シムリスハムン最後の夜
朝はゆっくり9時まで寝ていた。今日はシムリスハムンで丸一日過ごす最後の日。朝食を食べ、洗濯物をする。
11時前に近くの国立公園に行き森林をハイキングをする事になった。
ミズナラの森が広がっていて気持ちが良い。他にも数グループ森を歩いている声が聞こえる。
時折昔の石垣があったりする。農耕地にする為、排除した石を垣根にしたもので、牧草地が広がるスコーネ地方にはよくあるものだが、森林の中にあると古戦場の様に見える。多分この場所もかつて開けた牧草地だったのだと思う。
川が流れ、人工的に堰になっていたりする。日本の様に土砂災害予防の為ではなく、川下に向かうと理由がわかる。
現在は廃墟となっているが、水力で製粉などしていたという。
歩くにつれて、森が林になり、
木になってゆく。
とても大きなテングダケのようなキノコが沢山生えている。マッツがとても美味しいキノコだ。と言っていたが、信じられずにいた。キノコは難しい。
丘の上に生えた一本の木「ロンリーツリー」をゴールにして歩く。
牧草地にある小高い丘のロンリーツリー。この下にある牧場の夫婦は、あるテレビショーで人気が出てとても有名になったらしい。番組の内容は、昔ながらの暮らしを追うリアリティ番組の様なもので、どこの国でもこういった内容は根強い人気だ。
このロンリーツリーはその番組のシンボル的なものでもあるという。
帰りにヘーゼルナッツの木があった。白い実を幾つか収穫。実はお店でよく売っていたドングリと思っていたものがヘーゼルナッツだったという事を初めて知った。
まだ白いが試しに一つ割って食べてみると、柔らかくミルキーでしっかりヘーゼルナッツ味がした。
道を塞ぐ倒木に誰かの彫刻があった。
木喰的な地蔵を思い起こさせたが、そう言えばスウェーデンに仏教的な地蔵という概念は無い。
この様な野に放たれたアノニマス的な木彫は新鮮だった。
お昼の時間が過ぎたので近くのカフェに行った。このカフェはかなり人気店の様で、食べていると次から次へと人がきていた。
近くには蒸気機関車が走っていて、時々汽笛が鳴っている。
ピザとスープを食べた。パンとサラダはおかわり自由。とても美味しかった。
かなり東ヨーロッパ的な味付けだったのだが、それはシェフが現在長期休暇に出ている為、留守を任されたシェフが東系の人だったかららしい。
ここら辺の店が特にそうなのかもしれないが、夏のシーズン観光客向けにしっかり働いて、9月から長期休暇を取るのが一般的らしい。
ここは特にケーキが絶品らしいが、満腹で食べれず。
帰り際、ファニーの家でペーロンを摘みに寄った。
ファニーは、家で取れるフルーツを家の前でグラッティス(ご自由にお持ち下さい)している。時々車が止まって庭先の野生動物のように一つ二つ抱えて走り去っていく。
旦那さんが自転車をいじり倒していた。隣のガレージも含め趣味の域を完全に超えている量の自転車。
ロエラはこの前、自転車が故障して立ち往生したツーリストをファニーの家に案内していた。
沢山のペーロン。この梨は本当に美味しい。
ロエラは梨アレルギーらしいが、ドライにすると食べれるという。日本の梨の様に水分がめちゃくちゃ多い訳では無いので、林檎ほどの感覚でドライに出来る。
因みに、とんでもない量のリンゴが収穫できるので、ここら辺の人は皆んなジュースの絞り器とドライフルーツを作る機械を持っている。
スウェーデンや北欧の暮らしというのは、野生の熊の様に長い冬に向けて着実に食べ物を保存している。当人たちにその意識はあまりないのだと思うが、収穫した野菜や果物、魚類肉類に対して常に長期保存の方法をとっているのが面白い。
家に帰り、感謝の気持ちを込め日本食を作った。
ちらし寿司と唐揚げ、稲荷、豆腐ステーキ、味噌汁。
マッツがずっとワサビを直に食べまくっていた。ワサビの辛さが気持良いのか?
皆んなで食べる最後の食事と考えるととても寂しい。
日本へのお土産としてメレンゲ菓子を貰った。とても繊細で壊れやすいこのお菓子はこの地方特有のものらしい。これを割らずに日本に持って帰れるのか?とてつもないプロジェクトを任された。
明日は月曜日。みんなそれぞれ学校や会社があるので寝る前にお別れをした。
2023,09,24
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