社民党服部幹事長見解「障がい者の移動の権利を守るために−伊是名夏子常任幹事のJR乗車拒否問題についての見解−」について

伊是名夏子氏本人の問題点については、すでに様々な人物から論じられているので、それについてはわざわざ繰り返さない。あくまでも表題の見解(以下、服部見解と表記する)についてのみ、簡単に記すことにしたい。

まず、「1.事実経過について」にあるとおり、本人らが来宮駅に足を運んだ目的は、「レストランやホテルの予約」を済ませ、それに間に合わせるためである。しかし、多少時間がずれてもかまわないようなケースならまだしも、ホテルはともかくレストランが大幅に遅刻するような状態まで待ってくれるわけがない。社民党の幹部とかでなくとも、講演もこなすコラムニストが、しかも常日頃車椅子生活の不便さをイヤというほど知っている人間が、こんな程度の事情などわからないはずがない。それとも彼女が講演会に出かける際は、交通機関に対し、事前の連絡など一切しないとでも言うのだろうか? しないですむとしたら、それは講演会の会場が勝手知ったる場所の、それもインフラが発達した都会だからではあるまいか?

次に、「⒉「障害者基本法」が規定する「合理的配慮」が十分だったか」についてだが、ここに書いてある事項については裁判沙汰が可能であろうし、実際、そうした裁判は存在する。事実、伊是名夏子氏本人が裁判を起こしてもいいというふうに考える。問題提起としては「アリ」だろう。

ただ、服部見解にあるように「当初事業者の方針とは異なる対応がなされ、個別駅員の対応の違いもありました。これは「合理的配慮」の努力義務履行を現場の駅員任せにし、履行に必要な施設整備や人員配置といった事業者としての取り組みが不十分であるが故に発生した事態」というのは事実ではあろうが、同時に、簡単に解決するような問題ではないだろう。それは、「⒊公共交通の役割とは何かー移動の権利を確立しよう!」にて書かれているように、「日本国有鉄道(国鉄)からJRへと分割民営化されて以後、経営合理化のための人員削減は加速し、無人駅が増え2019年度では48%、20年3月現在で4564駅となっています。地方によっては公共交通の役割が大きく後退しています。「合理的配慮」の努力義務履行が現場の駅員任せになっているのもその一例です。
 今回問題になった来宮駅も2015年3月8日にJR伊東線の熱海―伊東駅間の4駅が無人化されたうちのひとつでした。当時住民側からは「エレベーター設置」の要望も出されましたが、いまだ実現してい
」ないからであり、ここまで来た以上、それはもはや構造的な問題であるとしか言いようがない。むしろ、彼女自身、構造的な問題であることを百も承知であったがゆえに、ああした行動に出たと考えるのが自然であろう。

そして「⒋個人への人格攻撃は許しません!」について、かなり気になる点がある。表題については同意するしかないのであるが、「本人への人格攻撃並びに障がい者への差別、デマが紛れ込んでおります。社民党はこのような誹謗中傷・差別については断じて許すわけにはいきません。」とある。人格攻撃、誹謗中傷、差別はダメなのは自明ではあるが、これではまるで彼女への批判がすべからく「デマ」であるかのように読める。服部見解によると「伊是名さんが「計画的にJRを非難するためにやった」など事実とは異なるものがあります」とあるが、「デマ」「事実誤認」にかんして言うと、これ以外の記述は皆無である。それとも、正当な批判は皆無だったとでもいいたいのであろうか。おそらく「そうではない」という批判が来そうにも見えるのだが…。

いずれにせよ、服部見解はさらなる炎上をもたらすのではあるまいかと考えている。それは、「JRには今回の対応への見解と伊是名さんへの正式な謝罪を求め」ているからである。公党の幹事長によるかかる発言は、JRにも当然届けられたであろうし、そうである以上、JR当局が非を認めるか否かに関わらず、いずれにせよ回答をかなり強く要求した形になっているからである。現状では、伊是名氏や社民党に対する風当たりは、極度に強いように見える。また、服部見解では労働者と障害者との連帯を訴えているが、そろそろメーデーも近い。メーデーで服部見解のような声がどれほどあがるのかについて、まずは注目したい。

わしはバリアフリー推進なので、インフラと人員の拡充をJR当局に求め、んでもってその経費は公費で負担される必要があると考えている。それは、服部見解にあるように「障がい者を含む誰もが等しく自由に利用できる公共交通機関、そしてバリアフリーが徹底されたインクルーシブな社会」そのものであると考えている。

皆さんフルボッコしたいみたいですけど、わしとしては、ここは社民党のお手並み拝見としたいところです☺

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