ラジオリスナーの悲劇③
[②からのつづき]
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ふくらはぎから下が重くそれ以外の感覚は遠く離れ、一瞬時間さえも分からなくなった。
どの位の時間が経ったか…
ふと『明けない夜はない』の言葉に絶望した時期があったなと思い出した。あれは中学1年だった。朝になれば学校に行かなくてはならない。逃げる選択肢は見えてなかった。大人に相談なんて物語の中の話と思ってた。ましてや親に学校で何があったかなんて言えやしなかった。
そんな僕に許された唯一開放される2時間。それが深夜の馬鹿力だった。この出会いがあったからこそ今生きてるのだと思う。
その逃げ場所であり居場所である月曜日深夜の特別な時間が、あっけなく僕の目の前から姿を消した。。のであろうか?
それは同時に『生きていけるのだろうか?』の問いになる。
憂鬱になった時
逃げ出したくなった時
世の中が白々しくなった時
誰も見てくれない時
誰も見えない時
何度も何度も月曜から月曜まで細い糸を繋いで来たのに、
この拠り所が無くなって生きて行けるのだろうか。
ふと脳によぎった事
『いっそコロナで死んだ方が…』
流石に掻き消した。いろんな人に迷惑かけるし、なにより命を落とした方に対して不謹慎だろう。
時計を見ると2時57分。
おもむろに立ち上がり、机の引き出しを開け名刺入れの一番後ろから『馬鹿-ド』を取り出し床のスマホの隣に置いた。お守りのつもりだったのかもしれない。
radikoを立ち上げる。
僕は何を期待してるのだろう。
すると、どこかの島国の曲が急に終わり、あの人の声
『なんて嘘っーん!じゃあね!
最終回聞いてくれてありがとう。』
ゆっくり目を瞑り、全身の力が抜けた肉体の奥底から、ふつふつと沸き上がる安堵を感じた。この2時間の間、時空を巡った感情が最後に戻って来たのは月曜日深夜のエンディングの一言
『え?今、最後何て言った…?』
おわり
絶対に絶対にフィクションです(笑)
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