排出枠取引の将来性とデメリット

二酸化炭素の排出枠の売買によって価格が株価のように変動し、それを見ながら企業が生産規模の縮小と拡大を調整する。排出枠を買うコストが高ければ生産を縮小して排出を抑えるといったような感じ。これは排出権を売るために大きなコストをかけて新たな技術を導入し余った排出権を売るといったように、企業の技術的な進歩が見込まれることもある。また、先進国は途上国からお金で排出権を買いあさっているというように報道されることもあるが、先進国が途上国に技術を援助して二酸化炭素の排出抑制に貢献した場合、その実績を先進国の排出枠として買うことができる仕組みも導入されている。つまり先進国から渡された進んだレベルの技術とお金が途上国の排出抑制を手伝うといったもので、途上国からしてみれば排出権を先進国に売ることが最も価値が出る。しかし立場の強い大企業が弱い中小企業から排出権を安く買いたたいたり、排出権がかけられない途上国に工場を建てて排出枠逃れをしたりという問題もある。どこの企業が本当に排出権を削減するのかチェックするのにも莫大なコストがかかるので制度維持には限界もある。また、金融機関や投機が将来の排出権高騰を見込んで買い集めたりもしている。排出権が高騰すると厳しい排出枠を課せられて買い手になるしかない企業が排出枠を変えず、排出枠逃れをしたりする可能性がある。

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