扇風機の首振りの角度がいささかワイドすぎんか

昔からどの扇風機に限らず「首振り」の幅が若干ワイドすぎるのではないかと俺は思っている。たった一人で扇風機の前に座るオーディエンスのことを考えていないのではないかと思っている。固定でずっと浴び続けるのではなく、丁度よい間隔で過ぎ去りぬ風を受けたいときが人にはあると思うのだが、その時用のちょうどよい幅の首振りがあって欲しい。扇風機の首振りの幅は多分消費者の期待より大分大きいと思われ、なんとなく7人ぐらいの大家族が扇状に並んで待っているようなそんなリビングを想定しているような気がする。
扇風機の首がそっぽを向き、風が誰もいない遥か向こう、虚空をば冷やしちょるときのこちらの暑さ、寂しさ、辛さ、、、。首よ、お前が戻ってくるのが俺は待てない。首振りの幅がもっと小さくなれば良いのにと考えてしまう。イラっとして手でもって乱暴に無理やりあっちを向いている首を掴んで、「こっち向けィ」と回したときの扇風機のガッガッガという分かり合えぬ機械の悲鳴。そして優しくもマヌケな人ならば首の動きに合わせて自らが追従するというあの文明に敗北したムーブ。そういう悲しい夏のエラーも首振りの幅さえ変わればこの世から無くなるだろう。
しらんけど多分2万とか払えばそういう気の利いた扇風機もあるのでしょうけど俺の扇風機にはそれがない。風ごときに2万もね、俺は払いたくもないからね。

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