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パーフェクト・ドラッグ(後篇)

声の方を 振り返ると
そこにいたのは 総務課のYだった。。。

(こっから プロジェクトX風)
にせもの の はっぱ を つかまされたと
意気消沈した男たちに Yは 声をかけた
「もう 一度 今夜 パーティを開きましょう!!
男たちの間に どよめきが 広がった。。。
Yは 経験者だった!!
Yの指示により テキパキと男たちは動いた。。。
光明が見えた。。。

(モザイクの男)
あ まあ くわしいことは 言えませんが
Yの指示は 的確でしたわ。。。
一番 私らが うなったのは 
なにか あった時のために 
ひとり しらふの 人間を残しておく という
措置でしたなあ(-。-)

やはり そこは 経験者ならでは ということですわ

こうして 万全を期してのその夜
あ アタシですか?
まあ 3~4回吸ったときに
なにか こう。。。得体のしれないものが
来た!と言う感じでしたね
それは 来たとしか 言えない感覚ですね。。。

こう。。。いきなり 部屋が震えるほどの
音といいますか 振動が 起きるわけですが
なにごと と 思って 外をみれば。。。
海のはるか 沖を小型船が 通っている。。。

そのエンジンの音が 振動として
感じられたわけですわ。。。

え? いやいや おおげさ なんかでなくって

たとえば オレンジ・ジュースを飲むのですが
その液体が 体のなか 食道を通って落下していくのが
はっきりと わかるのです。。。
それが 胃袋の壁に当たって 振動するのさえ
大きなうねりとして 感じられるのですわ

それから なんか 曲を聴いてみようと
いうことになって キングクリムゾンのカセットが
あったので 聞いて見る事に。。。
あ~まあ とても 言葉で表現できない体験でしたね。。。

(こっからは 詩的に)

【クリムゾン王の宮殿】

僕たちは 海底に沈む水死体のように
おだやかに たおやかに
水中をゆれていた

足首を鎖のようなもので 固定されているのか
いつまでも 昏い水の底で
ゆらゆらとゆれていた

時々 強力なコーラスのように
沸き起こる水流のうずが
世界を回転させる

暗黒や深緑や青が 回転のなかで
入交り溶け合って
目くるめく世界へと変貌する

おおおおおお 物言わぬ死人たちと
僕は心で叫んだ
おおおおおお この暗黒の輪舞

水流が力尽きれば
また 永遠の静寂の世界
目をとじて安らかに
                                                               
(エンディング)

モザイクの男
「まあ わたしの話はここまでです。。。
でも ほんとは。。。ドラッグなんて無くても
良いのです。。。
わたしらは 究極のドラッグというものを知ってますから
え?あなたも知ってるものですよ。。。
そう。。。音楽こそが パーフェクト・ドラッグなんです
そう 思いませんか???」
男は 公園のベンチから ゆっくり 立ちあがり 
やがて 闇の中へと消えていった。。。
ふと その男の背中に見覚えがあったような気がしたが
おそらく 錯覚であろう。。。

どこかで 猫が鳴いていた。。。