谷村新司さんの「22歳」を数十年ぶりに聞いて

シンガー・ソングライターの谷村新司さんが10月に亡くなられました。

享年74歳で、私の両親世代。

子供の頃に車で一番かかっていた音楽が谷村新司さんの曲でした。
谷村さんの曲を聴くと、都内にある両親の実家から、中原街道、丸子橋、綱島街道を通って横浜市内まで帰る車内の記憶が蘇ってきます。
車の匂い、車窓から見えるネオン、既に寝落ちした妹の寝息。

谷村さんの悲報から1ヶ月あまり経って、谷村さんの曲を本当に久々に聴いてみました。
「昴」「いい日旅立ち」「チャンピオン」など名曲ばかりだし、当たり前だけどめちゃめちゃ上手い。アリスの頃の力強い歌い方から、晩年の一言一言噛みしめるような歌い方まで、引き出しが多く、また表現が豊かで素晴らしい歌い手でした。

そんな中、耳が止まったのが「22歳」

幼少期に見ていた甲子園でプレーする高校生がすごい大人見えていたのに、いつしか自分の同級生がプレーする場に変わり、今となっては子供と同年齢の子がプレーしていることに年齢を感じる。
それと同じような感情をいだきました。

「22歳になれば少しずつ、臆病者になるわ、何故か分かるあなた~」

22歳なんてずっと先のことだと思っていたのに、自分の年齢の半分以下になっている・・・

子供の耳で覚えているだけで、歌詞の内容まで理解していませんでしたが、改めて詞を読むと、22歳の女性が恐らく年上で既婚であろう男性と恋に陥り、夏から秋に移ろう季節に別れを決める、という内容です。

今から考えるとものすごく大人の女性という感じがします。今も昔も22歳で年上男性と結婚という先が見えない不倫をしている女性はいるでしょう。しかし、22歳ってまだ学生であったり、新社会人で、結婚に繋がらない恋愛に憂いているようなイメージが湧きません。
現代だと30歳手前の女性のように感じられます。

と思って、統計を調べてみました。

本曲がリリースされた1983年の平均の初婚年齢、なんと女性は25.4歳ですよ。そりゃ22歳で今の恋人と別れ、新たに恋愛相手を探し、結婚に至るまでの時間を考えると、悠長なことを言っていられない。今よりもずっと、女性は結婚して家庭に入り、子供を産み育てるのが役目と言われていた時代ですから。

ちなみに2019年の女性の初婚平均年齢は29.6歳。
私の感じた年齢の違和感、見当外れではないようです。未婚のまま生涯を過ごす人が増えているとはいえ、流石に30歳手前になってくると、結婚・出産が頭をよぎり、焦ってくる女性は多いでしょうし、その年齢に先の見えない恋愛相手と過ごしながらも、憂いを感じていても不思議ではありませんね。

谷村さんの悲報から、22歳を口ずさみ、結婚の平均年齢を調べてしまった、偏差値55の中年男です。
よかったらまた遊びに来てください。

谷村新司さんのご冥福を心よりお祈りします。



 



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