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Eva

課題に追われていた週末。

気分転換に、お気に入りの場所まで散歩。
湖が見渡せる高台の教会/墓地。
凍った湖上でアイスホッケーをしている人たちを眺めながら、ちょうど夕暮れ時の美しい景色を写真に撮っていた。

その時、近くにいた女性に話しかけられた。

76歳のEva。

「良い写真が撮れた?」
彼女のこの質問から、いろいろ話が広がった。

この地域には、40年住んでいる。
近くの高校で英語とスペイン語の先生をしていたけど、今は年金生活の一人暮らし。
子供が3人いて、息子2人はスウェーデンで暮らしているけど、娘はアメリカで暮らしている。
孫は7人。

しばらく話していたけど、−9度の中、立ち話はなかなか辛くなってきたので、そろそろ帰ろうかとなった。
家の方向は逆なのに、私の家まで一緒に行きたい、と言われた。
少しびっくりしてしまった。

それでも、私たちは歩きながら、いろんな話をした。

去年、アメリカに住む娘に会いに行くために飛行機のチケットを買っていたけど、コロナで行けなくなった。
息子たちや孫たちにも、コロナでなかなか会えない、と話すEva。

私も、去年の夏に日本に帰省する予定が、コロナでキャンセル。
一人暮らしの母は、私たちに会えなくて寂しがっている。日本国内に住む兄や姉も、新幹線に乗らないといけない距離でなかなか会えない。
一日、誰とも話さなかったという日が多くて気持ちが塞ぎ込むと電話で話していた母。
Evaもそんな日が多いのかな。

それでも、初対面で家まで来たいって、大丈夫かしら?と思ってしまった。

家の前に到着して、
あなたにお茶をご馳走したいところだけど、今は残念ながら、コロナのこともあり、申し訳ないけど、家には入れれない。
と話した。

Evaは、そんなこと最初から望んでいなかったように、
そんなの全然いいわよ!寒いから早く中に入りなさい!
と言って帰っていった。

私が、送るよ。と言っても、
いつも、たくさん歩いてるから大丈夫よ!
と。

あぁ。それでも、送っていけば良かったな…
無事に家に着いただろうか。

家に入っても、なんだか、ドキドキが止まらなかった。

初対面の人を家に案内するって、よくなかったかな? 
なんで、うちに来たかったんだろ?
いや、逆に、彼女の方が、初対面の私に名前も住所も教えてしまって、私がもし悪い人だったら、危険じゃないか。

いろいろ考えるうちに、なんだか、こんな風に人を疑うなんて嫌だなぁ、と思えてきた。

何かの縁で出会えた人。
連絡先は交換していないけど、お互いにどこに住んでいるかは知っている。
私の名前は、難しくて覚えられないって言ってたけど。

また、いつか会えるかな。

この話に続きができますように…!


Evaと歩きながら見た夕焼け空。


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