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最近のネプリから
最近(と言っても少し前のものもありますが)読んだ俳句のネプリから好きな句、魅かれた句を引いていきます。
よんもじ
2024.1.9 VOL.8 WINTER
マフラーや花屋の花の入れかはる
湯に浸かる賞与賞与と笑ひあひ
『花屋の花』若林哲哉
冬虹や暮らしが見殺しを強いる
『不可避』西川火尖
木の匂い確かめながら独楽回す
『木の匂い』藤田亜未
今はまだ無名の新人日記買う
『偽物だ』諸星千綾
立ち位置のしっくりこない初写真
『リスタート』相田えぬ
祈りと火
星野いのり 西川火尖
瓦斯の火の青さよ雪の核も青
喉に火を飼ふ疫病や冬旱
悼む火の芯に抗ふ火の白し
『火に呑まれ』星野いのり
胸の雪払ひ祈りを真似てをり
白鳥やガスライターの火の根透く
抗へば祈りの如し霜柱
『祈求』西川火尖
薪の会
2024年3月発行
天国のやうな退屈春の浜
襟足の素直なるひと花の春
ばんかおり
朧夜や浮き輪のように置く句点
春光やカスタネットのゴムの伸び
後藤麻衣子
話しつつ忘るる夢や春炬燵
初雪や捨つる付箋と残す付箋
正山オグサ
さくら餅あくびに雲の渡りゆく
助手席の眠たき窓や雪柳
内野義悠
好きの日と嫌ひの日あるセロリかな
髙田祥聖
戦争に向かぬ春服着てをりぬ
笠原小百合
夜に名をつけて闘魚の翻る
塚本櫻𩵋
薪の会のネプリは句会を追体験できるようになっており、作りが斬新でした!