奈良田の気持ちを踏みにじった昼と夜3

それはパズル配信が終わって2日後ほど経った夜の事でした。その日、僕はリビングで夕食を食べていました。僕はお酒が好きなので、その日も夕食と共にアルコールを摂取していました。リビングには僕の他に奈良田と木田さんがいました。3人で話をしたり、テレビを見ていたのですが、ふと、話がパズルの事になりました。

その時僕はほとんど夕飯を食べ終え、買っていたお酒も飲み干していました。量にすると500mlの発泡酒2本とレモンサワー1本でした。お酒が凄く強いわけでもない僕は、泥酔とまではいきませんが、酩酊状態にはありました。

パズルの話になった時、僕は前までの記事で書いた事件の事を思い出しました。僕が茶色に対して侮辱的な発言をしてしまった事件です。そして何故だか僕は奈良田に対して軽い苛立ちを覚えてしまいました。

それは、奈良田がパズルを中断して茶色に向かった事に対する苛立ちというよりも、茶色に向かう奈良田を咎めた際の奈良田の態度に対しての苛立ちでした。

茶色に向かう奈良田に僕が侮辱的な発言をした際の奈良田の反応は、「なんてこと言うんですか」といった、反抗的と呼んでよいものでした。今考えると僕が茶色を侮辱した訳ですから奈良田のその態度は至極当然の反応ではあるのですが、その時の僕は自分の茶色への侮辱的発言をそこまでの侮辱的発言と認識しておらず、雪が降っていて国からの自粛要請もある中、最優先事項であるパズルを中断して外に出る非常識な人間に対しての、ある種の正当性を内包した発言だと思っていたのです。

なので、僕はその自分の発言に対する奈良田の反応が「確かにそうですよね...すみません」といったしおらしいものであるべきだし、そうなれば僕としても「いや、俺も言い過ぎた、ごめん」と返答することで、何となくの和解の感じになるのが理想的な形だと思っていました。

その僕の描いていた理想的なやりとりからしたら、奈良田の「なんてこと言うんですか」といった態度はあまりにも反抗的に映ってしまい、それが心の奥底に微かなわだかまりとして残っていたのだと思います。そしてそのわだかまりが、アルコールを摂取することで酩酊状態になった際に苛立ちとして再浮上してきてしまいました。

そして僕は再び、茶色に対する侮辱的な発言をしてしまったのです。詳しくは覚えていませんが、「何であのとき茶色なんかに行ったんだ」「誰が茶色を待っているんだ」といったようなひどい言葉だったと思います。

パズルを終わったのにまたその事を引っ張り出してきた僕に奈良田も怒りを感じたらしく、「何でそんな事言われなくちゃいけないんですか」と応戦し、僕もまた侮辱的な発言を返してしまったかと思います。

僕は臆病な人間なので、パズルの時よりも強い語気で応じてきた奈良田にひるんでしまい、そこからさらにヒートアップして喧嘩にまで発展するという事はせず、ヘラヘラと笑いながら「いや、まあまあ、俺も言い過ぎた」といったような事を言う、醜い終わらせ方をしてしまったかと思います。パズル作成中と作成後のこの一連が、奈良田にとってとてつもない悪印象を抱かせる事となってしまったのです。

続く

お付き合い頂きありがとうございます。次がこの話の最終話となります。次回は4/8更新です。

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