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エコハウスと焼きもの

9時前に起床。少し昨日のワインが頭に残っている。
女子ワールドカップのスウェーデン戦に行きそびれたセレスティンとオルフの家にロエラが連れて行ってくれることになった。時過ぎに出発。

車で5分ほどで彼女らの家に着いた。

エコ素材で作られた家が並ぶ高台の土地。まだ新しいコミュニティで、街路樹なども若い。

外壁は、木の板の内側に麻と石灰、そして発酵を助ける為に少しの昆布茶を混ぜた土壁の様な層。

内壁は合板に白い土と塩だけ。合板のアクが浮いてきてそれが良いアクセントになっている。

二つあるバスルームの内一つは、なんと銅で出来ていた。これがこの家で一番高かったといっていた。銅のバスタブはどの様な効果があるのだろうか。

2階には大きなサウナルームもあり、昨日の熱がまだこもっていて温かかった。

オルフとセレスティンの仕事場は、中庭を挟んで生活する建物の向かいにある平屋。

医者であるオルフのスペースは、窓の下縁が地面の高さに設計されている。そしてそこから見えるのは、自分でデザインした日本風庭園だ。音楽が好きで、レコードが沢山ある仕事場。

セレスティンは、ジュエリーデザイナーで金工と、アロママッサージをしている。真ん中のフロアに施術室があり、その脇に広いスタジオ兼ショップがある。

監視カメラの見た目をした鳥の家。

生活家電は最新式で、この食器洗浄機はカトラリーを並べるのがかなりパズル的で面白かった。IHはテスラ社の下型吸気ファン。

陽射しと風が心地よく、朝ごはんのつもりが、テラスでお昼まで話し込んだ。
こういった素材の家は、以前コペンハーゲンやマルメーのデザインセンターで見た素材を実際に使って建てている。セレスティンの妹が建築家ということもあり、かなりこだわった間取りになっていて、とても美しい。

目の前の土地は、最近売れて新しい家が建てられるという。盛り土がされ、整地をしていた。

隣の農園でリンゴの収穫祭をしていたので少し覗く。

搾りたてのジュースや様々な種類の林檎を売っていた。

林檎は8種類の品種。ジュースは、ミックスや品種に分かれたものまで様々。1リットル700円ほどだった。

ジェラート屋も来ていて、穏やかな雰囲気の中みんなくつろいでいた。

ここら辺の農家がそういう栽培なのかわからないが、無農薬で摘果しない不揃いでサイズも小さい生りっぱなしそのままの林檎を育てている。もちろん虫食いや傷があるのだが、そういった形が安全な食べ物ということへの裏付けをしている。


農園の中にタイニーハウスがあった。
地元山梨の葡萄園や桃畑などでもこうしたタイニーハウスを置いて住んでみたりしたいが、日本の農業における農薬散布風景を見ると、とてもじゃないがスウェーデンのこのような憧れは一瞬にして失せる。

下草を食べてくれる羊たちの中で、一匹が金網に囚われてしまっていた。角が返しの様になっていて自力の脱出はできない。驚かさないように優しく近付き、角を掴む。なんとか知恵の輪の様に解くことができた。

そして、何事もなかったかの様に草を食べる仕事に戻っていった。

13時過ぎにマッツの家に行き、お昼ご飯をいただく。昨日のフィッシュスープがとても美味しい。

そして、車で30分ほどの場所にあるロエラが昔働いていたセラミックスタジオに行った。

B&Bもやっているスタジオで、エヴァという作家が楽焼を中心に元ボーイフレンドのアーティストと一緒にやっている。スタジオ兼ギャラリー。

広く整頓されたスタジオ。

元ボーイフレンドの彼は、ガーデン用の飾りを大量に作っている。結構人気らしい。

木材チップの集積材のような素材の練り場。乾燥させる板も全てこの素材だった。キノコを育てるキットの素材に似た感じ。

窯は電気釜が3個あった。この建物は、窯も含めて全ての電力がソーラーパネルによって補われている。
疑問なのが、冬の短い日照時間を太陽光発電で補えるのだろうか?

2階部分はB&Bの客室になっていて、それぞれ異なった配色でセンス良い部屋が4部屋ある。

夏の間はほとんど満室だという。

何よりも立地が最高だ。果てしない農耕地の真ん中にポツンと建っている砂漠のオアシスの様であり、アフリカのサバンナの様でもある。

離れには楽焼のスタジオもある。夏の間はこの離れにツバメが沢山巣を作るので、煙と熱が出る窯作業作業ができないという。今やっと皆んなが巣立ったので楽焼ができると笑っていた。

エヴァは74歳。今は元気が無いといっていたが、とてもパワフルで、パッションが溢れ出ている。

何種類もフルーツの木があり、プラムやイチジク、ブラックベリーを沢山食べた。お土産に持たせてくれた甘いデラウエアの様な葡萄を食べながら帰路につく。
にわか雨で虹が沢山出ていた。

マッツの家に着き、暖炉に火を入れる。

暖炉を使うという行為は、道具もいろいろあり、とてもセレモニーっぽくて面白い。
じんわり暖かく、徐々に冬が近づいて来ることを実感する。
ピザとパスタを食べて21時過ぎにロエラの運転で家に帰った。

2023,09,23

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