此処に居たくない理由

ねぇ、聴こえる? 聴こえるはずもないか。
世界が動きを失くしてもう随分経つもんな。
この場所から見える景色さえも、
忘れられた絵画みたいに、寂しそうに網膜に沁み込んだ。

ねぇ、聴こえる? 新しい唄が出来た。
鼓膜に触れた旋律はもう僕だけのものなんだ。
寂しい訳じゃない。そんな事あるもんか。
自分で選んだ生き方だろ。僕は幸せだよ。 分かってるよ。

生きていたいから、僕等は一人。
呼吸をしたいから、僕等は一人。
強く居たいから、僕等は一人。
寂しくなったら、何処へ行けば良いの?

誰か知ってる? 外の様子はどうだい?
相変わらず汚れた世界かい? きっとそうだろうな。
もう知ってる。ちゃんともう分かってんだ。
こんな場所で一人で居るから、心は汚れていく。

生きていたいから、僕等は一人。
呼吸をしたいから、僕等は一人。
強く居たいから、僕等は一人。
寂しくなっても、僕等は一人。

それでも何かを追いかけたい。
それが明日と気付かなくても、歩みを旅路と呼べるなら、
それを理由にして良いですか?

劣等感、焦燥感、持ち物はきっとそれで十分だよ。
大丈夫、大丈夫、きっと君は大丈夫だから。

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