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悪魔になってしまった篠原 前編

今SNSで「リレー」が流行っていますね。1番最初に始められたリレーは、Twitter上で芸人がギャグのバトンを繋いでいく「ギャグリレー」だったのでしょうか。これを初めて目にした時、僕は繋いでる方々の、このような状況下で少しでも人々に明るい気持ちになってもらいたいという前向きな強い意思に胸打たれました。

ギャグリレーは基本的には売れている人達の間で繋がれていたので、僕は受け手として楽しんでいました。

しかし、それから少しして、僕はtwitter上にある異変を発見しました。

「別のリレーが、現れ始めている...?」

ギャグリレーではない、リレーの亜種がtwitter上に現れ始めたのです。それらは急速な勢いで増殖し、数を増やしていました。タイムラインがリレーで溢れていました。中には全く意味のわからないリレーもありました。それらがいつ僕に回ってきてもおかしくない身近なところにも回され始めていたのです。

「まずい...」

ギャグリレーにはポジティブな印象しかありませんでした。しかし、姿を変えたそれらの亜種を同じような気持ちで受け入れる事は出来ませんでした。これらはもはやリレーではない、と僕は思ってしまいました。不幸の手紙やチェーンメールに近い様相を呈してしまっているとさえ思ってしまいました。

しかし、内容に関わらず回ってきたからにはやるしかありません。やるからには全力でやるしかありません。自分の意思とは関係なく。そのような無言の強制力がどのリレーにも内包されていました。

僕は、鉄球で行われ、しかも玉数がどんどん増えていくドッジボールに参加しているような気分になりました。“いつ”、“どのような”リレーが、“どこから”、“いくつ”回ってくるかわからない、というとても恐ろしい場所にいつの間にか僕たちは放り込まれてしまっていたのです。

この恐ろしい状況に、ぼくらの家全体が、不安に包まれました。いつリレーが回ってくるかわからない。もし意味が全くわからないリレーが回ってきてしまったら...。そして、次のバトンは...。一緒に住んでいるから回すのは手っ取り早い、しかし、家族を犠牲にして良いのか...。

そのようなぼくらの不安をあざ笑うかのようにリレー達は活発に動き回り、その魔の手がついに僕らの家にも届いてしまいました。(どのようなリレーをしたかは始めた方の思惑を損ねたくないのでここでは詳しく書きませんが)1人、また1人とどこからか回ってきた得体の知れないリレーの犠牲となって倒れていきました。たった1人を除いて。

篠原です。篠原だけは、このリレーの嵐の中、現在まで一つもリレーが回ってくる事なく無傷で過ごしています。何故篠原だけリレーを免れ続けれているのか。理由は簡単で、この家で篠原だけがtwitterをやっていないからです。その為twitter上のリレーが篠原に回ってくる事はありません。

篠原はinstagramをやってはいるのですが、そちらではあまりリレーが活発に行われていないようで、芸人にリレーが回ってくるとしたらtwitter上が圧倒的に多いとの事でした。

そういった訳で、この家では篠原だけがリレーの届くリスクが極めて低い安全な立場を確保していました。そして、そのような安全な立場にいるという優越感が、篠原を悪魔に変えてしまったのです...。

続く

お付き合いありがとうございました。次回は4/16更新予定です。

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