金の改善はサークルの今後をより良くしていくためにどうしてもやらなければならない。開催に来られるファンの方々は、ストに憤りを抱えていらっしゃるかと思っていたが、逆に激励の言葉を掛けていただくこともあった。大きな励みになる。

ファンの方々に私たちの現状を説明して、ストライキまで至った経緯を理解してもらい、正常な交渉を後押ししてもらいたい。思った以上に反応が良かった。温かい激励のメッセージもいただき、励みになる。ストライキでご迷惑をおかけすることには申し訳ない。賃金に関してはどうしても解決して、より良いサークルにしたい

東京競馬場に直結する府中競馬正門前駅では、午前8時過ぎから開門の9時まで約1000部用意した「ファンの皆様へ」と題したビラを配り、組合員らが声を上げていました。メインレース終了後に、ビラ配りを再開し、理解を求めるそうです。美浦トレセンの組合員は、「苦渋の決断だった」、「やむを得ずやっている」、「水や飼い葉がすぐに与えられるようしっかりと準備してきた」などの声があり、トレセン業務を含めてて徹底抗戦の構えを見せています。

一方、栗東トレセンでは午前5時の開門と同時に調教が開始されるなど、目立った動きがなく3労組の調教助手、厩務員がストを実行したものの「影響はない」という声が多数を占めているそうで、東西で温度が見て取れます。難しいですね。


今回のストは4労組(関東労・986名、美駒労・122名、関西労・238名、全馬労・904名=いずれも4月20日現在)の内、全馬労を除いた3労組が起こしたものです。組合側の要求は、昨年は「新賃金体系(2011年から導入)の廃止→従前の賃金体系に戻すこと」でしたが、今年は「基礎賃金の3%程度の増額」でした。日本調教師会の回答は0.64%増と思った以上に溝が大きく、ストを起こすのも無理はないでしょう。

23日付の3労組の「中央競馬厩舎従業員ストライキについての共同声明」では、以下のように述べています。
春季要求の主たる賃金要求ですが、我々は全体の基礎賃金の3%程度の増額(賃上げ)を要求しており、その原資の分配方法は低い賃金体系である新賃金体系に厚めに分配するというものでした。 我々は最終日の交渉で要求する賃上げ率を半分近くまで下げ、妥結を試みましたが、全く上積みもなく現状(賃上げ率0・64%)が精一杯ということで、決裂となりました。

制度面に関しましても、労災対策や、パワハラなど、諸問題は山積みであり、就業希望者が低い数で推移していると同時に、定年を待たずして退職する人の割合が増え続けているのが職場の現状です。 今回のストライキに関しましても、昨年同様、JRAと調教師会は強硬開催を行うことになっているそうです。 昨年のように、今回も同じく競馬が行われたとしても通常通りではない状態であろうと思われ、それは公正競馬と安全面から不安定な競馬をすることになり、承服できません。

情報が正確ではない周りがどうこういうのもなんですが、「調教師会側の歩み寄りがない」「JRAと調教師会は強行開催を行う」「スト中の開催は公正競馬と安全面から不安定な競馬をすることになる」という言葉を素直に受け取るのであれば、労組側の怒りは相当ですし、今年妥結できなくても、来年、再来年と毎年のようにストを行う可能性すらあります。

こうした形にならないように上手く落としどころを見つけるのが雇用側なんですがねぇ。既に日曜の京都8Rに出走を予定だったキョウエイカンフ(牡4歳、美浦・勢司和浩厩舎)は輸送を担当する人員を確保できず、出走を取り消していますし、昨年より影響は大きくなっています。全く譲歩せずに居るのはマズイことになりそうな気がしますねぇ。尾を引きますよコレは。


JRAもJRAです。佐野健吉競走担当理事は、
ストライキ、労働争議は憲法上、認められていますが、多くのお客さまが毎週楽しみにしておられる中央競馬の開催に関してご心配をおかけすることに関しては大変申し訳なく思っております。JRAとしては調教師、非組合員、補充員等で通常通り、2場開催を施行します。全作業のストライキが通告されていますが、トレセンにおきましても各調教師が自厩舎でどういうことができるか、把握して取り組んでいると聞いております

ストは憲法上の権利「だが」、お客さまに迷惑をかけて申し訳ないんですって。この「だが」ってとこに、ストを軽く見ている印象を受けるんですよ私は。JRAは調教師会側の人間じゃないんですよ。中立の立場でしょう?

であれば、「ストは憲法上認められている権利であり、JRAの立場から申し上げることはございません。一般論として調教師会、労組双方が納得し、妥結して頂くことが重要だと認識しております。なお、競馬開催については、お客様に心配をおかけしており、大変申し訳なく思っておりますが、滞りなく競馬開催ができるよう努めてまいります。」ぐらい、立場をわきまえたコメントは残せないかね。

こうした態度は競馬界全体のためにならないと思うけどなぁ~


2024年5月25日 23時追記

日本調教師会の中竹和也会長が土曜の全レース終了後に会見を開きました。以下、中村会長のコメントです。

今まで、私たちが積極的に発信して来なかった理由としては、競馬は楽しむためのものですし、身内の問題をファンに知られてしまうのはいいことではないな、と。これまでは黙って見てきましたが、今言えることをお話しさせていただきます。

当時は(売上が)苦しい状況で、今のままでは立ち行かないと、競馬に携わる皆が給料や手当等を2~3割下げた。しかし、それまで働いてきた従業員だけが、給料はそのまま。人員の減少による負担こそあったが、彼らは経済的な痛みを伴わなかった。下がった時に下げなかった人が、上がった時に上げてくれ、というのは理屈としてどうなのか。われわれとしては、賃金体系は新賃金体系一本であるとの認識です。昨年とストの表現は違うが、内容は同じ。彼らの持つ数字も我々と相違があります。

スト権は労組の権利ですから、否定する気はありません。ただ、今回は(水やエサやりをする)保安員も置かなかった。言いたくはないが、ホースマンとしてはがっかりする手法。これは今回が初めてだと思います。

私と担当理事が水面下で美浦へ行き、解決の糸口を探ろうと接触を試みましたが、一度のみならず2回も断られました。こうなると、なすすべもなく・・・。それでも、何とか解決するために模索していく。それが現在の状況です。

既にこちらから提示する材料もなく、話を持ちかけられない状況です。組合側は100か0か、といった感じ。パワハラや有休など、われわれが制度関連と呼んでいるものは納得してもらっている。今は賃金だけ。長年、お互いが精一杯、妥協点を探してやってきましたが・・・。今回に関しては出口の見えないトンネルですね


う~ん・・・やはり政治や行政の話と違って具体的な数字を見ない事には何とも言えないですね。いくつか言えることがあるとすれば、

1.「競馬は楽しむためのもの」
これは免罪符のようなもので、これを出されたらどんなに歪なことがあっても口にチャックをしなければならない、と言ってるのと同じなんですよね。コロナの助成給付金やJRA公金不正受給指南、短期免許の資格要件、GⅠにおける手拍子や外厩制度、エージェント制度、10日競馬などファンにとって影響のないことでも、法的、規則的、道義的な観点からどうなの?と思うファンは多いわけです。それらを含めて競馬ですから。

しかし、競馬は楽しむためのものという言葉で、見せたくないものから目を背けさせるのであれば、それは見せかけのレジャーになりませんかね。引退した競走馬の多くが処分されている点は公にはされません。しかし、それを知ってこそ競馬の価値や面白み、競走馬への愛が芽生えるのではないでしょうか。


2.賃金体系の変化と数字の相違

中村会長曰く、「売上が下がった時に下げなかったのに、上がった時に上げろというのは理屈が通らん。彼らの持つ数字も我々と相違がある」とのことですが、それならその数字を示さないと理解を得られませんよね。旧賃金体系の人と新賃金体系の人とで賃金が違うのであれば、それを明示して相手の反応と合わせて理解を求めるのが今の時代のやり方に沿うのではないでしょうか。


3.ホースマンとしての矜持
昨年のストと異なり、今年はトレセン業務もストの範囲に含まれたのは前述した通りです。それについて中村会長は「(水やエサやりをする)保安員も置かなかった。言いたくはないが、ホースマンとしてはがっかりする手法」と組合を非難しましたが、これはおかしい。その前段でストは権利だから否定しないと言っているのだから、これも否定してはいけません。

確かに、相手は生き物だから最低限のことはしろよと思うでしょう。しかし、それを言ったらストになりません。自分たちの経済活動がストップするからストなんですよ。少しでも経済活動を求めるのであれば、組合の言い分を飲まないとイカンのです。逆に言えば、競走馬を人質にしてません?と言われませんか。


4.JRAと共闘?
中村会長は、JRAの担当理事と美浦へ赴き、「接触」を試みたものの、「一度のみならず2回も断られた」そうです。すいません、もうこの書き方で相手を悪者にしようという感情が見て取れます。

例えば、労組の言い分を丸飲みするからストを午前で解除してくれ、という連絡をするとしましょう。その時に、相手とは連絡付かないんでしょうか。ストに入ったら連絡取れないとか交渉事をしているなら考えられません。であれば、水面下であっても交渉をするのであれば、連絡を入れてから向かうのが筋ではないでしょうか。

それとも連絡入れたのでしょうか。入れたのであれば、会えないと言われなかったのでしょうか。2回も決裂したのではなく、交渉できなかったわけですから、おそらく会えないと言われても無理やり会いに行って拒否されたということだと思います。もし、先に連絡して会う約束があったにも関わらず拒否されたのであれば、そう言った方がいいですが、そうじゃないですからねぇ。

また、労組の立場からすればストの威力を見せつけた方が交渉は優位になると思っているわけですし、わざわざスト中に交渉しなくても、ストが終わってから交渉してもいいわけです。なので、満額回答以外でスト中に交渉する理由は組合側にはなかったのでしょう。調教師会側から提示する材料がないと言っていますしね。あるいは交渉担当があちらこちらにいて集まれないなどの理由も考えられます。アポなしで急に会いに行ったらそういう事もありますからね。


それからJRAの担当理事と一緒にという点もマズイですね。だって両者から見たらお上に当たる人ですよ?子供と子供の話し合いに、どちらか一方に肩入れしている先生が一緒に行って話し合いましょうと言っても拒否られるでしょうに。分かりませんかね。

JRAも開催云々の話はもちろん、トレセン業務の確認もしたいのでしょうが、それなら調教師会とは別に労組と話をするべきです。もしくは、JRAが状況確認の名目で両者を集めて、双方の状況を確認しつつ、交渉を促すなどであれば理解はできますが、先生を連れてきて交渉するなんてねぇ。虎の威を借りる狐のように見えます。


まぁこれだけ見てきて分かったことは、調教師会、労組双方とも、マスメディアやSNSで情報発信し、世論を味方に付けたいのであれば、もう少し情報を開示するべきですね。両者とも、自分たちの主張しか話していませんし。

労組側は中途半端にやるのではなく、徹底的にやりましょう。ストライキとはそういうもんです。開催業務だけとか抜け道を作るのではなく、一発で決めるようにガツンとやらないとダメです。そして落としどころをしっかり見定めて、引くときはサッと引く。これが翌年以降の相手の態度を軟化させるのです。

それから調教師会はJRAに頼るのは止めましょう。それはスト破りを助長するようなもんですし、労組側の態度を硬化させるだけです。相手を悪者にしたい気持ちは分かりますが、徹頭徹尾、自分たちの主張を詳らかにし、これで飲んで下さいとお願いした方が世論は味方しますよ。それが適正な主張ならね。

JRAは競馬開催のためとはいえ、調教師会に肩入れするのは止めましょうね。昨年のやり方はスト破りと同じようなもんですし、それにキレた労組側が態度を硬化させてトレセン業務もスト範囲に入れたのではないでしょうか。つまり、自分たちの売上を担うべき競走馬を危険に晒しているのは、JRA自身が安易な方法を取ったからですよ。猛省するべきです。


というわけで、続報あるのかなぁ・・・あるなら別記事にしよう。


2024年5月27日 12時追記

続報が少しだけありました。ストは26日に解除されましたが、関西労は同日中に妥結をしたそうで、残る関東労、美駒労の関東労組は交渉を続けているそうです。前述したように、関東労組は調教師会との交渉を拒否していましたし、それならばと関西労に照準を合わせて落としたわけですね。

こうなると関東と関西での温度差が目立ちます。栗東ではスト中も影響はなく、通常運転だったという記事もありましたし、関東労組の対応が難しくなりましたねぇ。

あとは、続報があるかどうかです。興味を失えば取材すらしないのもねぇ~ジャーナリストとしてどうなの?と思いますし。頑張って続報下さい笑


2024年5月29日 12時追記

4労組の内、春闘を続けていた関東労(986名)と美駒労(122名)は、29日午後1時6分に妥結したそうです。これで全4労組の春闘が終わりましたが・・・長かったですねぇ。とりあえず妥結に至ったのは良かったものの、問題は来年以降ですよね。仮に来年もストが行われるとなると、さすがに世間も何だ何だ?となりますし、天上人も所管する競馬事業でストが連発していたらねぇ・・・

というか、今の調教師って表面上は経営者なのに、経営者としての裁量を認められていない中途半端な立場ですから、預託料や厩務員の雇用も調教師にもある程度の裁量を認めるべきですよね。それができないなら、JRAが一括で管理した方がまだマシでしょう。

ともかく、来年が注目です。


日本調教師会・中竹和也会長のコメント
厩舎従業員の春季労使交渉について、関西労は5月26日(日)、関東労および美駒労は本日、5月29日(水)に妥結し、今春闘は終了いたしました。ファンの皆さまにはご心配をお掛けいたしました。今後も我々厩舎サークルは、魅力ある競馬をファンの皆さまに提供するため、全力で強い馬づくりにまい進して参りますので、中央競馬の応援をよろしくお願いいたします


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