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悪魔になってしまった篠原 中編

リレーが回ってくるのを不安がったり、リレーが回ってきて狼狽してる僕たちの姿を見て篠原は楽しそうに笑っていました。人が困っている姿を面白く感じるというのは本当に心が清らかな人を除けば世の中のほとんどの人の心に程度の差こそあれ存在する感覚だとは思うので、それ自体は特に気にしていませんでした。

しかし、もっとこいつらの困っている姿を見たい、こいつらを自分の手で困らせたいという欲望が膨らんでしまったのか、篠原の行動は次第に凶暴性を帯び始めていきました。

まず始めに被害にあったのはぐんぴぃさんでした。ぐんぴぃさんはママタルトの大鶴肥満さんから回ってきたリレーの撮影を先伸ばしにして、リビングでゲームをやっていました。篠原がその姿をこっそりと動画に収め、自身のinstagramアカウントのストーリーで晒したのです。

篠原の晒しはそれには留まらず、ぐんぴぃさんがゲームをしながら「リレーなんかやりたくないよ...。尖ってる感じでやんないとかにしよう。私生活は出しませんみたいな...。」とリレーに対してかなりネガティブな発言をしている姿もこっそりと動画に収め、それもストーリーに晒しました。

この動画は、わざわざぐんぴぃさんに許可を取った上でリレーを回した大鶴肥満さんの怒りを買い、肥満さんの手によってTwitter上にも晒される事となりました。

この一連の晒しによって、ぐんぴぃさんはリレーが回ってくる以上の苦しみを味わう事となりました。篠原はそんなのたうち回るぐんぴぃさんを見て心から楽しそうに笑っていました。

「篠原は悪魔に取り憑かれてしまった...」

僕はゾッとしました。まだその段階では僕にリレーが回ってきてはいなかったのですが、この家の中にリレーを利用してさらなる苦しみをもたらす悪魔が生まれてしまったのです。いつ篠原の魔の手が僕に及ぶかもわかりません。

篠原の最も厄介なのはやはり「Twitter上に存在しない」という点だと思います。それは「報復への恐怖心が抑止力として働く事がない」ということを意味します。

twitter上に自分が存在している以上、リレーを利用して他人を苦しませた場合、当然相手からのリレーを利用した報復のリスクを有してしまう事になります。お互いがお互いを苦しめる権利を有しているという状況が抑止力として作用するのです。

しかし篠原はtwitter上に存在していないので、リレーによる報復のリスクを抱えていません。
その為ぐんぴぃさんは「自分の有しているリレーを篠原に回す」という選択肢を交渉や報復の手段として使用する事が出来ずに篠原のなすがままのサンドバッグとなってしまいました。
リレーにおいて篠原を縛る鎖は何も無いので、篠原はどれだけでも残酷になれるのです。

instagramで晒して、instagramもtwitterもどちらもやっている他者(肥満さん)を介することでTwitterにも晒すという離れ業までされてはこちらになすすべはありません。

「いずれは僕もぐんぴぃさんのようにズタボロにされる。そう遠くない未来に。」

不吉な確信がありました。そして、ぐんぴぃさんの悲劇の次の日、悪魔が僕の部屋をノックして楽しそうに言いました。

「古川さん!奈良田が古川さんにリレー回してもいいかって言ってます笑」

続く

お付き合いありがとうございました。次回は4/18更新予定です。

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