ゲートルーラーのゲートシステムの解説

みなさんこんにちは
ゲートルーラー楽しんでいますか?

さて、とうとうルールオタク待望の総合ルールが公開されました。
https://gateruler.jp/rule/comprehensiverule/

で、一通り読んだわけですが、特にゲートシステム周りの処理は総合ルールの文章ではわかりにくいだろうということで、もう少し簡便に説明したいと思います。
(テキストの厳密さが最優先されるのが総合ルールの文章なので、これはやむを得ないことです)
間違ってたら教えてね。

ゲートシステム

さて、ゲートシステムですが、これは遊戯王でいうところのチェーン、MTGでいうところのスタックのようなもので、ゲートという領域に解決処理待ちの効果/能力や呪文が一時的に置かれ、逆順で処理をするシステムです。
(チェーンやスタックの説明はここでは省略します。以降、チェーンとスタックの両方を知っているという前提で記述します)

さて、遊戯王のチェーンとMTGのスタックの大きな違いは、「チェーンの逆順処理が始まると、チェーンが空になるまで新しい効果やカードを発動できない」という点でしょう。
ゲートルーラーのゲートシステムは(どちらかといえば)遊戯王のチェーンシステムに近いです。

ゲートにはカードの効果やイベントカードを載せていくことができるが、一度ゲート処理が始まったら基本的に新しく効果やイベントを”能動的に”追加することはできない

ということです。まぁ、遊戯王のチェーンと同じように、「お互いに積み上げ終わるまで繰り返して積み上げ終わったら、逆順処理をする。その間は介入できない」
と思っておけば大体大丈夫です。

優先権周りについて

優先権ですが、遊戯王の場合はカードや効果を発動したら対戦相手に優先権が渡っていました。ゲートルーラーでは優先権はカードや効果をプレイしても移動しません。ターンプレイヤーがゲートに効果やカードを積み上げて満足するまで積み上げたら対戦相手に優先権を渡します。
優先権を渡された相手が何もしなかったら逆順処理、相手が対応して優先権をパスしたら、さらに自分に優先権が与えられます。
優先権周りはMTGと同様です。

ゲートに追加されるもの

さて、ゲートには遊戯王でいうところの効果やカード、MTGでいうところの能力や呪文が乗るということをお話ししましたが、それ以外にも乗るものがあります。
それは「ルールエフェクト」です。
ルールエフェクトとはなんじゃいなということですが、これはMTGの状況起因処理に近い考えです。
例えば、MTGでは極楽鳥に稲妻が当てられても、稲妻の解決中に極楽鳥は破壊されません。稲妻の解決後に「タフネス以上のダメージを負っている」という理由で破壊されます。
このように、ゲームの状態を監視して、一定条件が満たされればカードを墓地に送ったりする処理を行うのが状況起因処理です。
状況起因処理はスタックを用いず即座に解決されます。
一方でゲートルーラではこのルールエフェクトがゲートに乗ります。
そして、ルールエフェクトにはいろいろなものがありますが、
具体例を見てみましょう。

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画像2

HPが3のユニット(ハンニバルレイザー)にマジックブラスターで3点のダメージを与えたとき、ゲート上で何が起こるのかを説明します。
おそらく、多くの方々は
1:ゲートにマジックブラスターが追加される
2:お互いに優先権をパスする
3:マジックブラスターを解決する
4:ハンニバルレイザーはHP以上のダメージを負っているので墓地に送る
という流れを想像するかと思います。おおまかな処理としては正しいんですが、ゲート上で起こっていることは、もっともっと複雑なのです。
以下、順にみていきます。
1:まず、プレイヤーがハンニバルレイザーを対象としてマジックブラスターをゲート上に追加します。
2:お互いに優先権をパスします。
3:マジックブラスターの解決時に入ります。
4:マジックブラスターの解決時には特に何も行いません。
5:「ハンニバルレイザーにマジックブラスターが3点のダメージを与える」というルールエフェクトをゲートに追加します。このルールエフェクトの名前をダメージ実行処理といいます。
6:お互いに優先権をパスします。
7:ダメージ実行処理を行います。
8:ハンニバルレイザーがHP以上のダメージを受けましたが、この時点ではまだ破壊されません。HP以上のダメージを負っているので「破壊する」処理をゲート上に置きます。
9:お互いに優先権をパスします。
10:破壊する処理が解決されます。雪女は墓地に置かれます。

と、いう流れになります。複雑すぎますが、総合ルール上はこのような手順になります。
ですので、この一連の処理でゲートに置かれたオブジェクトは
1:マジックブラスターのイベント」
2:ハンニバルレイザーにマジックブラスターが3点のダメージを与えるというダメージ実行処理
3:ハンニバルレイザーの破壊処理
の3つになるわけですね

ゲート追加の例外

先ほど、ゲートの逆順処理が開始されるとゲートに効果やイベントを追加することはできないと書きましたが「能動的に」という留保がありました。
これはいったいどういうことかというと、
ゲートの逆順処理が行われていても、自動効果(遊戯王でいうところの誘発効果、MTGでいうところの誘発型能力)は追加される。
ということです。
そして、自動効果とは「~の時」と書かれた効果で、このような効果であればゲートの逆順処理中であっても割り込んでゲートに追加することができます。
例えば、このようなカードが自動効果です。

画像3

(だんだん複雑になってきましたが、ついてこれてますか?)
さて、このような効果が具体的にどのタイミングで解決できるかということですが、通常「誘発条件がルールエフェクトに依拠するものの場合、そのルールエフェクトがゲートに乗った直後の優先権を得るタイミング」でプレイすることができます。
つまり、先ほどの「ハンニバルレイザーに与えられる3点のダメージをバッドマンズで0にする」という処理を厳密に行うと以下のようになります。

1:まず、プレイヤーがハンニバルレイザーを対象としてマジックブラスターをゲート上に追加します。
2:お互いに優先権をパスします。
3:マジックブラスターの解決時に入ります。
4:マジックブラスターの解決時には特に何も行いません。
5:「ハンニバルレイザーにマジックブラスターが3点のダメージを与える」というルールエフェクトをゲートに追加します。
6:ダメージ実行処理がゲートに置かれたので、バッドマンズの効果が誘発します。
7:プレイヤーが優先権を得るにあたって、バットマンズの効果の誘発回数が1以上あるので、バッドマンズの能力をプレイし、ゲートに追加します。
8:お互いに優先権をパスします。
9:バッドマンの能力を解決します。「マジックブラスターがハンニバルレイザーに3点のダメージを与える」のダメージ処理を上書きし「マジックブラスターがハンニバルレイザーに0点のダメージを与える」に書き換えます。この時点ではバットマンズは墓地に置かれません。
10:バッドマンズの破壊処理をゲートに置きます(なんと、カードの効果で破壊する場合でも破壊処理がゲートに置かれます!)
11:お互いに優先権をパスします。
12:ダメージ実行処理を行います。「マジックブラスターがハンニバルレイザーに0点のダメージを与えます。

どうでしょうか?なかなか難しい処理ですね。

新たな疑問点

さて、となると、いよいよもって疑問になるのがこのカードの処理でしょう

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このカードをいつプレイすればいいのかというのはルールオタクの僕は総合ルール発表前からずっと疑問に思ってました。
そんな中、総合ルールにて驚愕の事実が発生します。

14-9b-1. いずれかのプレイヤーに非公開であるカードが持つ有効な自動能力は、その誘発条件が発生した時点でそのカードを公開することによって誘発回数が1回増えます。
   14-9b-1a. 非公開であるカードが持つ自動能力は、誘発条件を満たした場合であっても、非公開状態を維持することによってその自動能力の誘発回数を増やさないことを選択できます。

(ゲートルーラー総合ルールより)
非公開カードの能力が誘発する!???????
いや、MTGの奇跡能力のようにほかのTCGにないというわけではないですが、ちょっとびっくりなルールでした(それでも、奇跡能力は公開すると同時に誘発するわけですし・・・)。まぁ確かに遊戯王のトラップカードの処理をプログラム的に実装しようとしたら誘発能力のような形で実装するんだろうなというのは想像したことがありましたが、紙のカードでこのようなルールになるのはちょっとびっくりです。
このルールから考えると、ある能力が何回誘発しているかが公開情報じゃなくなるわけで、それって色々と厄介じゃないですかね・・・
DCGであれば可能だけど、紙だと無茶なデザインだと思います・・・

結論

カードのテキストに合わせて総合ルールを作るんじゃなくて、総合ルールに合わせてカードのテキストを修正しよう!



(総合ルール作成者の方のツイッターを見る感じでは、カードテキスト先行で総合ルール作ってるようですので、総合ルールを書いた人には何の責任もないというか、無茶ぶりの中一応は機能する総合ルールを作り上げたんだなぁという気持ちです。
総合ルールの文章を見る限りでは書いた人はルールオタクでしょうし、問題の少ない実装方法を思いつかないわけがないと思いますから、カードテキストを整備する開発工程を用意しなかった管理側の問題だと思います。)


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