本田未央のあだ名考察

 本田未央を創作――特に漫画、小説、あるいはnovelsm@sterといったストーリーのあるもの――に出演させる際にネックとなるものと言えば、呼称であると思う。
 基本的にはあだ名呼び、それもファンにもあだ名を付けていることから彼女に親しい人物は何かしらのあだ名を付けられていると見ていい筈だ。
 未央のことならでお馴染みの未央Wikiには、先人達が残した偉大なるあだ名表があるので、シンデレラガールズ内であればその呼称表を参考にしてもらえれば問題はない。
 ではそれ以外はどうすればいいのか、という問題が持ち上がってくるだろう。アイドルマスターというコンテンツだけでも、765や315、876に283といった数々のプロダクションがある。またそれ以外の作品とのクロスオーバーやモブとして名を有する人物を出す時も、未央はどんなあだ名をつけるのか考えなければいけない。
 私個人の立場として、「創作とは自由であるべきだ」との考えのもと、好きなようにあだ名をつければ良いと思う。しかし「じゃあはいご自由に」と言ったところで途方にくれてしまう人もいるだろう。私も真っ白な自由帳よりマス目の描いてある方眼紙のほうが諸々書きやすいと覚える人間なので。
 この記事では、本田未央のあだ名はどのようにつければいいかを考え、皆様の創作のお役に立てればと考えた資料である。


1.身も蓋もないが好きなものでいいと思う

 最初から記事の存在意義を消し飛ばすような表題だが、最終的なスタンスはここなのだ。
 そもそも、本田未央自体に自分で決めたあだ名に固執している節はない。例えば三村かな子には「みむっち」と「かな子ちん」の2つのあだ名があったり、日野茜は「あかねちん」の他にも「日野っち」と呼んでいる場面がある。
 各コンテンツのライター間で共通できなかったと言われれば身も蓋もないが、これをメタ視点に落とした時にどう考えるか。私は「本田未央にとって、あだ名をつけるという行為自体に意味がある」と考察する。
 彼女の夢はアイドルを通して様々な人と友達になること。故に最初から相手のパーソナルスペースのギリギリまで詰める必要がある。そのためのあだ名ということになる。そして未央のあだ名が変わるのは、その人物の立ち位置が未央の中で変わったのではないだろうか。
 ……究極を言ってしまえば、未央Wikiに掲載されているあだ名呼称表、あれにさえも従う必要はないと私は考えている。貴方が作る創作の中での未央ともうひとりの立ち位置、それに合わせて呼称を変えても、何ら問題はないのだ。


2.182人分のデータから見る統計


 とは言え、先に述べた通り「自由にしろといわれてもどうすればいいか分からない」ということになりかねない。
 そこで未央Wikiのあだ名表を元に、未央のあだ名の傾向を探ろうと思う。
 今回はそこにモバマスDB_アイドルプロフィール一覧を加え、より詳細な系統を調べようとした。
Googleスプレッドシートが開きます
 F列の対象は、あだ名のベースになった名前の部分である。大抵は名前か苗字あるいはその両方だが、中には例外もありそちらは「特殊」としている。
 G列の傾向は、未央のあだ名の命名の法則を、以下の通りに絞り込んだものである。

○敬称
末尾に「ちゃん」や「さん」といった敬称をつけるタイプ。なお「ちん」については「ちゃん」を崩したものとして、この分類に含めている。

○装飾
長音にしたり、含まれない音を加えたり、あるいは縮めたりしていじっているもの。

○反復
名前の一部を取り出し、それを繰り返しているもの。「らんらん(神崎蘭子)」「あすあす(二宮飛鳥)」など。

○姉系
敬称の内、「○○姉さん」「○○ねぇ」といった姉といった文字が含まれているもの。「美嘉ねー(城ヶ崎美嘉)」「かえ姉さま(高垣楓)」など。

○合体
苗字と名前を合体させたもの。「しぶりん(渋谷凛)」「さくまゆ(佐久間まゆ)」など。

○維持
呼び方の音と実際の氏名に差がないもの。「りーな(多田李衣菜)」「かれん(北条加蓮)」など。

○特徴
氏名ではなく、そのアイドルの属性に寄った呼称。「ウサミン(安部菜々)」「キャプテン(愛野渚)」など。

 2つの傾向を持つものはカンマで区切っているので、手数かかるがフィルター等で適宜絞り込んで欲しい。
 別シートには属性別の傾向と、年齢別の敬称の分布をまとめた。

 やはり一番多いのは装飾型のあだ名だった。このタイプのあだ名の傾向は4文字型が多い。大体が末尾に「〜ん」または「っち」とつけるタイプだ。前者は名前を三文字になるように削り最後に「ん」を付け加える。後者は2文字の音で削りようがない場合につける傾向がある。

 敬称に関しては、どの種類を使用しているかを別表でまとめている。一番種類の多い「ちゃん」付けの年齢幅が広い。22歳の衛藤美紗希にもちゃん付けしている。反対に「さん」付けの最年少は松永涼と、おそらくは高校生以上を人物を対象にしているようだ。
 特殊なものとしては「しゅーこはん(塩見周子)」「紗枝はん(小早川紗枝)」と二人の出身地である京都風のものや、「うめきゃん(梅木音葉)」といった装飾と合わせたようなものもある。ちなみに「様」がついているのは(姉系の姉さまを除いて)、クラリス、財前時子、そして小関麗奈の三人である。レイナサマについては彼女の自称に合わせていて、時子様に関しては最早何も言うことはないのだが、何故クラリスも様付なのだろうか……メイドカフェのときにきらり経由でなにかしら聞いたのだろうか。

 そのままの名称(加えて敬称)をつけてる維持型はこれといって規則性があるようには見えない。バレンタイン反省会では「みゆみゆ(三船美優)」「るーみん(和久井留美)」とつけてはいるが、どういうわけか服部瞳子のみ「瞳子さん」とそのまま呼んでいる。
 またPerfect5で共演のある北条加蓮もそのままである。だがこれに関しては未央の提案するあだ名全てにダメ出しする加蓮の様子が思い浮かぶのは……果たして私だけだろうか。

 反復系はその都合上二文字のアイドルが……かと思えばそうでもなく、「ふみふみ(鷺沢文香)」「はじはじ(藤原肇)」と名前の一部を反復させるものもある。しかしそうするとバリエーションが厳しいのか、三船美優と柳瀬美由紀で「みゆみゆ」が被っていしまっている。流石にこの辺はスタッフの調査不足と思うので、次のステップロフィールでどちらかの呼称が変わるのではないだろうか。

 姉系型の法則を見てみると、「アイドル以前はモデルをしていた、志望していた」または「前職の経歴が濃い」人物が多い。
 前者に関しては、高垣楓や城ヶ崎美嘉はもちろんだが、浜川愛結奈や小室千奈美は、デレステのコミュではモデルの仕事をやっていたところをスカウトされた。また松本沙理奈はモデルでこそないがそのプロポーションを活かしたいと、松山久美子はモデルオーディションに落ちた後にアイドルオーディションに参加するなど、自身の容姿に絶対の自信を持っている人物が多い。
 後者の前職経歴だが、相馬夏美のキャビンアテンダントや片桐早苗の警察官、兵藤レナのカジノディーラーと、かなり専門的な分野の職についていた。木場真奈美は元ボーカリストだが、その経歴や実力はデレマスアイドル中でもかなり濃い。
 当然かも知れないが、姉系のあだ名にはある種のリスペクトが込められているのだろう。もちろんそれ以外のあだ名にリスペクトを込めてないという訳でもないだろうが。

 特徴系。個性的なアイドルのデパートと言っても過言でもないデレマスアイドルの中で、この形式は少数派だ。「比奈先生(荒木比奈)」「つかさ社長(桐生つかさ)」といった経歴に合わせたものや、「みくにゃん(前川みく)」「キノコちゃん(星輝子)」と言った嗜好に沿ったものがある。
 目を引くのは上条春菜のあだ名が「はるにゃー」と、眼鏡ではなく猫好きの面がフィーチャーされていることだ。この命名の是非に関して上条春菜の担当Pに詳しい話を聞きたい。かと思えば大原みちるに対して「みちぱん」と150km/hのストレートを放り投げている。
 あと本来はここにシュガーハートこと佐藤心が入ると思ったのだが、彼女は合体型の「さとしん」となっている。ウサミンとの差は一体なんなのだ。

 合体型については、珍しいものとして敬称をつけた「しのれいさん(篠原礼)」、大抵が4文字の中参文字にまとまっている「ぼのの(森久保乃々)」がある。後者に関してはもともとプロデューサー内でも呼ばれていたこともあるからなのだろうが。

 以上がデレマスアイドル内でのあだ名の傾向である。


3.他事務所アイドルへのあだ名


 デレマス内でのアイドルへの呼称は分かった。そしてこれを元に他事務所のアイドルをどう呼ぶのか考えてみたいと思う。

 まず765プロのアイドルだが、ここはかなり分かりやすい。ここには既に双海亜美・真美というあだ名で呼ぶアイドルがいるのだ。そしてこの二人のつけたあだ名はかなり未央のあだ名の法則性に近い。なので、亜美・真美の呼称表をそのまま変換すれば使用できそうだ。
 ただ気をつけたい点として、姉系の呼称は「姉ちゃん」となっているので、都度適切なものに変化させたい。また未央との年齢と比較して、年下や同い年、年上でも数歳程度であれば、姉系から別の形式に変えるのも手だ。
(例:風花お姉ちゃん(豊川風花)→ふーねぇ 静香お姉ちゃん(最上静香)→もがみん)
 さらにもう一点、野々原茜の「茜ちん」・望月杏奈の「もっちー」は、それぞれ日野茜・望月聖と重複している。区別するためにもこの二人には別のあだ名を付けたほうがいいだろう。

 876プロは、以前にデレマス内でもコラボとして出演したことがあったが、未央とは交流することはなかった。
 日高愛、秋月涼は同音のアイドルがいるため差別化する必要があるだろう。愛なら「あいちん」、涼がゲーム後なのかどうかで変わるが、「りょうちん」もしくは「りょうくん」といったところか。水谷絵理は「えりりん」になるとは思う。
 また876プロ所属ではないが、サイネリアに関しては「すずあや」と呼びそうな気がする。

 続いて315プロ。男性アイドルの事務所だが敬称型の「ちゃん」や「ちん」を「くん」や「きゅん」にすれば……と思ったが、ちょっと思いとどまった。
 メタ視点で想像して欲しい。男性アイドルに対して、ボディタッチ多めのあだ名で呼んでくるJKアイドル。間違いなく週刊誌沙汰は免れない。文春砲のハイマット・フルバーストが飛び交うのも目に見えている。
 そのため、若干不本意ではあるが315プロのアイドルに関しては「維持」「敬称」の形で無難に纏めたほうがリアルっぽいかと思う。

 283プロについて調べようとしたが、まだ全体的な呼称表は無いようだった。
 とりあえず三峰結華があだ名呼称なのだが、それも現在彼女が所属するユニット、アンティーカ分しか見つからなかった。
 流石に全員分を考察することはできないが、イルミネーションスターズの三人を例に上げるなら、

櫻木真乃→まのっち 風野灯織→ひおりん 八宮めぐる→めぐめぐ

 こんなところだろうか。無難ではあるが、作品を代表する信号機の3人であればこんなものではないだろうか。
 しかし途中で「何だそれは」なあだ名を挟むのが本田未央なので、月岡小鐘は「つきこが」とか呼び出しそうだなぁとは思う。


総括.まずは君の作品を見せてくれ話はそれからだ


 記事を書いている最中に、シンデレラガールズに新たに7人のアイドルが追加されるという知らせが届いた。これに関しては記事の筋から外れるので何も言うことはないが、これが何を意味するか。
 本田未央のあだ名表に新たに7件追加されるのだ。それもシンデレラパーティが続くのであれば、確実にそれが発表される時がある。ミツボシプロフィールの頃はどんなあだ名なのかを予想するという楽しみもあったのだが、全アイドルが紹介された現在は、そのあだ名の確認のような形となり少々退屈だったのだ。新しいアイドルに未央がどんなあだ名をつけるのか、今から楽しみである。

 さて、こうして本田未央のあだ名に関しての考察が終わった……考察なのかこれ? 元ある資料をベースに書いてある事実をまとめただけだが、いやそれでも誰かの役に立つと思いたい。
 呼称の問題が解決されれば、本田未央ほど創作で使いやすいアイドルはいない。全アイドルの連絡先を所有している、行動範囲が広いので理由付けさえ問題なければいつでもどこでも出せる、自発的に動くが人の話も聞く上そこそこ賢いが愚かではないとは言い難く動かしやすい……アイドルマスターシンデレラガールズにおけるワイルドカードとして取り扱って問題ないスペックだ。
 
 なので、創作を嗜んでいる方がこちらを見たら、是非本田未央で一本書いて欲しい。
 いや一応は私も創作は嗜んでるけど自分の書いた作品で満足できるかっていうとそんなことは無いしっていうかそれで満足するのって自慰行為じゃん哲学ゾンビの話じゃないけど自分の思考の外の話は見たいし聞きたいよね云々。

 少なくとも担当である以上、公式だろうが二次創作だろうが、そんなこと問わず彼女の活躍する話は見たい。それは恐らくどの担当でも同じだろう。その助けとなるよう、この記事を書いた。

 ぜひとも貴方の本田未央を私に見せて欲しい。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?