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About “He/She is on cloud nine”

10月22日、School Girl Complexとしては初となる3曲入りのEP「He/She is on cloud nine」が配信にてリリースされました。

そこで、Rec時の思い出と共に、このEPに詰め込まれた3つの名曲たちについてチョロっとだけお気に入りポイントの話をしてみようと思います。


1.Rec時の思い出

今回もRec/Mixは「希」の際にお世話になったワゴムスタジオさんでした。
ワゴムスタジオの何がいいって、栗原さんがものすご〜〜く優しい雰囲気の方なのでカリカリし過ぎず楽しく作業出来るんですよね!勿論それなりに緊張感を持ちつつではあるけど、本当に良い。肩の力抜けた感じでいい演奏ができます。

Rec当日は朝が1番バタバタしていた記憶。というのもまず私が寝坊したし、マツイミズキが機材運搬用に車出してくれたけどナカノの家の場所間違えて(ナカノくんが自分の家の前の公園を指定したのだけど、その際に名前を間違えたせいで)全然違うところ行ってしまうし、凄かった。結果的にサトウケイだけ先にスタジオに着いてドラムのセッティングしてた。

そこからは結構すんなりって感じだったかな、各パート、ほとんど苦戦せずに終えたし。
ただし楽器隊みんなが苦戦した場所として「サマーのイントロの空白」がある。あそこはほんとにみんな苦戦してて、1番手サトウケイはもちろんのことトラノスケも苦戦してたし作曲者の私ですら苦戦してしまった。ちなみにその様子を見てナカノヒロタカはズルをしてたので簡単に通過してました。
何やら色々食べ物をパクつきながら終始ゆるい雰囲気で録音していきましたが、さすがに3曲もあったのでラストのヴォーカル録りの時間があまり長く取れなかったことだけが心残りですな。

和気あいあい、でした

ということで、とりあえず各曲についてのお話をここから先で。

各曲思い出よもやま話

1.Shy boy meets Shining girl

さて、1曲目のこちら。こいつに関してはほとんど何も難しいポイントはありませんでした。リズム隊も軽やかに心地良く出来ていると思うし、ギターも声も良い雰囲気。洋楽っぽいですよね。
ちなみに英語詞なわけですが、その発音や歌い回しについては結構作曲者ナカノvs私とマツイみたいな形で議論が繰り広げられました。「○○は短縮形であるべき!」とかね。結局作曲者の意志の尊重ということで変更はなしでしたが。しかしマツイミズキというボーカリスト、曲想に合わせた歌い方をするのが上手いなと思いますねこれ聞いてると。明るく、元気な感じで大変心地よいです。ナカノくんとのデュエットが非常にいい感じ。
ちなみに個人的な話ですがメインで弾いてるコードが4フレットにわたるものなのですごーく疲れました。指取れるかと思った。バイオリ二スト・ナカノは指のストレッチ力がただのパンク小僧でパワーコードしか知らない私と比べて倍以上あるので、こういうコードを使っても余裕らしい。
ちなみにこの曲の憂パート(バッキング)はスターキャスターでは無くマツイ所有のグレッチを使いました。理由は色々ありますが、前述のコードが自分のギターより弾きやすかった(スケール違うのかは定かでない)こと、そしてサウンド的にもスターキャスターより馴染みが良かったこと。煌びやかなサウンドがこの曲の軽やかさに絶妙にマッチしていて気持ちいい感じになったのではないでしょうか。

グレッチを弾く私

2.心のままに

ナカノくんのルーツが良く見える曲ですよねコレ。すんげー分かりやすくないですか?個人的にはこの曲はギターもベースも割とところどころ変な音色使ってるのにポップな出来になっている辺りが素晴らしいなと思っています。
リズム隊について言うと、とりあえずまずはトラノスケによるベースソロが聴きどころかなと。音色も暖かな雰囲気でありながらやや涼しさもあるし、演奏も丁寧でいいよね。トラノスケは割と手数が多めだったり、細かく音を切って詰め込むのが得意分野なベーシストだと私は思ってるのだけどこういう細かいニュアンスが求められるフレーズも弾けるからいい弾き手ですよね。
あと、ドラムがラスサビ前半で手数極端に少なくなるのも面白い効果を演出してますよね。SGCの曲は僕のものかナカノのものかに関わらずデモの時点でドラムフレーズの骨組みは私が作るんですけど、この手数をあえて減らして若干ゆったりさせる発想はサトウケイによるもので私には全く浮かばないものだったので「やられた!」と思った記憶があります。

グルーヴおばけ

ギターの話ですが、私からは何も言うことがありません。というのも、この曲は私ギター弾いてないので。ナカノくんが全部弾いてます。ギターソロでは爆音おバカファズであるsabbathを使っていたり、フェイザーをかけていたり、やりたい放題していてなかなか良いんじゃないかな、と思います。ボーカルについては、もうとにかくマツイがメロを覚えられなくて苦労していたことしか記憶にないですね。ぜ〜んぜん覚えられなくて隣でナカノくんにひとフレーズずつ歌ってもらって、その後すぐ歌録音する、という形をとっていて非常におもろかった。なんか歌メロ覚えるのムズい曲ってあるよね、僕はOASISの「super sonic」のAメロが一生覚えられないです。そんな方法で録音していたのでマツイ本人はRec終了後に「ちゃんと覚え直してから時間かけてじっくり録音したい....…」と嘆いていましたが、なんだかんだしっかり形になっている辺り流石。この曲はShy〜に比べると優しげな歌い方をしているな、と個人的には感じます。

真剣な面持ちで演奏するトラノスケ

3.Summer,evening,and you

さていよいよラストの曲です。
こちらはまず作曲が私ということで、色々書きたいことはありますが、あえて黙っておこうかな....…という気持ち。キャッチコピーを付けるとしたら、「憂くんってこんなに爽やかな曲も書けるんやで!ソング」といったところでしょうか。1作目の「希」は結構暗めなオルタナソングだったし、2打目がこういう感じだと結構私の作風って読みずらい感じになってきたのでは。次はどんな曲をRecしようかな....…。
というのは置いておいて、とりあえず作曲上のこの曲のポイント(と思っている点)は、3つ。
①イントロ1→イントロ2の八分休符
②1サビ後のクリーン繋ぎゾーン
③アウトロのベース
基本的には疾走ドリームポップなんですけど、ただ耳馴染みがいい曲で終わるのは勿体ないということで、色々とやってみた次第でございます。
まずみんなが苦戦していた①の八分休符。これ、何が面倒って、イントロ1を最終小節のみ8分の9拍子にして、その追加分が休符として現れているわけであります。だから、弾いている部分のノリは完全に4分の4なのに、頭の中で拍子をとるときは8分の9でなくてはならないのです。しかし個人的には、ここであえて短い休憩を入れることでイントロ1とイントロ2の勢いの差を軽減して綺麗に繋げられていると思っているのでお気に入りの箇所です。
②も良いですよね。邦ロックバンドがやりそうなアプローチではあるんですが、リードギター、バッキング、ベース(そして聞こえづらいけど3本目のギターも存在しています!)それぞれの重なりによって静かめに程よい浮遊感を演出出来たと思います。サビ終わりの勢いのある感じから2Aのちょっと静かな雰囲気、これをなめらかに繋ぐためにあえてさらに静かなパートを挿入してしまう、というのは割と良い手だったかな。
最後に、③。実はこれ、わかる人にはすぐにわかると思いますが、hideの「TELL ME」のオマージュなんですよね。ベースだけが残って終わる、という。勿論バンド全体と同じタイミングでベースも終わりにしても綺麗なんですが、ベースだけ残って弾いているときの絶妙な静寂感が良いと思ったこと、そして単にhideが好きなこと、それらが相まってこういう形での終わりにしました。続きそうな感じというか、ちょっとしたワクワク感もありますよね。この気持ち良さを発見したhideは、すごい!
ここからはRec時の話を....…。リードギターはナカノくんにフレーズ作りも含めて全て任せました。なのでなーんにも知りません。

どこいくねん


バッキングギターは実は2種類に別れており、半音下げ+5カポのものがメイン、半音下げカポなしのものがサブ、といった感じです。メインはスターキャスターを使用していてPUは常にセンター。アンプはヒューケトで基本クランチ、イントロやアウトロ、サビのような音圧の欲しいところではディストーションとしました。リバーブは割と深めのMod系のものと場合によってはシマー。サブはマツイのグレッチを使用していて基本はかなりクリーン寄りのクランチ、割とうっすら鳴らす方向性で。イントロ、1サビ後アルペジオ、アウトロなどではテラエコー(コンパクトではなくGT-1内蔵のもの)を深めにかけて空間を埋める役割に。やはりギターは重ねれば重ねるほど気持ちいいね。

なかよし

ベースについても音色は基本おまかせでした、まあ聞いての通りの音です。個人的にトラノスケは非常に器用なベーシストでそこそこにテクニカルなプレイヤーであると認識しているのだけど、今回はあえてそんな彼に「我慢」のフレージングに挑戦してもらいました。テンポの割にゆったりとしたイントロのベースライン、そしてその後もルート音からほとんど外れない、という具合。しかしこのシンプルさゆえに疾走感と聴きやすさがあるのです、きっと。ナイスプレイ。ちなみにラストの8分刻み、少しずつ音が強くなっていきますが、あれ、人力です。ニュアンスつけるの上手いね!素晴らしい。
ドラムス、サトウケイも名プレイでした。こちらの曲もほとんど私がパターンを作っているのだけどベースと同じくテンポの割にゆったりとした雰囲気は私の作ったものを残しつつ、サビ中の「ドン、ドドン、パン!」などなどクセになるフレージングを要所要所で提案してくれて非常に良かった。凄ーく安定感あるし大好きです。

安定感のあるフォルム

私のボーカルは....… 特に言うことないです。3回くらい通しで歌いましたが上手くなることも下手になることもありませんでした。よく言えば安定感がある、悪くいえば「低止まり」。笑
そして、私がこの曲で本当に注目して欲しいものといえば、マツイミズキの歌です。メインボーカルとコーラスのふたつをやってくれましたが、メインボーカルはもう文句無しの上手さ。そんなことはわかっていました。大事なのはコーラスです。前日の風呂中に思いついたというコーラス、私が「好きにやってください」とぶん投げたのをいいことに、適度に暴れつつメインの歌メロを邪魔しない完璧なラインを完成させてきました。そして透き通るような歌声!コーラスに求める全てが揃っていると言っても過言ではない。程よく主張しつつ邪魔にならず、爽やかさを演出する。今回のこの曲のコーラスとしてはマジで満点。このコーラスの歌入れを聴いたときに初めてどんなラインなのか知ったのだけど、あまりに美しく、普通に泣きそうになってしまったのを覚えています。(実際に帰りに運転しながらその瞬間を思い出して泣きました)泣くほど美しいコーラスだったのか、と言われると、そうなのかは分からないけど、間違いなく僕の発想にはなかったものだし、明らかにこのコーラスが入ったときに曲が進化したのがわかるレベルだった。そういう、自分の発想にはないものを誰かが持ってきてくれる、という化学反応によって曲が進化していくことがバンドをやる上での楽しみだと思っていて、その楽しみを、醍醐味を久しぶりに感じられました。皆さんもこのコーラスを聴いて泣いてくださいね!

とてーも真剣に歌っていました

おわりに

さて、こんな感じでした。本当は、Rec終わったあと車に機材と人をそれぞれ家まで送るときにマツイがガソスタで給油する量ミスってガソリンこぼして靴がガソリンまみれだったせいで車内もガソリン臭くて最悪だった話や、各々を送ったあとマツイミズキと2人でラーメン食いに行ったらめちゃくちゃ「ボーカル納得いかない、時間かけて録り直したい」って言われた話など、色々と面白い小ネタはあるのだけどキリがないので割愛。
とにかく、今回ナカノヒロタカ、マツイミズキ、トラノスケ、サトウケイ、そして私という最高のメンツでやいのやいの言いながら楽しくレコーディングした大事な作品を、たまにでいいのでみんなに聴いて貰えたら嬉しいな、と思います。そしてワゴムスタジオの栗原さんもありがとう!ロックンロールの神様にも、ありがとう!

Rec一日で終わって良かったねおつかれ、の杏仁豆腐でした

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