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悪魔になってしまった篠原 後編の後編

悪魔の一声を受けて奈良田は

「はい!リレーは古川さんに回しまーす!」

と高らかに宣言しました。目の前が真っ暗になりました。やはり、最初からこの結末しか待っていなかったのか。悪魔も奈良田も最初から僕にリレーを回すつもりだったのです。僕は半べそをかきながら奈良田に救いを求めました。

「奈良田!俺は手伝ったじゃないか!許してくれ!」

僕の声は奈良田には届きませんでした。奈良田は今まさに僕を指名したツイートをしようとしていました。ふと、僕の中にある最終手段が思い浮かびました。

ここからは比喩的な表現をさせてもらいますが、爆弾を爆発させる、という手段です。誰しも爆発させられたくない爆弾があると思うのですが、奈良田が爆発させられると困る爆弾を爆発させるという方法が頭に浮かびました。

僕は元々その奈良田の爆弾の起爆スイッチをひょんな事から手に入れてはいたのですが、それを使用しようと思った事はこの時まで1度もありませんでした。

それはモラルに反した行いだと思っているからです。沢山の他人の爆弾の起爆スイッチを手に入れて、他人を自分の思い通りにしようとするという悪人も世の中にはいるのでしょうが、僕はそのような悪人にはなりたくなかったのです。

しかし、もうそんな綺麗事は言ってられません。リレーを回されない為にはもう奈良田の爆弾を使うしかありませんでした。僕は奈良田に、自分にリレーを回したら奈良田の爆弾を爆発させると宣言しました。

その瞬間、奈良田の顔が大きく歪みました。僕は続けて、本当に爆発させる。そんな事はしたくない。リレーを回さないでくれと頼みました。

「何なんだよこの人!!!最低だよ!!!」

と奈良田は叫びました。確かに、その報復は、リレーを回されるという被害に対して釣り合わない甚大な被害を奈良田にもたらす事が予測されます。非人道的な手段です。そう罵られても文句は言えません。

しかし僕は退かず、許してくれ。俺もこんなことはしたくない。ただ、確実に爆発させる。と改めて宣言しました。

「じゃあもう回さないよ!!!何なんだよこの人!!!」

と、奈良田は僕に呆れ果てて、新たなリレーの回し先を探し始めました。寸前の所で僕はリレーを回避出来たのです。安堵と同時に、何か大切なものを失ってしまったという虚無感に包まれました。悪魔は僕達の醜い攻防を爆笑しながら見届けていました。

その後、結局僕も別のリレーに倒れる事となり、悪魔以外の全員がリレーの餌食となりました。

元々は人々を楽しませる為に生まれたリレー。そのリレーが篠原を悪魔に変え、ぼくらの家に争いや悲しみをもたらす事となりました。リレーが悪いとは僕は思いません。ただ、僕達皆が心の中に悪魔を飼っているのだと思いました。今回はリレーがきっかけとなり篠原の悪魔が顔を出すことになったのでしょう。

奈良田の爆弾を爆発させようとした僕もまたあの瞬間に悪魔に魂を売ってしまったのかもしれません...。

リレーによって、人はこうも変わってしまうという、リレーにまつわる狂気の物語を長々と書かせて頂きました。リレーにはもちろん楽しい側面、光の部分もあると思います。しかし、光があれば陰も生まれます。今回はそんな陰の部分をご紹介させて頂きました。お楽しみ頂けたら幸いです。

お付き合いありがとうございました。次回は4/22更新予定です。

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