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専門知識がなくても仕事はくる。じゃあ、どうやって書けばいい?

前回は「BtoBライターに専門知識は必要か?」というテーマで考察しました。

そこでの結論は、「専門知識はあったほうがいい。でも、なくてもできる仕事はいっぱいある。だから、専門知識がなくてもとりあえず仕事していって、『これは!』というテーマに出合ったら、それを学んでいけばいい」という感じに落ち着きました。
今回は、専門知識がない状態で、どうやって仕事していけばいいのか。みたいなところについて、考えていきたいと思います。


ライターにとって重要なのは、詳細よりも全体像

これは、BtoBライターというよりも、取材ライター全般に言える話だと思います。
ライターにとって大事なのは、詳細よりも全体像です。
というのも、取材において大切なのは「質問」なのですが、この質問、全体像が掴めていないと、なかなか出てきません。
業界や市場の動向、企業が抱えがちな課題、一般的なプロダクトの特徴と限界、みたいな、ざっくりした理解があれば、あとの詳細は、取材で聞けばいい。でも、全体を捉えていないと、詳細を聞くための質問すら出てこないんです。
ちなみに、ざっくりした全体像については、書籍やWebで予習できます。ニッチな業界すぎて簡単に調べることができなければ、「調べてきましたが、よく分からなかったので教えてください」と正直に言えば、「そりゃそうですよね」と丁寧に教えてくれるはずです。(調べもしないで「調べたけど分かりませんでした」はダメです。その手の嘘は、簡単に見透かされます)

事前に用意する質問と、現場で深掘る質問

取材で重要なのは「質問」だと言いました。
質問には、予め用意しておくべき「軸」となる質問と、得られた回答を元に深掘りするための質問があります。

事前に用意する質問

まずは、取材前に、ざっくりとした質問を用意しておきましょう。
掲載メディアの特性、テーマ、ターゲット読者、取材先、文字数などを考慮して、だいたいの構成を作り、その構成に沿って質問を考えます。

==(例)==
 メディア:中小企業向けのビジネス情報サイト
 テーマ: SNSマーケティングの活用方法と効果的な戦略
 ターゲット読者:中小企業のマーケティング担当者、経営者、事業担当者
【記事構成】
 ・SNSマーケティングの重要性と現状
 ・主要なSNSプラットフォームの特徴と利点
 ・目標設定とKPI
 ・SNSマーケティングの成果測定方法とツール
 ・将来のトレンド予測
=======

こんな感じで構成ができれば、
「SNSマーケティングは、中小企業にとってなぜ重要なのですか?」
「現状、SNSマーケティングを上手に行えている中小企業は、どのくらいありますか?」
「中小企業がマーケティングに使えそうなSNSには、どのようなものがありますか?」
・・・みたいに、ざっくりとした質問がいくつか用意できると思います。
取材時間や記事のボリュームにもよりますが、ざっくり質問は10個もあれば充分です。

現場で深掘る質問

事前に用意した質問に沿って取材を進めていくと、「あ、そこをもうちょっと聞きたいです」と感じるところがあります。必ずあります。
そう感じたとき、聞きたいことをすぐにメモしてください。メモしておかないと、相手の話を聞いているうちに、忘れます。かなりの確率で忘れます。
相手の話が一息ついたら、メモを見ながら、
「先ほどの○○というのは、具体的にはどういうことですか?」
「~~とおっしゃいましたが、その場合△△はどうなるのですか?」
「□□になったとき、どのようにその場を切り抜けられたのですか?」
みたいな感じで質問して、話題を深掘りしていきましょう。
適切な深掘り質問をするには、どこに疑問を感じるのかがポイント。ここがズレると、「なんでそんなこと聞くの?」と要領を得ない取材になってしまいます。
そうならないためには、「読者と同じ目線」を持つことが重要です。
読者が疑問に感じるだろうところを、先回りして質問し、記事に反映する。それによって、読者はストレスなく記事を読み進められるようになるのです。

専門性の低い記事の需要は大きい

「読者と同じ目線」と言いましたが、読者ターゲットが専門家だった場合、専門知識のないライターに出番はありません。
しかし、多くの場合、割と一般的な知識レベルの人がターゲットです。それなら、なまじ詳しすぎないほうが、読者に寄り添えるかもしれません。
もちろん、高い知識を持つライターさんは、読者に合わせてレベル感を下げた記事も書けると思います。でも、そういう方は、できれば専門家向けメディアで高単価なお仕事をしていただきたい。そして、あわよくば我ら一般ライターにライトなお仕事を分けてほしい(笑)。
まぁともかく、基本的には、一般読者向けの原稿のほうが、需要は大きいです。(単価はまちまちですが)

一般読者向けに、専門性の高い商材のことを書くこともある
「一般レベルに噛み砕いて書いてほしいけれど、そもそも商材自体の専門性が高いんですよ」ということもあります。SaaSなんかは割とそうで、どうしてもある程度周辺知識に触れないと書きようがないことも。
そんなときは、取材時に丁寧に教えてもらいながら(もちろん下調べをしたうえで)、でも原稿は、中学生にも分かるくらいの言葉で説明するようにしています。
ビジネスだからといって、難しい言葉が好まれるわけではありません。もちろん、くだけすぎた言葉は不適切ですが、小難しい言い方を極力避け、分かりやすい言葉で正確に書くことが大切です。
基本的に、ビジネス系の記事は、カッコつけるために読むわけじゃありません。好きで読んでいるわけでもありません。仕事のために読まなきゃいけないから、仕方なく読んでいる場合がほとんどです。
なので、読む際に、余計な頭をなるべく使わせたくない。
「内容が全く同じなら、読みやすいほうが優秀な記事である」と私は考えています。

結局のところ、何が言いたいのかというと、今の時点で自分に専門性がなかったとしても、心配いりません。ということです。
「まずは専門を身につけてから」なんて悠長なこと言ってないで、ガンガン書いちゃってください。
書きながら、専門知識を身につけていけばいいんです。
って、前回と同じ結論になっちゃいました。自分に言い聞かせています。はい。


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