佐原総将という男

靴磨きトラベラーという称号で活動している友人がいる。
名前を佐原総将という。SoshoLANDとも言う。
彼が僕のことを友人と認識しているかはわからないが、少なくとも僕は彼を友人だと思っている。

住んでいるのは大阪のようだが、初めて出会ったのは東京のすこし不思議な書店「読書のすすめ」だった。
来るたびヒッチハイクで現れたり、ママチャリでの日本一周で現れたりと、毎回普通にはやってこない。そして連絡は突然くる(笑)
そんな彼が昨年はオーストラリアからインドまで靴磨きしながら世界一周の旅として、アジア諸国を巡って来た。つい先日その話を聞く機会に恵まれた。

驚いたのは顔つきの変化である。数段男前になって帰ってきた。痩せただけじゃなく、経験が顔を作るということを思い知った。
ぜひYoutubeで日本一周序盤と世界一周アジア編の顔を見比べてみてほしい、別人である。


彼は僕の1歳下になるが、人の話を聞く力、掘り下げるセンス、笑いを取れるユーモア、発信の継続力など、優れたところがたくさんある。

僕のことを松浦の兄貴、と呼んで立ててくれるが、たまたま一年早く産まれただけで、特に何をしたわけでもない。

そんな彼からはいろんなことを教わった。


自分の心に素直に向き合い、行動すること。

技を身につけるために、優れた職人さんのところに行って、実際に自分の靴を磨いてもらうこと。

磨く前と後の、記録を残すこと。

相手の話を聞いて、掘り下げていくこと。

技術を駆使して、相手を喜ばせること。

お金には貰い時と、渡し時があること。

経験した物語を、発信して人に伝えること。


佐原くんの靴磨きの技術の学び方は、そのまま僕にとっての本業の学び方の参考になった。
手を動かしながらも、いいやり方を取り込んで自分で再現する。そして記録を残す。この大事さを思い知った。
まして彼は磨いている光景をYoutubeのためにGoProで録画しているのである。編集しながら自分のやり方を客観視している。究極のフィードバックだなと思った。

彼が2021年、靴磨き日本一周をしていた時に東京で、北上の過程の往路と、大阪に帰る復路でそれぞれ靴を磨いてもらった。
その2回の間は数ヶ月ほどなのに、復路では往路よりも数段上手くなっていた。
色々工夫しながら、さらに回数をこなすことの重要性を身をもって実証していくその背中に、同じ職人稼業の人間として、かなり刺激された。
僕にとって技術の必要性を、一番強く思い知らせてくれた人かもしれない。
彼自身の巧みなトーク力もさることながら、靴磨きトラベラーという存在の特殊性を、靴磨き職人としての確かな腕が支えている。
しかもまだまだ成長を止めないのだ。思わず自分を省みた。のんびりしている場合ではない。

帰国後、久々に会って、ひと回り大きく見えたその背中は、正直近づきがたくもあった。

自分は肩を並べて胸を張れるような日々を送ってきただろうか。
色々な経験をしたが、ちゃんと消化して、表現に繋げてきただろうか。
彼と同じだけの熱量を、自分のやるべきことに注ぎきっているだろうか。

講演会で、会場を笑わせ、感動の渦に巻き込んでいく姿を見ながら、自分の心に改めて火が灯っていくのを感じた。

また会う時、恥じない自分でいられるように、自分の居場所で、日々ベストを尽くして生きていきたい。

次回はまもなくですが2月5日(日)高知開催のようです。
皆さんのお近くで開催の時は、ぜひ会いに行ってみてください。
何かが変わります。

画像からBASEのチケットページに飛べます。


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