優シイ人ノ詩

空は灰色に爛れて、乱立するビルとの境も分かりゃしねぇ。
それでも微かに捉えた薄明光線を希望なんて呼ぶから 人間は救えねぇ。
それを疑えなかった。
手元に光るディスプレイ、
それぞれの価値観にて成り立つ幸福の押し付け合い。
馬鹿げたタイムラインでは傷の舐め合い
あいつの欠損を嘆いて、安堵する。

生きていたい。彼奴の事が嫌い。
幸せになりたい。痛いのは嫌い。
綺麗な物が見たい。傷付きたく無い。
自分を肯定していたい。寂しいのが嫌い。
朝焼けを望んで眠りたい。青痣だらけの心を隠したい。
今日を自分自身で選びたい。笑われた過去を消し去りたい。
風の音色に耳を澄ませたい。拭い切れなかった涙の痕をなぞりたい。
今日も良い日だったと思いたい。壊してしまった物は忘れない。
許されたいとだけ思う自分が嫌い。

もう何も要らない。

ただ、優しい人で在りたい。

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