新・競艇の本質について
Introduction
競艇に限らず、ギャンブル市場は日々進化している。それはさながら生物の進化の過程を眺めているようで、いささか感慨深い。
さて、公営ギャンブルで勝つために大切なことをひとつあげろと言われたら、読者諸氏は何と答えるだろうか。確率的思考、メンタル、資金力……いろいろな観点があることだろう。しかし、ほとんどの人が思いもつかないひとつの回答がある。そしてそれは、公営ギャンブルで優位に立ち回るための最善の思考法かもしれない。
公営ギャンブルとは、言うまでもなくマイナスサムのゲームだ。みんなでお金を持ち寄って、そこから競艇であれば25%が引かれ、残りが分配される。そう、構図は参加者VS参加者である。
故に、他の参加者より秀でなければ勝つことはできない。他の参加者に確率的思考がなければ、それを持っているベッターは有利だ。他の参加者に強いメンタルが備わっていなければ、それを持っているベッターは有利だ。資金力だって、たしかにそうなのかもしれない。
しかし、冒頭に述べたように、競艇市場は日々進化する。
勝って退場する酔狂な参加者もいるかもしれないが、多くは「負けて去る」わけで、必然的に生き残っている人々は「そこまで負けていない」可能性が高くなる。数日やそこらでは何も変わらないだろうが、何週間、何年とかけて、ギャンブル市場はどんどんそこまで負けない生存者で埋まる。膨大な新規参加者が流入しているうちはいいが、その流れがずっと続く保証はどこにもない。
全員がまったく同じ考え方、まったく同じ能力の参加者だとすると、マイナスサムゲームの使命から、回収率は75%付近で落ち着いてしまう。しかし、そこまで負けない生存者は90~100%程度の回収率だから続けられるのだろう。この記事の読者もおおかたそのあたりで推移しているから「まだギャンブルを見捨てていない」のではないか。
まず最初に抱く疑問はこうだ。いったい誰の金でギャンブルを続けているのだろう。あなたが還元率以上に勝っているということは、誰かが還元率より負け越しているのだ。
そこで筆者は、新規参入者含め、還元率より負け越す参加者の描像をあぶりだし、彼らにならないための方策を記した。それが『的中に至る病』であり、いわば人間のバイアスとギャンブルを結び付けた第一段階だ。
この記事では、その次の段階を描く。進化していく市場に適応し、常に勝ち続けるためには、いったい何を考えればよいのか。そこまで負けない生存者すら支配下に置くためには、いったいどのような思考で市場に挑めばよいのか。
動物は、生存を第一に進化してきた。生存すればそれだけ生殖する可能性が上がるからだ。人間は長い時間をかけて食物連鎖の頂点に君臨するに至った。ギャンブル市場という小さな「世界」でも、そうして進化していく生存者と、さらにその上をいく支配者が存在する。
冒頭の質問を思い出されたい。ギャンブルで勝つために、ギャンブル市場の支配者になるために、最も大切なことは何か。
筆者の結論は、漢字にすればたった6文字である。それを紐解いていく長い旅にご招待したい。
読み終わったときだけの一時的な「知識」ではなく、勝ちたいあなたの脳に刻まれるたしかな「思考」を。
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