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まる流 初心者が買うべきギターアンプ

※2024/1/27 アップデートしました。

アンプは本体以上に重要です

皆さんエレキギター本体に注目しがちなんですが、修理してる人間から言わせると、ギターも大事だけどアンプはもっと大事!って言いたいのです。
なぜなら、エレキギターはあくまで「音を出すためのセンサーの集まり」であって、超極端な話、フェンダーだろうがギブソンだろうがアリアだろうがプレイテックだろうが関係ないのです(実際はちょっとありますがそれは別の機会に)。

初心者向けのアンプって?

いろんな方がこれについていろんなコメントを色んなところでしていますが、皆さん基準がバラバラなんですね。
私はこれについては明確で、
・上達できるものであること
・可能であればヘッドホン出力があること。
・手頃な価格であること

この3つが私の主な基準です。
価格については、大体小売5万前後以下で入手可能なもの、とします。

そして、「上達できるものであること」をさらに突き詰めると、
・ピッキング練習でためになること
・通常の演奏でも音が良いこと

この2つをクリアするものになります。
ちなみに、「通常の演奏でも音が良い」、というのは、クリーンでもゲインやドライブかけてもモヤモヤしない、聞こえのいい音を指します。

成毛滋という男

で、上記の詳しいことを説明するために、すでに故人ではありますが、一人の方を紹介させてください。
成毛滋氏。
実は私も最近まで知りませんでした・・・
父はあのブリジストンの副社長だった方。妹さんだったかが漫画家、親族もビッグネームが多いというなかなかすごい家庭です。
そんな彼ですが、ギタリストとして、70年代の日本のロックシーンを支え一人。当時としてはTVこそあまりでてなかったものの、ラジオやビデオ(VHS)とかには良く出ていたようです。
Dr.シーゲル、っていうと「あーあの人か」という人も居ると思います。
そんな彼、実は腕が良かったことから、それなりの人数にギターを教える人でもありました。
彼自身は基本練習をすっごく大事にする人だったようです。

そんな彼が、ビデオでしれっとこんなことを言っていました。
「ピッキングの練習をするときには必ず真空管アンプ、それもプリアンプに真空管を使ったものを使う、ということです。トランジスタアンプやエフェクターは絶対に使わないようにしてください」

成毛滋氏の発言の本質(真意)

なぜ彼がこれを言ったのか、ということです。
彼が教えた人は、すっごく上達する人と、そうでない人がいたそうで、なぜそうなるのか調べてみたら、実はアンプが違っていた、ということのようです。
上達する人は真空管アンプ、もしくはプリアンプに真空管を使っていた人だったことから、というデータに基づいた発言だったのです。※

※これは正直昔の話で、今だと少し事情が違います。
昔はプリアンプに真空管=ギターからの入力が直で(トランジスタなどを経由せず)真空管に入る構造になっているものがほとんどでした。
(専門用語で「初段に真空管が入っている」とも言います)
ですが、今は「味付け」の意味でプリアンプに真空管を使っている場合があります。
そういう場合は回路をみるとだいたいギターから真空管へは途中OPアンプというものやトランジスタ、FETなどを経由していることが多いです。
(つまり「初段に真空管が入っていない」)
モデリングアンプにそういう傾向が強いですね。
ちなみにマーシャルでいうとValvetateがそれで、私が持っている8080も、VS100もそれでした。
味付けではなく、増幅の意味で真空管を使っていないと成毛滋氏の言っていることに当てはまらず意味がないので注意です。
また、低電圧で昇圧させるタイプのものや、Nutubeなどを使ったものは私はその音を生で聞いたことが無いので、今の段階ではリストから外します。

追記:定電圧やNutubeのものは、私が聴く限りピッキングニュアンスの細かいところが出にくい感じですので、今回はおすすめしません。

さて。
実際私も、運良くフルチューブのアンプ(H&K Tubemeister 5)が手に入ったので、直前で修理したトランジスタ系アンプ(H&K Edition Blue 60DFX)で、ヘッタクソながらピッキング練習をそれぞれ同じ様にやってみました。

すると・・・
ピッキング練習の音がぜんぜん違うのです。
Tubemeisterのほうが、明らかにヘッタクソ感があります。
素人の耳でもはっきりわかります。
私は「これだ!成毛さんが言いたかったのはこれなんだ!」と確信しました。

つまり、真空管アンプで練習することは、ある意味「ピッキング養成ギブス」なのです。

Tubemeister自体は非常に良いものですが、1つ欠点が有りました。
それは「ヘッドフォンジャックがない」ことでした。
私のように一軒家に一人住まい、隣ともそれなりに距離がある場合、夜中に多少うるさくやってもそんなに文句は言われません。
ですが、一般家庭だとそんなわけには行きません。
家族もいるわけですし、アパートだったら全くの他人がいるわけです。
そういう点でもヘッドホン端子は大事です。
※希望だったら装備しているバランス(XLR)端子経由でヘッドホンアンプ作りますけど必要ですか?😅

おすすめアンプ

個人的には、初心者にはモデリングアンプはあまりおすすめしたくないです。(真空管を使っていてもモデリングアンプなのは結構あったりしますので・・・)

というわけで、個人的に勧められるアンプを。
なお、中古って言う手もありますが、近年に発売されたもの以外は基本メンテが必要なので、腕に覚えの有る人以外にはおすすめできないこともあって今回はリストに入れてません。
それでも古いものがほしい!その方がいい!って人はご相談いただければ個別に対応するほうが良いかなとおもっております(コメントにどうぞ)。
あと、これらは出力はめちゃくちゃ少ないですが、音圧は有るので、そのW数を感じさせない実力があります。

Marshall DSLシリーズ

ヘッドホン出力ないじゃん!って人。
実はEmulated outが対応します。
ただし、ヘッドホン出力のやり方はモデルや生産時期によってかなり違うので(同じモデルでも違うことがある)、取説は面倒でもじっくり読み切ってから使いましょう。

Orange Micro Terror(ヘッドアンプ) + PPC108(スピーカーキャビネット)(要スピーカーケーブル)

正直、私が新品なら一番推したいのがこれ。
値段も両方を足して実売(サウンドハウス、2024/01/27現在)37,800円(税込)と一番手頃。ヘッドアンプだけ机の上においてヘッドホンで練習、ってこともできます。
スピーカー用ケーブルが別途になりますが、それを足しても45,000円でお釣りが来ますので、コスパを考えてもおすすめできますし、デザインは女の子にも充分おしゃれに見えると思います。

BLACKSTAR HT-1R MK2

小さくて実力は本物。
USBオーディオ出力にも対応。
無論ヘッドホン出力にも対応します。今どきのDTMerならこれも選択肢。

VOX AC4C1-1

これは残念ながらヘッドフォン出力はありませんし、出力を絞ると評価も下がる感じなのですが、W数を感じさせないパワフルさと、音の良さは絶品です。ヘッドホン出力なしでもOKで、小さくてもパワー感がほしい!って人にはおすすめです。音はさすがVOX。

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