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『まだ明日がある』鑑賞レビュー

昨年イタリアで『バービー』『オッペンハイマー』を抜いて大ヒットしたという話題作『まだ明日がある』。第二次大戦後すぐのローマの庶民の生活を描いた作品ということで、「あまり乗り気じゃないけど、一応見とくか…」とテンション低めで観に行きました。

主人公ダリアはDV夫の虐待に耐え、寝たきりの義父の介護をしながら、娘一人息子二人を育てている主婦。文字にするとかなり悲惨な状況なんですが、これをめちゃくちゃユーモラスに明るく描いてるんですよ。オープニングから、ダリアが介護する義父にお尻を撫でられたり、外に出ると犬が足を上げてオシッコしてたりと、酷いシーンなのに何故か笑いがこみあげてしまいます。貧しい暮らし、度重なる夫の暴力と、ダリアは抜け出せない負のループに嵌ってるのですが、人生の歯車が嚙み合わないギクシャクしているところを、コントのように面白おかしく進行していくので、悲哀を感じさせません。とにかく一つ一つのシーンにおかしみが漂っています。

代わり映えのしない日常生活を送るダリアが、希望を見出すものは何か…。
貧しい庶民の生活に笑いを込めて、最後に大きなオチに繋ぐんですね。この展開には驚きました。予定調和のハリウッドの3幕劇にはない構成、爽やかなエンディングです。うーむ、イタリア映画にやられてしまいました。

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