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100億以上の寄付でも満足できないか?

JRAは22日、定例会見で『新型コロナによる無観客競馬の経緯』と『新型コロナ支援策』を発表しました。

競馬産業全体の問題、一度中断すると影響が大きい

無観客競馬の経緯について後藤正幸理事長は『競馬産業全体の問題として、開催が途切れると、競走体系や血の継承など深刻な状況を生じる恐れがある。その回復には長い年月が必要になる。』と説明しました。

まぁそうでしょうね。開催を中止するとGⅠはおろか重賞を勝つチャンスすら無くなる訳ですから。そうなると繁殖生活に多大な影響を与える事になります。なんせあやふやな主観で馬の能力を測るわけで、駄馬に優秀な繁殖牝馬を大量に付けたり、高額な種牡馬を付けたら、それ以降の世代の競走能力は著しく減衰する可能性が高いですよね。

それって今のモーリスみたいな失敗ってレベルじゃありません。日本競馬界全体のレベルが下がるわけですから大失敗ってレベルなんですよ。天下の某大手牧場グループが傾く可能性もある深刻な問題です。だからこそ、売上が下がってもいい、無観客でも競馬を施行するという選択ができるわけです。

テレワークや6時間授業などもそうですが、影響が予測できない事に二の足を踏んできた部分がコロナの影響でそうせざるを得ない状況になり、やむを得ずやってみたら意外と悪くない、むしろ良いんじゃないかって事があります。競馬界で言うとインターネット投票やグリーンチャンネルでの観戦などが楽とか、思った以上に売上が下がらなかったとかですかね。そういう棚ぼた的な部分をしっかりと分析して次に繋げていく事が重要です。

というか、この危機を開催中止せず乗り越えた事で、今後、馬インフルエンザのような事態や競馬場が被害を受けるなどの事態にならなければ開催を中止する事はまずないでしょうね。

あと、問題は【無観客競馬がいつまで続くか】ですが、発表では『3密を避けるのが前提』ではあるものの、7/10に予定されている政府の制限緩和の指針に併せて検討するとの事です。順調に行けば秋競馬から徐々に観客を入れていくそうで、最初はインターネットで販売する指定席に限定する案などが挙げられていますが、細かい点については今だ検討中のようです。


金なら出すぞ!新型コロナ支援策

無観客競馬の経緯と併せて発表された『新型コロナ支援策』は以下の通りです。

①宝塚記念当日(6/28)の売上から50億円を拠出する
②①以外に競馬関係施設がある自治体近隣医療機関に寄付・寄贈を行う

まず、①は宝塚記念当日の6/28に行われる3会場全ての売上から50億円を拠出します。昨年の宝塚記念当日の売上は413億なので、1割減としても370億、その内の50億なので売上全体の13.5%を拠出する結構な支援策ですね。第一国庫納付金は売上の10%なので、それ以上の納付ですよ?他に一般企業や団体が出せます?この金額を。

JRAは過去に、阪神淡路大震災では59億円、東日本大震災では54億円を拠出してきましたが、それらに匹敵する金額を出すという事で競馬開催に文句は言わせないという強烈なメッセージとなりますね。

続いて②ですが、競馬場、トレセン、ウインズ等が所在する44の自治体に対して5億円を寄付し、競馬場やトレセン近隣の29の医療機関に3億円規模の医療備品等を寄贈、JRAの日高と宮崎の育成牧場近隣の8つの医療機関に1000万円規模の医療備品等を寄贈します。日高と宮崎については、JRAブリーズアップセールの売上げの一部から拠出するそうです。

また、それ以外にも競馬場やトレセン近隣の行政機関や医療機関にマスク6万枚を寄贈するそうで、国や自治体も真っ青の支援策ですね。最初、一つの自治体に対して5億だったら、合計220億じゃないか!と勘違いしましたけど、全体5億だとしても各自治体1000万円を超える金額を寄付するわけですから、ご迷惑お掛けしますって意味合いもあるのでしょう。

また、医療機関には金より物資という点が良いですね。金さえあれば何とでもなるだろって考えじゃなく、必要なところに必要な物を送るという差配加減は素晴らしいと思います。

なお、既に発表されているように、①と②以外に下記の団体から寄付が予定されています。

・日本馬主協会連合会 寄付金1000万円
・日本調教師会    寄付金1000万円
・日本騎手クラブ   7,684,000円(5/31まで)

どの団体も寄付をして然るべき団体だと思いますが、馬主協会連合会は正直もうちょっと頑張ってほしかった。日本騎手クラブのように変動する分ならまだしも、馬主が調教師と同額って言うのも体裁がねぇ・・と思ってしまいます。すいません。

それと日本調教師会の発表では【5/16~7/19までの出走1レースあたり1000円を拠出+調教師会拠出分を合算した総額】となっていますが、総額1000万円と決めてしまう点は何故だ?と思います。先週の出走頭数は1018頭なので積み立て額は100万円を超えますし、2場開催があるとはいえ7/19までの11週なら単純計算で1000万円を超えます。さらに日本調教師会から拠出分もあるという事なら1000万円と区切らず2000万くらいにした方が良かったのではないでしょうか。細かくてすいません。

一方、日本騎手クラブは【4/11以降の騎乗1レースあたり1000円を積み立て】としており、5/31までの総額が7,684,000円だそうで、トレセンのある茨城の「新型コロナウイルス感染症対策医療従事者応援金」、滋賀の「滋賀県がんばる医療応援寄附」に半分ずつ寄付したそうです。日本調教師会とは異なり、6月以降も当面の間は積み立てを継続するそうで、週に100万円近い金額が積み上げられていく計算になり、思った以上に高額な寄付になりそうですね。さすが金持ちのJRA騎手界です。

そういえば22日に、函館競馬に参戦中の騎手が全員が海岸でボランティア清掃を行ったと報道されてましたね。金だけじゃなく、体も使って競馬をさせてもらえる事に感謝するのは上記のJRAと同じです。馬運車に物を投げつけた函館住民の方もこれくらいしてから文句言ってくれたらと思いますね。

とまぁこんな感じで社会貢献・社会奉仕の一環としてこうした活動を行うわけですが、前述したとおりJRAは過去にも同様ような事をしています。JRAのHPに支援活動の取組みについての記述がありましたので、載せておきます。

被災地支援の取組みについて-1
被災地支援の取組みについて-2
被災地支援の取組みについて-3

こんな感じですね。ここに載っているだけでも60億円以上の義援金、寄付、寄贈を行っていますし、それ以前の阪神淡路大震災等の分を含めれば100億円以上を拠出しています。それでも競馬を白眼視し、開催に反対するのでしょうか。競馬はスポーツ、ギャンブル、レジャーなど様々な面がある娯楽ですが、正直、パチンコやパチスロとは一線を画すものだと思いますし、ギャンブルという側面だけで一括りに批判するのは短絡的で極めて無礼な行いだと思いますね。

JRAからはクッション値の公開等、気になる情報も飛び込んできましたが、一先ず50億円以上を拠出して社会貢献を行うJRAと関係者に感謝しかありません。ありがとうございます



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