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52 憲法の鍛え方田の返し方

 句集「むずかしい平凡」自解その52。

 こういう句の読み方をどう説明するか。そもそも、自分でも何を言いたいのか、よくわかって書いているわけじゃないですからね。とはいえ、イメージというものはあります。

 「憲法の鍛え方」というのは、私たちは、まだまだこの憲法を鍛えていかなくちゃいけない、そんな思いがもとになっていますね。条文を読めば、ほんとうにいいことが書いてある。でもそれが生活の中でじゅうぶんに生かされていない。その鍛え方がだいじだよね、と。

 そしてそれは「田の返し方」が参考になるんじゃないかと。

 季語は「田返し」。春の耕しですね。冬の間、固くなった田を、田植えに向けて準備する。深くからしっかり田を返し、空気をよく混ぜて、稲がよく育つように、しっかり。そんな黙々とした営みこそ、今の私たちには必要なんじゃないかな。

 「憲法」なんて言葉も俳句に使ってしまっていいのか。

 いいも悪いも、詩になるのなら、どんな言葉でも詩になる権利はある。どんな人にも生きる権利があるように。

 ただそれを詩にできるかどうかは、それこそ言葉の鍛え方。

 2013年、長崎の「海程」全国大会の句会で提出した句。不安もあったけれど、主宰金子兜太に採ってもらったときはうれしかった。「憲法が私たちの暮らしを守ってくれている、という思いが句ににじんでいる。そこがよい」と。

 それはともかく。

 いや、ほんと、今ますます憲法を鍛えなおさなくてはいけない時期。

 

 

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