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レビュー『ようこそ ようこそ はじまりのデザイン』

2018年9月15日。34歳の誕生日に僕は大阪にいた。スタンダードブックストア心斎橋で開催された「本屋はなんや祭」に参加するためだ。

同店の中川社長に惚れ込んだ人が自発的に企画した謎のイベント、本屋はなんや祭。周囲の心配をよそに結果、大盛況となっていたのだが、1日かけてのイベントの終盤に、本書の著者、というか著社の代表・服部滋樹さんがお話しされていた。

中川社長とは仲良くさせていただいていて、その関係でgrafのことも服部滋樹さんのことも知っていたが、「デザインの会社をやっているのかなー」程度の理解で詳しくどんなことをやっているかを知らなかったので本書をその場で購入し、ここぞとばかりにサインをいただいたのだった。


とても嬉しかったのだけれどなんどこんだと月日が経ち、ようやく読み終えた今日である。

いまでこそチームで働くことの効能はよく言われているが服部滋樹さんが「デコラティブモードナンバースリー」として活動を開始した1993年にはおそらくそんな考え方すらあまり認知されていなかったろうと思う。

そんな状況で、数々のプロジェクトを立ち上げ、成功し、「大阪のデザインといえばgraf」(デザイン関係の知人から聞いた言葉)とまで言われるようにになったのは本当にすごいことだと思う。

本書はそんなgrafの軌跡が、服部滋樹さんだけでなく、構成メンバーのそれぞれに、それぞれの立場から描き出されている。著者が代表の名前でなく社名なのはそういうところからだ。

はじめは、1人で何かをやるには厳しいけれどこのチームならイケるんじゃないかとの思いからはじまり、徐々に大きくなっていく。印象的だったのはp.81の赤井佑輔さんの「grafに自分を合わせるのではなく、自分たちがgrafをつくっていける環境がgrafなのだと思う」という言葉。チームメンバーにこう言わせる環境づくりってどんなものなのだろう。

BOOKSHOP TRAVELLER を運営している自分としてはgrafのチーム作りをもっとちゃんと見ていきたいなと思った。

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